パウエルFRB議長のタカ派的発言から米ドル買いに転じる

2021/12/01

Noriko Sasaki

2021/12/01 7:42 JST投稿


 

【米国】

  • 為替(121600分)

 米ドル円(USDJPY)    113.03-113.03 (円)

 ユーロ円(EURJPY)    128.18-128.19 (円)

 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.1340-1.1341 (米ドル)

 ポンド円(GBPJPY)    150.33-150.35 (円)

 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.3300-1.3301 (米ドル)

 

1130日のニューヨーク外国為替市場は、新たな変異種オミクロンに対して既存のワクチンの有効性が低いとの報道が相次ぎ、感染拡大の懸念が高まり安全資産を買うリスクオフの動きが高まった。当面は、オミクロンに関する情報で市場が左右される動きが続くだろう。

 

米ドル・円(USDJPY)は、オミクロンへの現状のワクチン有効性の低さが懸念され徐々に値を下げた。低調な経済指標が発表された影響も大きくさらに値を下げ、1011日以来の安値112.53ドルまで値を下げた。11月シカゴ購買部協会景気指数(結果:61.8、予想:67.0、前回:68.4)が、予想を下回り2月以来で最低となった。さらに11月 消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード、結果:109.5、予想:110.9、前回:113.8)が9カ月ぶり低水準となり、インフレ高が進み、コロナウイルスの感染再拡大で消費者の景気に対する印象を低下させた影響が大きかった。

 

その後、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が米上院銀行委員会で力強い米景気とインフレの高止まりで、金融緩和の縮小を来年、計画よりも早期に終了することが正当化されるかもしれないと述べた一方で、新たな変異株オミクロンが新たなリスクになるとの考えを示した。この発言を受けると一転して米ドル買いに転じた。月末の決済に向けた米ドル買いも入り113.70円に回復したが、113.00円付近まで再び値を下げ、終値は113.17円となった。

 

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、朝方は1.13ドル中盤から後半で取引されていたが、経済指標が悪化したことを受け米ドルが売られ、この日の高値1.1383ドルを付けた。その後、パウエル議長の金融引き締め推進するタカ派的な発言を受けると米ドルが買われ、この日の安値1.1236を付けたが徐々に持ち直し、終値は1.1338ドルだった。

 

ユーロ・円(EURJPY)は朝方、小幅に上昇していたが、パウエル議長のタカ派的な発言から早期の金融緩和の引き締め実施が懸念され円買いが強まり、この日の安値127.65円まで売られた。その後は持ち直し、終値は128.32円に回復した。

 

  • 株式

 NYダウ平均  USD 34,483.72 -652.22 -1.85%

 NASDAQ総合 USD 15,537.691 -245.143 -1.55%

 S&P500   USD 4,567.00  -88.27-1.90%) 

 

1130日の米株式市場のダウ工業株30種平均は再び値を下げた。変異種オミクロンに対する既存のワクチン効果が薄いとの言及が相次ぎ、景気回復の遅れが懸念され景気敏感株を中心に売られた。徐々に値を下げ終了直前に700ドル超まで前日の終値を下回り、大幅に下落し終えた。パウエルFRB議長の金融引き締めを推進するタカ派的な発言も影響が大きかった。

 

  • 債券

 米国債10年 1.500+0.02%

 

  • 商品

 NY原油(WTI) 1バレル=USD 66.18 -3.77-5.39%)(1月渡し)

 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,776.50  -8.70-0.49%)(2月渡し)

 

【日本】米モデルナCEOの発言から安全資産の円買いが強まる

  • 為替(17時)

1130日の東京外国為替市場は、投資家心理が引き続き、新たに見つかった変異種「オミクロン」に左右された。概要が明らかになるまでこの流れは続くものと思われる。米ドル・円は、113円前半での取引中心だった。午前中に月末の輸入企業の決済に向けた米ドル買いの高まりから一時113.90円に値を上げたが、午後に米モデルナCEOが現行のワクチンのオミクロンに対する効き目は大きく低下しており、対応するワクチンの製造に数か月要するとの発言が報じられると景気回復の遅れの懸念が高まり安全資産の円買いが強まり112.96円まで値を下げた。米長期金利先物の低下も影響が大きかった。円は主要16通貨のうち韓国ウォン以外の全通貨に対して値を上げたが、その後持ち直し17時時点では113.18円に回復した。

 

ユーロ・米ドルは、米長期金利の低下からユーロ買いが優勢となり徐々に値を上げ、一時1.1341ドルまで値を上げた。その後小幅に売られ、17時時点では1.1328ドルだった。

 

ユーロ・円は、午前中は128円中盤で取引されていたが、モデルナCEOの発言から安全資産の円買いが高まり値を下げ17時時点で128.22円まで売られた。

 

  • 日本株式

 日経平均株価     27,821.76円  -462.16-1.63%

  安値28,187.12- 高値 28,718.70

 東証出来高 2,545,76万株

 東証売買代金 54893.76億円

 

1130日の日経平均株価は3日連続で、大幅に落ち込んだ。開始直後に前日終値より400円超値を上げ、午前中は高値で推移していたが、午後に米モデルナCEOがオミクロンに対する有効性の低下に言及すると景気回復の遅れの懸念が高まり景気敏感株が売られた。この発言を受け、徐々に値を下げ、終了間際に460円超まで売られ、心理的な節目の28,000円を1013日以来で下回った。活発な売買が行われ、東証1部の売買代金概算は527日以来の高水準だった。

 

  • 短期金融市場

 無担保コール翌日物金利  -0.048%

 

  • 債券

 国債先物・2112月限  151.94+0.20

 10年長期金利  0.055%-0.015

 

 

【マーケットアナリティクス】ユーロ・米ドルは重要な上値抵抗線にジャンプ(113015:06 CET

火曜日は、投資家心理が悪化し米長期金利と米ドルの両方が低下したことで、米ドルがさらに急激に値を下げた。米国時間前に、ユーロ・米ドル(EURUSD)は0.7%値を上げ1.13650ドル付近で取引されている。

 

この日、欧州の11月消費者物価指数(HCPI速報値)は予想の4.4%を大幅に上回り、前年比4.9%だった。また、コア・インフレ率は10月の2.0%から2.6%に上昇した。しかしながら、ECB2022年の利上げには時期尚早と何度も言及しているため、インフレ率は今後も2桁に向かって上昇していく可能性がある。

 

ユーロは現在、過去数ヶ月間で重要な相場がその水準を維持し、それ以上は下落しないと思われる水準下値支持線であるサポートラインに戻ろうとしている。もしブル(強気)が成功し、1.1380ドルを上回れば、1.1520ドルに向けてより値を上げる可能性がある。

 

さらに、チャートでMACD(マックディ)指標(※)を見ると強気(ブル)の気配が見えるため、1.12以下の安値になることは当面ないようだ。

 

さらに、ユーロが大幅に売られている状況から、今年最後の取引週に向けて損が出ても売ろうとする「ショートスクイーズ」の状況に向かっている。

 

一方で、現在1.13ドルが底値のラインとなっており、これを下に抜けた場合、一気に1.12ドルまで下落する可能性がある。しかし、ユーロが1.13ドル以上で推移する限り、短期的な見通しは強気(ブル)だと思われる。

 

(※)MACD(マックディ)指標:「Moving Average Convergence Divergence」の略。相場の分析において過去の値動きから将来の値動きを予想するテクニカル分析の手法の一つ。 一定期間の平均値を線でつなぎ合わせた移動平均線を用い、価格の推移をグラフ化し短期と中長期の移動平均線の動きから早期の売買タイミングを判断するのに用いられる。

 

ユーロ・米ドルデイリーチャート 1130日、午後3時(CET・中央ヨーロッパ時間)

EURUSD jumps to critical resistance

引用元: “EURUSD jumps to critical resistance” (20211130, AXIORY Global Market News)

※引用URL: https://www.axiory.com/analytics/technical-analysis/eurusd-jumps-to-critical-resistance

 

追記:121日、日本時間6:00のユーロ・米ドルは、1.1340ドル付近で取引されている

 


アナリストプロフィール

 

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。

クッキー(Cookie)について: お客様が本ウェブサイトにアクセスする際、セキュリティの確保やお客様に関する情報を取得することを目的に、クッキー(Cookie)を使用する場合があります。
本ウェブサイトにお客様が継続的に訪問する場合、クッキーについて同意することと見なします。またクッキーはいつでも削除することが可能です。