長期金利が1.709%に上昇し株安、米ドル買い強まる

2022/01/06 7:32 JST投稿

 

【米国】

  • 為替(1月6日6時00分)

米ドル円(USDJPY) 116.12-116.12 (円)
ユーロ円(EURJPY) 131.33-131.34 (円)
ユーロ米ドル(EURUSD) 1.1310-1.1310 (米ドル)
ポンド円(GBPJPY) 157.33-157.34 (円)
ポンド米ドル(GBPUSD) 1.3549-1.3549 (米ドル)

1月5日のニューヨーク外国為替市場は、朝方に発表された12月ADP雇用統計(前月比、結果:80.7万人、予想:40.0万人、前回:53.4万人)が7ヵ月ぶりに大幅に増加し、良好な労働環境が伺え寄与した。その後、14時に連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録が公表されると長期金利が昨年4月6日以来、約9カ月ぶりの高水準1.709%に上昇した。

米ドル・円(USDJPY)は、115円後半から116円前半に上昇した。朝方は、保有資産の調整から売りが優勢となり、この日の安値115.62円まで米ドルが売られたが、ADP雇用統計が発表され予想外の上昇となると、長期金利が1.663%に上昇し115.90円付近まで買われた。この後、FOMCの議事録が公表されるとさらに長期金利が上昇し116.20円付近まで米ドル買いが高まり、116.11円で終えた。

FOMC議事録ではインフレ高進と労働市場の逼迫を受け、「以前に予想していたよりも早い時期に、あるいは速いペースで」金利の引き上げを迫られる可能性があると参加者が考えていたことが示された。米短期金利の期待を示すフェデラル・ファンド(FF)金利先物市場が織り込む、3月会合で0.25%の利上げが決定される確率は約80%に高まった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、1.13ドル前半の取引となった。朝方は、保有資産の調整の米ドル売りが入り、この日の高値1.1346ドルを付けたがFOMC議事録が公表されると米ドル買いが優勢となり徐々に値を下げ、終値は1.1314ドルとなった。

ユーロ・円(EURJPY)は130円後半から131円前半での取引となった。ユーロ・米ドルの上昇につられユーロが買われると、前日の高値131.46円を超え昨年11月4日ぶりの高値131.60円まで値を上げた。しかし、FOMC議事録が公表され株価が急激に値を下げ、米ドルが買われると円買いに変わり終値は131.37円だった。
 

  • 株式

NYダウ平均 USD 36,407.11 -392.54 (-1.06%)
NASDAQ総合  USD 15,100.174    -522.545 (-3.34%)
S&P500     USD 4,700.58 -92.96(-1.94%)

1月5日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、3日ぶりに前日の終値を下回った。FOMC議事録公表までは堅調に推移していたが、14時に議事録が公開されると早期の利上げ開始を想起させる内容から長期金利が上昇し、金融株や株価収益率の高いハイテク株(※)が売られ、終了間際に400ドル近くまで前日の終値を下回り終えた。

(※)株価収益率(PER)とは、企業の成長性を分析する指標の一つ。株価が1株ごとの当期純利益の何倍まで買われているかを表しており、値が大きいほど割安となる。今のような長期金利の指標とされる10年債の金利が上昇している時は、PERの値より金利の方が大きくなり割安感が減るため、ハイテク株を中心としたPERの高い株の魅力が減少し売られやすい。
 

  • 債券

米国債10年 1.705(+2.22%)
 

  • 商品

NY原油(WTI) 1バレル=USD 77.85 +0.86(+1.12%)(2月渡し)
NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,825.10 +10.50(+0.58%)(2月渡し)

 

【日本】FOMC控え様子見強まる

  • 為替(17時)

1月5日の東京外国為替市場は、急激に米ドルが上昇した反動が出た一日だった。欧州勢が参加する夕方になると、その後の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録公開を控え様子見の姿勢が強まり始めた。また、東京でコロナウイルスの感染者数が大幅に増加し、さらにロイターが香港で米英など8カ国からの航空便を2週間禁止すると発表したが、景気への影響は軽微と受け止められた。

米ドル・円は、116円前半中心の取引。急激な米ドルの上昇を受け短期的な売買での利益を得ることを中心に取引している短期筋の投資家や国内輸出企業の米ドル売りが中心となり徐々に値を下げ116円を小幅に下回ったが、下落はとどまり17時時点で116.03円だった。

ユーロ・米ドルは1.12ドル後半中心で推移した。大きな材料はなくFOMCを控え値動きは限定的で17時は1.1298ドルとなった。

ユーロ・円は130円後半から131円前半の小幅な値動きとなった。米ドル・円やユーロ・米ドルの動きにつられた動きがでたが、大きな動きにはならず17時には131.10円で取引されている。
 

  • 日本株式

日経平均株価 29,332.16円 +30.37(+0.10%)
安値29,204.45円  -  高値 29,388.16円
東証出来高 1,259,72万株
東証売買代金 3兆1333.82億円
 
1月5日の日経平均株価は連日で前日の終値を上回り、小幅に上昇した。米国市場で長期金利の上昇から金利差が意識されたハイテク株の売りが優勢だった流れを受け日本でも同様の動き出て、午前中何度か前日の終値を下回る場面もあった。その後、トヨタ自動車が昨年の米新車販売でGMを抜き初の首位となり買われ、ラスベガスで開催されているCESで電気自動車(EV)の事業会社の設立を発表したソニーも買われ寄与した。米長期金利の上昇から保険や銀行株も買われている。
 

  • 短期金融市場

無担保コール翌日物金利 -0.012%
 

  • 債券

国債先物・22年3月限 151.42 (-0.01)
10年長期金利 0.080%(-0.005)
 

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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