ウクライナ情勢への懸念から上値は重い

2022/01/26 7:43 JST投稿

 

【米国】

  • 為替(1月26日6時00分)

米ドル円(USDJPY) 113.90-113.90 (円)
ユーロ円(EURJPY) 128.74-128.74 (円)
ユーロ米ドル(EURUSD) 1.1303-1.1303 (米ドル)
ポンド円(GBPJPY) 153.85-153.86 (円)
ポンド米ドル(GBPUSD) 1.3508-1.3508 (米ドル)

1月25日のニューヨーク外国為替市場の主なトピックスは、ウクライナ問題による欧州での地政学リスクや早期の金融政策正常化への警戒感の高まりからリスク回避のリスクオフの動きが優勢だった。経済指標では、1月 消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード、結果:113.8、予想:111.8、前回:115.8)は、経済と雇用に対する期待が悪化し、予想は上回ったものの4カ月ぶりに低下した。また、同時刻に発表されたリッチモンド連銀製造業指数(結果:8、予想:14、前回:16)はマイナスとなった昨年9月(-3)以来の低い水準となった。

米ドル・円(USDJPY)は、114円前半から113円半ばに値を下げた。朝方は欧州時間に安値圏からの反発で上昇した影響から、この日の高値114.16円となっていたが、弱い経済指標やウクライナ問題などへの懸念から113.78円まで売られた。その後は、少し持ち直し、終値は113.88円となった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、1.12ドル半ばから1.13ドル前半に上昇した。ウクライナ情勢への懸念から昨年12月21日以来の安値1.1263ドルまで売られた。その後は、安値圏が意識され買戻しが入り、徐々に値を上げ1.1301ドルで終えた。

ユーロ・円(EURJPY)は、128円前半から129円前半中心の取引となった。リスク回避の円買いが強まり、昨年12月21日の安値128.25円を付けた。その後は、安値が意識されると買戻しが入り終値は128.70円だった。
 

  • 株式

NYダウ平均 USD 34,297.73 -66.77 (-0.19%)
NASDAQ総合  USD 13,539.295 -315.835 (-2.27%)
S&P500     USD 4,356.45 -53.68(-1.22%)

1月25日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、前日の終値を下回った。FOMCへの警戒感の高まりから10時過ぎに800ドル超前日の終値を下回る場面もあった。ウクライナ情勢の影響も大きく、リスクオフの姿勢の強まりから幅広い銘柄が売られた。その後、反動から好決算が期待される銘柄などが買われ、前日の終値を200ドル超上回る場面もあったが再びリスクが意識され、マイナス圏に沈み終えた。
 

  • 債券

米国債10年 1.769(-0.11%)
 

  • 商品

NY原油(WTI) 1バレル=USD 85.60 +2.29(+2.75%)(3月渡し)
NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,852.5 +10.8(+0.59%)(2月渡し)

 

【日本】ウクライナ問題が大きな重しに

  • 為替(17時)

1月25日の東京外国為替市場は、この日から始まる連邦公開市場委員会(FOMC)や早期利上げウクライナ情勢への懸念が高まりからリスク回避のリスクオフの姿勢が強まっている。

米ドル・円は113円後半中心の取引だった。リスク回避の円買いが強まり114円前半から、この日の安値113.67円まで売られたが、その後は小幅に値を戻し、17時時点では113.89円となった。

ユーロ・米ドルは1.13ドル前半での取引となった。地政学リスクが意識され徐々に値を下げ、17時時点では1.1302ドルだった。

ユーロ・円は129円前半から128円後半に値を下げた。ウクライナ問題の懸念から徐々に値を下げた後は、128.75円付近の横ばいで推移した。17時時点では128.71円で取引されている。ドイツはロシアからの天然ガスへの依存があり、ウクライナ問題に対して強く出られない背景から欧州が結束できないことも一因となっており、しばらく厳しい状況が続くものと思われる。
 

  • 日本株式

日経平均株価 27,131.34円 -457.03(-1.66%)
安値26,890.94円  -  高値 27,493.75円
東証出来高 1,320,31万株
東証売買代金 3兆1569.86億円
 
1月25日の日経平均株価は前日の終値を大幅に下回った。FOMCを控えインフレによる金融政策正常化への警戒感の高まりやウクライナ情勢が緊迫化している影響からリスク回避の姿勢が高まり幅広い銘柄が売られた。徐々に値を下げ、14時過ぎに心理的な節目の27,000円、昨年来の安値(2021年8月20日、26,954.81円)を下回る26,890.94円と前日の終値を700円近く下回った。その後は、買戻しが入り小幅に値を上げ下げ幅を縮め終えた。東証1部の電気・ガス、食料品以外の31業種で値を下げ、83%が値下がりした。
 

  • 短期金融市場

無担保コール翌日物金利 -0.021%
 

  • 債券

国債先物・22年3月限 150.96 (+0.03)
10年長期金利 0.135%(変化なし)

 

【マーケットアナリティクス】ユーロ・米ドル、下方でのレンジ相場を終える(1月25日 15:05 CET)

ユーロが短期的な上昇トレンドを下回り、再び下降に転じる可能性があることからユーロ・米ドルのレンジ取引が終わる可能性があるようだ。

本稿執筆時点では、ユーロ・米ドル0.50%下落し、1カ月ぶりの安値まで下落し1.1270ドル付近で取引されている。

米ドルの強気(ブル)な圧力により、ユーロ・米ドルは重要な上昇トレンドラインを下回り、現在の状況は下降トレンド(フラッグ)でのレンジ取引が行われているように見える。このパターンをブレイクした場合、主要トレンドの次の方向は弱気(ベア)になることを意味する。

直近で下値支持線は、現在試している1.1270ドルになると思われ、その後は安値1.12ドルに向かう可能性がある。1.12ドルを超えることができなければ、ユーロは心理的な境目の1.10ドルに向かう可能性もある。

日足チャートでのMACD指標(※)は11月以来の弱気(ベア)のサインを発信しており、弱気が強化されそうだ。さらに、今週の連邦公開市場委員会(FOMC)では、金融緩和継続寄りのハト派的なサプライズがない限り、米ドルを下支えする可能性がある。

もしくは、ユーロが当面の弱気圧力を打ち消すには、1.1310ドル上の強気のトレンドラインを上回らなければならない。

(※)MACD(マックディ)指標:「Moving Average Convergence Divergence」の略。相場の分析において過去の値動きから将来の値動きを予想するテクニカル分析の手法の一つ。 一定期間の平均値を線でつなぎ合わせた移動平均線を用い、価格の推移をグラフ化し短期と中長期の移動平均線の動きから早期の売買タイミングを判断するのに用いられる。
 
ユーロ・米ドルデイリーチャート 1月25日(CET・中央ヨーロッパ時間)

引用元: “EURUSD Ends Consolidation to Downside” (2022年1月25日, AXIORY Global Market News)

追記:1月26日、日本時間6:00ユーロ・米ドルは1.1303-1.1303ドルで取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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