米ドルはロンドンフィキシングに絡んだ売りで値が重い

2022/02/01 6:41 JST投稿

 

【米国】

  • 為替(2月1日6時00分)

 米ドル円(USDJPY)    115.07-115.08 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    129.28-129.28 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.1234-1.1234 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    154.75-154.77 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.3447-1.3448 (米ドル)

1月31日のニューヨーク外国為替市場の主なトピックスは、株高からリスクオフの姿勢が和らぎ積極的にリスクを取る姿勢が強まった。さらに、月末の金の価格を決定するロンドンフィキシングに絡んだ米ドル売りも出た上、長期金利が1.778%まで低下したことも影響した。

米ドル・円(USDJPY)は、115円半ばから114円後半に値を下げた。長期金利の低下やロンドンフィキシングに絡んだドル売りが優勢となると徐々に値を下げ、この日の安値114.92円まで低下した。その後、少し持ち直し、終値は115.11円だった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、1.11ドル後半から1.12ドル前半に上昇した。1月独消費者物価指数(CPI、速報値、前年同月比、結果:4.9%、予想:4.4%、前回:5.3%)が予想を上回ると欧州中央銀行(ECB)の金融政策の正常化に向けた動きが加速するとの観測が強まりユーロ買いが優勢となった。株価が上昇したこともプラスとなりリスクを積極的にとるリスクオンの動きやロンドンフィキシングの米ドル売りから、この日の高値1.1248ドルに値を上げた。その後、少し値を下げ、1.1235ドルで終えた。

ユーロ・円(EURJPY)は、128円後半から129円前半に値を上げた。ユーロ・米ドルの上昇につられた買いや株高を受けてリスクオンの姿勢が強まり、この日の高値129.38円に値を上げた。その後、小幅に下落し終値は129.33円となった。
 

  • 株式

 NYダウ平均  USD 35,131.86 +406.39 (+1.17%)
 NASDAQ総合  USD 14,239.883  +469.310 (+3.40%)
 S&P500      USD 4,515.55  +83.70(+1.89%) 

1月31日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、連日で前日の終値を上回った。朝方は早期の利上げへの警戒感から売りが優勢だったが、長期金利が低下するとハイテク株や株価収益率(※)の高い成長株が買われ、堅調に推移し終了直前に400ドル超値を上げて終えた。

(※)株価収益率(PER)とは、企業の成長性を分析する指標の一つ。株価が1株ごとの当期純利益の何倍まで買われているかを表しており、値が大きいほど割安となる。今のような長期金利の指標とされる10年債の金利が上昇している時は、PERの値より金利の方が大きくなり割安感が減るため、ハイテク株を中心としたPERの高い株の魅力が減少し売られやすい。
 

  • 債券

 米国債10年 1.784(+0.22%)
 

  • 商品

 NY原油(WTI) 1バレル=USD 88.15 +1.33(+1.53%)(3月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,796.4  +9.80(+0.55%)(4月渡し)

 

【日本】リスク回避の姿勢の和らぎ続く

  • 為替(17時)

1月31日の東京外国為替市場は、日経平均および米株式先物や米長期金利先物が上昇しリスク回避の姿勢が和らいだ。足元では、金融緩和を続ける日銀と金融政策正常化に向けた米国との金利差が意識され、円売りが強まっている。

米ドル・円は115円半ばでの取引が中心だった。株高を受け、米ドル買いが強まり徐々に値を上げたが、原油高から資源国通貨が買われ米ドルが安くなり115.40を割り込んだが、長期金利先物が上昇すると盛り返し、17時時点では115.42円だった。

ユーロ・米ドルは1.11ドル後半中心の取引となった。ウクライナ問題の懸念から原油高となっている影響を受けユーロが売られたが、徐々に値を戻し、欧州勢参加後に先週末の高値1.1173ドルまで買い戻され17時時点では1.1171ドルだった。

ユーロ・円は128円後半中心で取引された。リスク回避の姿勢の和らぎから徐々に値を上げ、欧州勢参加後に買いがさらに優勢となり、この日の高値129円まで値を上げ、17時時点では128.94円となった。
 

  • 日本株式

 日経平均株価     27,001.98円  +284.64(+1.07%)
  安値26,541.65円  -  高値 27,134.57円
 東証出来高 1,314,61万株
 東証売買代金 3兆2130.04億円
 
1月31日の日経平均株価は連日で終値を上回った。先週末の米国市場でハイテク株が買われた流れを受け継ぎ、ハイテク株や業績が好調な企業の株式が買われ心理的な境目の27,000円を3日ぶりに上回った。1月に大幅に下落し、割安感か感じられ買いにつながっていることも市場を支え、東証1部の78%の銘柄で値を上げた。
 

  • 短期金融市場

 無担保コール翌日物金利  -0.021%
 

  • 債券

 国債先物・22年3月限  150.72 (-0.05)
 10年長期金利  0.170%(+0.005)

 

【マーケットアナリティクス】ポンド・円は横ばい、イングランド銀行の決定待ち(1月31日 14:37 CET)

世界的な株高を背景に投資家心理が上向き、円相場は高値圏で推移した。木曜日にはイングランド銀行(英中銀)が政策金利を0.5%に引き上げると予想されており、ポンド・米ドルをサポートし、境目の1.35ドルを超える可能性がある。

この場合、ポンド・円は157.90円の上値抵抗線(レジスタンス)を上回り、これまでの安値を更新する可能性がある。保有する金融資産の売り持高が上回った状態(ショートポジション)で損失を抑制するための損切り(ストップロス)は、ポンドをさらに押し下げ、2016年6月以来の心理的な境目の160円をターゲットとする可能性が高いだろう。

あるいは、英中銀会合で金融政策正常化の動きが弱まるハト派的なサプライズがあれば、クロス円は50日移動平均線(※紫のライン)、場合によっては200日移動平均線(緑のライン)まで下落する可能性がある。

これらの下値支持線(サポート)を下回る場合は、過去の安値である149円台まで下落する可能性もある。

クロス円は大きなチャネルで取引されているため、このゾーンの真ん中で投資をするのは賢明ではないように思われる。よって、投資家は英中銀の結果を待って方向性を決めることになりそうだ。

テクニカル的には、ポンド・円が158円付近の上限線を超えて上昇した場合、中期的には再び大幅な買いが優勢となるロング高が見られるかもしれない。

(※)200日移動平均線:一定期間(この場合は200日間)の終値の平均値の推移を折れ線グラフで示したもの。相場が上昇傾向にあるのか、下落傾向にあるのかといったトレンドを把握しやすい。

GBPJPY Trades Sideways; Awaits BoE Decision

ポンド・円デイリーチャート 1月31日(CET・中央ヨーロッパ時間)

引用元: “GBPJPY Trades Sideways; Awaits BoE Decision” (2022年1月31日, AXIORY Global Market News)

追記:2月1日、日本時間6:00のポンド・円は154.75-154.77円で取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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