良好な経済指標や株価上昇が支えに

2022/02/02 7:38 JST投稿
 
 

【米国】

  • 為替(2月2日6時00分)

 米ドル円(USDJPY)    114.69-114.69 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    129.23-129.24 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.1267-1.1268 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    155.09-155.11 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.3522-1.3523 (米ドル)
 
2月1日のニューヨーク外国為替市場の主なトピックスは、良好な経済指標や午後に株価が上昇したことが支えとなった。さらに、長期金利が1.816%から1.787%に低下したものの、その後、持ち直したこともプラスとなった。
 
1月米製造業購買担当者景気指数(PMI、改定値、結果:55.5、予想:55.0、前回:55.0)は予想を上回った。さらに、1月米ISM製造業景況指数(結果:57.6、予想:57.5、前回:58.7)は3ヵ月連続で低下し、2020年11月以来の低水準ながら、仕入価格指数が76.1と予想の67.0を大幅に上回ったことや雇用がわずかに上昇したことが好感された。足元では製品生産などが3ヵ月連続で改善がみられたものの、供給網問題の影響が続いていることが示されている。
 
米ドル・円(USDJPY)は、114円半ばから後半に値を上げた。金融政策の正常化の懸念から、この日の安値114.57円を付けたものの、良好な経済指標から、この日の高値115.19円まで上昇した。長期金利が上昇すると徐々に値を下げていたが、長期金利が持ち直すとわずかに値を上げ終値は114.71円となった。
 
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、1.12ドル前半中心から後半に上昇した。良好な経済指標が出ると米ドル買いが優勢となり1.1221ドルまで値を下げたが、米ドル売りが優勢に転じると値を上げ1.1272ドルで終えた。
 
ユーロ・円(EURJPY)は、128円後半から129円前半に値を上げた。ユーロ・米ドルの動きにつられ、この日の安値128.87円まで売られたが、買戻しが入り上昇し終値は129.29円となった。
 

  • 株式

 NYダウ平均  USD 35,405.24 +273.38 (+0.77%)
 NASDAQ総合  USD 14,346.003  +106.120 (+0.74%)
 S&P500      USD 4,546.54  +30.99(+0.69%) 
 
2月1日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、3日連続で前日の終値を上回った。前日に値を上げたハイテク株の利益確定の売りが優勢となったが、コロナウイルスの入院患者が減少したことが判明すると景気敏感株が買われ市場を支えた。良好な経済指標や長期金利が低下したことも支えとなり、終了間際に300ドル超まで前日の終値を上回り終えた。
 

  • 債券

 米国債10年 1.796(+0.17%)
 

  • 商品

 NY原油(WTI) 1バレル=USD 88.20 +0.05(+0.06%)(3月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,796.4  +5.10(+0.28%)(4月渡し)
 
 

【日本】春節による休場の影響から値動きは限定的

  • 為替(17時)

2月1日の東京外国為替市場は、春節により中国、香港、シンガポールなどアジアの多くの国が休場となっている影響から取引量が少なく、値動きが限定的だった。
 
米ドル・円は114円後半中心の取引で値動きが少ない状況だった。115円前半に上昇したこともあったが、徐々に値を下げ、17時時点では114.94円だった。
 
ユーロ・米ドルは1.12ドル前半の取引となった。足元でウクライナ問題の懸念があるものの、米金融政策正常化に向けた動きが少し落ち着き、参加者が少ないながら小幅に値を上げ、この日の高値1.1269ドルまでユーロが買われ、17時は1.1265ドルで取引された。
 
ユーロ・円は129円前半中心で取引された。取引量が少ないながら、株高を受けリスクを積極的に取るリスクオンのユーロ買いが強まり17時時点では129.49円となった。
 
オーストラリア準備銀行(中央銀行)は予想通り政策金利のオフィシャルキャッシュレートを過去最低の0.10%に据え置き、債券買い入れの終了を決定した。ロウ総裁は声明で「インフレ率は上昇したが、持続的に目標範囲内にあると結論付けるのは時期尚早」と金融正常化に時間を要するハト派的な動きを示したことが嫌気され、この日の安値0.7038米ドルまで売られた。その後、少し持ち直し17時は0.7085米ドルとなった。
 

  • 日本株式

 日経平均株価     27,078.48円  +76.50(+0.28%)
  安値27,016.71円  -  高値 27,410.79円
 東証出来高 1,373,98万株
 東証売買代金 3兆4082.75億円
 
2月1日の日経平均株価は3日連続で終値を上回った。米国市場でハイテク株や株価収益率の高い成長株が買われた流れを受け、日本でも同様の動きとなり半導体関連企業の東京エレクトロンやアドバンテストなど好調な決算の銘柄が買われ10時過ぎに400円超高くなった。しかし、午後になると1月 の米ISM製造業景況指数を見極めたいとの思惑から買い控えにつながり上げ幅は限定的となった。
 

  • 短期金融市場

 無担保コール翌日物金利  -0.020%
 

  • 債券

 国債先物・22年3月限  150.57 (-0.15)
 10年長期金利  0.180%(+0.010)
 
 

【マーケットアナリティクス】ユーロ・米ドルはフォールスブレイクダウン(※)を伴う(2月1日 14:19 CET)

ユーロはここ2日間で力強く上昇し、1.13ドルレベルに向け上昇している。最近の重要な下値支持線(サポート)である1.12ドルを割り込んだことが、弱気(ベア)の罠のように見える。
 
このような動きは、通常、買い(ロング)ポジションの損切り(ストップロス)が解消され、投資家に対して最大のダメージを与える傾向があり、その後は上昇につながるだろう。
 
この日未明、12月のドイツ小売売上高は、年末商戦にもかかわらず前月比-5.5%と大きく落ち込んだ。その結果、前年比で0.5%から0.0%に減少した。
 
さらに、1月のドイツ製造業購買担当者景気指数(PMI)の改定値では60.5から59.8に低下し、ユーロ圏の製造業購買担当者景気指数(PMI)はわずかに弱まり、前回の59を下回る58.7となった。
 
さらに、ドイツの1月失業者数は-2.9万人から-4.8万人に改善し、失業率も5.1%と前回の5.2%から減少した。
 
テクニカル面では、ユーロ・米ドルが1.12ドルより上で推移している限り、短期的な見通しは強気(ブル)で、50日移動平均線(※1、紫のライン)がこれまでの短期上昇トレンドラインの1.13ドルレベルを目指しているようだ。ユーロがこのレベルを越えた場合、1月の高値である1.1480ドル付近を目指す力強い上昇が見られる可能性がある。あるいは、ユーロが1.12ドル以下に戻った場合、1.1130ドル付近の実際のサイクル安値に向かって進む可能性がある。
 
(※)フォールスブレイクダウン:過去につけた安値を超え(ブレイク)たが、そのラインをさらにブレイクできなかった状態を指す。先にブレイクされた下値支持線の存在が改めて強く意識され、ブレイクに追随する売買の方針が変わりやすくなる。重要な価格のブレイクが一転して、反転の値動きが加速することを示唆する値動きを指す。
 
(※1)50日移動平均線:一定期間(この場合は50日間)の終値の平均値の推移を折れ線グラフで示したもの。相場が上昇傾向にあるのか、下落傾向にあるのかといったトレンドを把握しやすい。 
 
ユーロ・米ドルデイリーチャート 2月1日(CET・中央ヨーロッパ時間)
 
引用元: “EURUSD With a False Breakdown” (2022年2月1日, AXIORY Global Market News)
 
追記:2月2日、日本時間6:00のユーロ・米ドルは1.1267-1.1268ドルで取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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