ウクライナ巡る情報の交錯が米ドルに影響

2022/02/18 7:50 JST投稿
 
 

【米国】

  • 為替(2月18日6時00分)

 米ドル円(USDJPY)    114.93-114.93 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    130.56-130.56 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.1359-1.1359 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    156.50-156.51 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.3617-1.3617 (米ドル)
 
2月17日のニューヨーク外国為替市場の主なトピックスは、ロシアの支援を受けた分離独立派と政府軍との紛争が続くウクライナ東部で砲撃があり、幼稚園などが被害を受け負傷者が出た。双方で責任は相手側と主張し懸念が高まっている。さらに、バイデン大統領は「ロシアによるウクライナ侵攻の可能性は非常に高く、数日以内にも起こり得る」と発言。ブリンケン国務長官も国連安全保障理事会の会合で「我々の情報では、ロシアは、数日以内に攻撃を開始する準備を進めている」とした上で、「攻撃の口実作りを計画している」とも指摘した。
 
また、前週分 新規失業保険申請件数(結果:24.8万件、予想:21.9万件、前回:22.3万件)が、ミズーリ、オハイオ、ケンタッキーの各州で申請件数が大幅に増え、予想外に増加した。増加は1月半ば以降初。さらに、前月比の1月住宅着工件数(結果:-4.1%、予想:-0.4%、前回:1.4%)では、変異種オミクロンの影響から労働力不足となり4カ月ぶりに減少する弱い結果となった。
 
米ドル・円(USDJPY)は、115円前半から114円後半で取引された。朝方は弱い経済指標結果を受け、この日の安値114.85円まで売られたが、ウクライナ情勢に関するニュースに翻弄され上昇と下落を繰り返した。リスク回避の姿勢が強く、米ドル売りが強まり終値は114.94円となった。
 
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、1.13ドル半ばでの取引となった。地政学リスクが意識され、積極的な取引が行われにくい状況だった。ウクライナ情勢の悪化からユーロ売りが強まったが、その後は様子見の姿勢が強く1.136ドル付近の横ばいで推移した。終値は1.1361ドル。
 
ユーロ・円(EURJPY)は、130円後半で取引された。米国の弱い経済指標が発表されると値を上げたが、徐々に弱まり売られた。その後、ウクライナ情勢を見極めたいとの姿勢が強まり積極的な取引は控えられ、130.58円で終えた。
 

  • 株式

 NYダウ平均  USD 34,312.03 -622.24 (-1.78%)
 NASDAQ総合  USD 13,716.719  -407.376 (-2.88%)
 S&P500      USD 4,380.26  -94.75(-2.12%) 
 
2月17日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、連日で前日の終値を下回った。ウクライナ情勢の緊張感の高まりから、多くの銘柄が売られリスク回避のリスクオフの姿勢が優勢となり、終日で前日の終値を下回る展開だった。経済指標の悪化も影響が大きい一方で、好決算を発表した小売りのウォルマートとネットワーク機器のシスコシステムズの株や生活必需品は買われている。
 

  • 債券

 米国債10年 1.964(-0.078%)
 

  • 商品

 NY原油(WTI) 1バレル=USD 91.76 -1.90(-2.03%)(3月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,902.0  +30.50(+1.63%)(4月渡し)
 
 

【日本】地政学リスクの高まりからリスクオフに

  • 為替(17時)

2月17日の東京外国為替市場は、ウクライナ情勢のニュースに左右されリスク回避のリスクオフの流れが優勢だった。バイデン政権の複数の高官はロシアが最大7000人の兵士を増強していると伝わったが、根拠が明確でないものの相場は左右された。ロシアの外務省報道官は、これを否定しており情報が錯綜している。今後もウクライナ関連のニュースでは、同様の反応が出るだろう。
 
米ドル・円は115円半ばから前半に値を下げた。ウクライナにおけるロシア軍増強のニュースが報じられると急激に下落し、徐々に値を下げ、この日の安値115.12円まで売られ、17時時点では115.29円だった。
 
ユーロ・円は、131円半ばから130円半ばに下落した。地政学リスクが意識され、ユーロ売りが優勢となり徐々に値を下げた。欧州勢が参加すると、買戻しが入り値を戻し17時時点では131.15円となった。
 
ユーロ・米ドルは1.13ドル後半から前半に値を下げた。ウクライナを巡る緊張感の高まりから急激に値を落とし、この日の安値1.1385ドルを付けた。しかし、ユーロが買い戻され上昇し1.13後半まで値を戻し、17時時点では1.1376ドルで取引された。
 

  • 日本株式

 日経平均株価     27,232.87円  -227.53(-0.83%)
  安値27,080.92円  -  高値 27,438.74円
 東証出来高 1,180,69万株
 東証売買代金 2兆9200.84億円
 
2月17日の日経平均株価は前日の終値を下回った。前日に上昇した反動やウクライナ情勢への懸念から終日で前日の終値を下回った。13時頃にウクライナ情勢に関するニュースが出ると急激に下落し、380円ほど前日の終値から値を下げた。その後は、小幅に持ち直すもののリスク回避の動きが続きプラス圏に浮上することなく終えた。
 

  • 短期金融市場

 無担保コール翌日物金利  -0.022%
 

  • 債券

 国債先物・22年3月限  149.93 (+0.03)
 10年長期金利  0.220%(+0.005)
 
 

【マーケットアナリティクス】ポンド・円はトリプルトップパターンの解除を試みる(2月17日 14:59 CET)

木曜日、ポンド・円(GBPJPY)は、強気(ブル)が現在のトリプルトップ(※)パターン上に価格を押し上げる可能性が高く157円台で推移し、やや値を下げ取引された。
 
この日未明、日本の機械受注は前年同期比5.1%と、前回の11.6%から半減したが、12月の月次変動は前回の3.4%に対して3.6%とわずかに改善した。
 
さらに、日本政府が発表した2月の月例経済報告では、変異種オミクロンの感染拡大により外食や宿泊などのサービス関連の消費の落ち込みから5ヵ月ぶりに景気見通しを引き下げた。
 
鍵となる上値抵抗線(レジスタンス)は、過去に何度か挑み失敗している158円台に位置している。このレベルより上では、大きなストップロスが予想される。もし、強気派(ブル)がこの上に押し上げると、160円に向かう可能性もある。短期的なサポートは、現在155円付近の50日移動平均線(紫のライン※)だろう。
 
日足チャートはやや買われすぎている状況にあり、最近の市場のネガティブな投資家心理を考慮すると、大きな上値抵抗線(レジスタンス)の存在と相まって、今後数日間、若干の調整につながる可能性が見受けられる。
 
(※)トリプルトップ:3つの山(高値)ができるチャート形成。上昇、下落を繰り返し、3度目の下落でそのまま下落に転じる際に見られる現象で、アルファベットの「W」のような形に見えるためこの名前となった。チャートにこの形が現れた時は、上昇トレンドの終わりを示唆する。
 
(※1)移動平均線:一定期間(この場合は50日間)の終値の平均値の推移を折れ線グラフで示したもの。相場が上昇傾向にあるのか、下落傾向にあるのかといったトレンド(流れ)を把握しやすい。

GBPJPY Trying to Cancel Triple Top Pattern

ポンド・円、デイリーチャート 2月17日(CET・中央ヨーロッパ時間)
 
引用元: “GBPJPY Trying to Cancel Triple Top Pattern” (2022年2月17日, AXIORY Global Market News)
 
追記:2月18日、日本時間6:00のポンド・円は156.50-156.51円で取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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