米長期金利の上昇続き米ドルは堅調

2022/03/16 7:51 JST投稿

 

【米国】

  • 為替(3月16日6時00分)

 米ドル円(USDJPY)    118.29-118.30 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    129.60-129.64 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0956-1.0958 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    154.18-154.32 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.3039-1.3042 (米ドル)

3月15日のニューヨーク外国為替市場の主なトピックスは、明日の米連邦公開市場委員会(FOMC)結果の公表を前に、方向性が出にくい状況だった。引き続きウクライナ情勢の長期化の様相が強いことも影響が大きかった。長期金利が堅調に伸びていることが、支えとなっている。

また、2月の米生産者物価指数(PPI、前年同月比、結果:10.0%、予想:10.0%、前回:9.7%)がほぼ予想通りとなった。食品とエネルギーを除くPPIコア指数の前月比(結果:0.1%、予想:0.6%、前回:0.8%)では、インフレ圧力が浮き彫りになっている。今週の利上げ実施が、ほぼ間違いなく実施されることを裏付けたが、織り込み済みで影響は軽微だった。

米ドル・円(USDJPY)は、117円後半から118円半ばに値を上げた。アジア時間に2017年1月以来、約5年2カ月ぶりの高値118.45円に上昇した反動から小幅に値を下げた。その後、株価の上昇や長期金利の上昇から堅調に値を上げ、この日の高値(118.45円)に迫る場面もあったが、FOMCを控え118.40円付近にとどまり、終値は118.30円となった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、1.09ドル後半から前半に値を下げた。アジア時間に、この日の高値1.1020ドルまで買われたが、3月独ZEW景況感指数(結果:-39.3、予想:10.0、前回:54.3)が大幅に低下し急激に値を下げた。その後、ラガルド総裁の発言から小幅に上昇したが、米長期金利の上昇も影響し、再び低下し続け、この日の安値1.0926ドルまで売られ、終値は1.0956ドルだった。

なお、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、欧州経済が今年も堅調に成長すると示した。インフレは徐々に低下し、2024年には目標とする2%近辺に落ち着くとの見方を示した。

ユーロ・円(EURJPY)は、130円前半から129円前半に値を下げた。独ZEW景況感指数の大幅な低下から徐々に値を下げた。その後、ラガルド総裁の欧州経済見通しに対する発言が好感され、この日の高値130.03円に上昇した。しかし、再び独ZEW景況感指数の結果による投資家心理の低下が続いた上、ウクライナ情勢への懸念もあり徐々に低下し129.60円で終えた。
 

  • 株式

 NYダウ平均  USD 33,544.34 +599.10 (+1.81%)
 NASDAQ総合  USD 12,948.621  +367.401 (+2.92%)
 S&P500      USD  4,262.45  +89.34(+2.14%) 

3月15日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、前日の終値を連日で上回った。原油先物が連日で大幅に下落し物価上昇懸念が和らぎ、投資家心理が上向いた。PPIが予想を下回る値にとどまったこともプラスに作用し、消費関連株が中心に買われた。朝方に、ウクライナ情勢への懸念が強まり、小幅に下落したことも見受けられたが、堅調に推移し終えた。
 

  • 債券

 米国債10年 2.147(+0.004%)
 

  • 商品

 NY原油(WTI) 1バレル=USD 96.44 -6.57(-6.38%)(4月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,929.7  -31.10(-1.59%)(4月渡し)

 

【日本】米ドルは米長期金利上昇から5年2ヵ月ぶりの高値

  • 為替(17時)

3月15日の東京外国為替市場は、米長期金利先物が上昇した2年9カ月ぶりの水準に上昇し、投資家心理が上向いた。

米ドル・円は118円前半から急落した。米ドルが買われた。2017年1月以来、5年2ヵ月ぶりの高値118.45円を付けたが、機関投資家の売りが入り、この日の安値117.85円まで安くなり、17時時点で117.98円だった

ユーロ・米ドルは1.09ドル前半から1.10ドル前半に上昇した。朝方は小幅な動きにとどまっていたが、株価の上昇や円安を受け、昨日高値1.0994ドルや節目の1.1000ドルを超え、1.1020ドルまで買われた。その後、小幅に値を下げ、17時時点では1.1004ドルだった。

ユーロ・円は、129円前半から130円前半に上昇した。ユーロ・米ドルの上昇につられ、この日の高値130.03円まで買われた。その後は、小幅に値を下げ、17時時点では129.83円となった。
 

  • 日本株式

 日経平均株価     25,346.48円  +38.63(+0.15%)
  安値25,219.13円  -  高値 25,441.67円
 東証出来高 1,222,08万株
 東証売買代金 2兆7976.29億円
 
3月15日の日経平均株価は連日で前日の終値を上回った。午前中は、ウクライナ情勢や原油の下落、円安から値動きが激しいながら、買いが優勢だった。午後になると、投資家心理が上向き、円安から景気敏感株が中心に買われ上昇したが、小幅に値を下げ終えた。東証1部の銘柄の80%で値を上げている。
 

  • 短期金融市場

 無担保コール翌日物金利  -0.008%
 

  • 債券

 国債先物・22年3月限  150.03(-0.21)
 10年長期金利  0.205%(+0.015) 

 

【マーケットアナリティクス】EURUSDは1.10台で取引され、方向性に欠ける(3月15日)

火曜日にはユーロが半値戻したが、これまでのところ、ユーロ・米ドル(EURUSD)は1.10ドル以上が長期間続く気配が見えない。

同日未明、ドイツのZEW調査は大幅に低くなり、3月の経済情勢は54.3から-39.3に沈んだ。現況指数も-8.1から-21.4まで下落した。ユーロ圏全体では、48.6から-38.7に下落している。

さらに、米国の2月卸売物価指数(PPI)は、予想通り9.7%から10%に上昇。前月比では1%から0.8%にやや減速した。コアPPIは、前年同月比8.4%と小幅に上昇している。

現在、短期上昇トレンドラインは1.0950ドル付近に位置しているが、全体的にはこの状況が続く見込みだ。よって、トレンドラインを下回る場合は1.09ドル、状況によっては1.08ドル付近の現在の周期(サイクル)の安値を目指して、さらに下落する可能性がある。

一方、1.10ドルを上回った場合は1.1040ドル台、もしくは1.11ドル付近の現在のスイングハイ(※)をターゲットに、さらなる上昇を見せる可能性があります。

1.12を下回る水準で推移する限り、中長期的な見通しは弱気(ベア)であり、ユーロのさらなる下落を示唆している。

※スイングハイ:最高値を中心に最高値より低いローソク足が前後6本ずつ出ている部分。トレーダーのラリー・ウィリアムズ氏が「ラリー・ウィリアムズの短期売買法」という書籍で示唆したことに起因する。

EURUSD Trades Within 1.10, Lacks Direction

ユーロ・米ドル、デイリーチャート 3月15日(CET・中央ヨーロッパ時間)

引用元: “EURUSD Trades Within 1.10, Lacks Direction” (2022年3月15日, AXIORY Global Market News)

追記:3月16日、日本時間6:00のユーロ・米ドルは1.0956-1.0958ドルで取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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