長期金利上昇で日米金利差が意識され米ドル買いに

2022/04/11 6:48 JST投稿
 
 

【今週の見通し】(4月11日-4月15日)

先週は米連邦準備制度(FRB)高官の金融政策正常化に向けたタカ派的な発言や、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で金融引き締めの加速が示されたことから長期金利がさらに上昇している。
 
ウクライナ情勢の長期化が見込まれる中、さらなるロシアへの経済制裁が強まりユーロが安くなった。4月10日のフランス大統領選では、4月11日の日本時間5時時点でマクロン大統領が28%、ルペン氏が23%の票を獲得し4月24日の決選投票に持ち込まれる見通しが強まっている。今回の結果を受け、安心感からユーロが買戻しされる可能性が強い。
 
今週もFRB高官の発言や4月12日に発表される米消費者物価指数(CPI)などの経済指標、さらに4月14日の欧州中央銀行(ECB)理事会や企業の2022年1-3月期決算発表を特に注目したい。なお、ウクライナ情勢の影響は、ユーロ以外は弱まってきているが、原油価格への影響が大きいため引き続き警戒が必要だ。
 
予想レートは米ドル・円が120円前半から126円前半。ユーロ・米ドルが1.07ドル前半から1.1ドル前半。
 

 

【米国】

  • 為替(4月11日6時05分)

 米ドル円(USDJPY)    124.05-124.09 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    135.27-135.40 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0905-1.0909 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    161.98-162.05 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.3033-1.3043 (米ドル)
 
4月8日のニューヨーク外国為替市場の主なトピックスは、長期金利が先物を含め高い水準で推移し、一時2.726%と2019年3月の水準まで上昇した。この影響から、日米金利差の意識がさらに高まっている。
 
また、4月10日に行われるフランス大統領選でマクロン大統領が過半数は取れないとの見方が濃厚となり不透明感が強まっている。もし、ルペン氏が勝利するようなことがあれば政局が不安定となり、ウクライナ情勢が長期化する中で不安要素が増加し、ユーロはさらに安くなる可能性が強い。
 
米ドル・円(USDJPY)は、長期金利の上昇から米ドルが買われ、この日の高値124.68円に上昇したが3月28日の2015年8月以来の高値125.09円が上値抵抗線(レジスタンス)として意識されると、徐々に値を下げた。その後は、124円前半で小幅に推移し、終値は124.34円となった。
 
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、米長期金利の上昇に伴い米ドル買いが強まるとユーロが売られ、3月7日以来の安値1.0837ドルとなった。その後、買戻しが入り1.08ドル後半で小幅に推移した。週末のフランス大統領選の不透明感から様子見の姿勢が強まった影響も大きかった。欧州中央銀行(ECB)の金融正常化を加速されるとの見通しが支えとなり、1.0877ドルで終えた。
 
ユーロ・円(EURJPY)は、米ドル・円とユーロ・米ドルの影響をそれぞれ受け、小幅に上昇した。米ドル・円で米長期金利が上昇すると134.82円まで値を下げたが、安値が意識されると値が上向き、ユーロ・米ドルの上昇も支えとなり、この日の高値135.37円まで値を上げた。その後は、小幅に売りが入り終値は135.30円だった。

 

  • 株式

 NYダウ平均  USD 34,721.12 +137.55 (+0.39%)
 NASDAQ総合  USD 13,710.996  -186.304 (-1.34%)
 S&P500      USD  4,488.28  -11.93(-0.26%) 
 
4月8日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、前日の終値を連日で上回った。長期金利が先物の時間から大幅に上昇し、ハイテク株が売られ朝方は前日の終値を下回っていた。しかし、10時過ぎ頃から堅調に値を上げ、その後は終始前日の終値を上回る取引となった。長期金利が一時2.726%に上昇するなど高水準で推移した影響から、金融株や景気動向に左右されにくいディフェンシブ銘柄が買われている。
 
 

  • 債券

 米国債10年 2.715(+0.042%)
 

  • 商品

 NY原油(WTI) 1バレル=USD 98.26 +2.23(+2.32%)(5月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,945.6  +7.80(+0.40%)(6月渡し)

 
 

【日本】元日本銀行理事の発言から円売り優勢に

  • 為替(17時)

4月8日の東京外国為替市場は、日米金利差が意識された。さらに、元日本銀行理事の早川英男氏(東京財団政策研究所主席研究員)は、ブルームバーグのインタビューに対し、政策修正はイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の弾力化にとどまるとの見方を明らかにした。7月の金融政策決定会合でゼロ%を中心に0.25%程度となっている長期金利の変動許容幅の拡大や、金利目標を10年から5年に縮めると指摘した。
 
米ドル・円は、朝方に日米金利差が意識され米ドル買いが強まると、この日の高値124.23円を付けた。しかし、日本銀行元理事のインタビュー報道を受け、この日の安値123.67円まで安くなった。その後は、再び日米金利差が意識され米ドル買いが優勢となり値を戻し、17時時点では124.04円となった。
 
ユーロ・米ドルは、ウクライナ情勢の懸念から徐々に値を下げ、欧州勢参加後にこの日の安値1.0848ドルを付けた。4月10日の仏大統領選第1回目投票への警戒感も影響が大きく、17時時点では1.0867ドルだった。
 
ユーロ・円は、朝方は米ドル・円の動きにつられ徐々に安くなり、この日の安値134.36円を付けた。その後、持ち直し徐々に値を下げ17時時点では134.80円となった。
 

  • 日本株式

 日経平均株価     26,985.80円  +97.23(+0.36%)
  安値26,764.36円  -  高値 27,185.23円
 東証出来高 1,270,96万株
 東証売買代金 3兆1093.46億円
 
4月8日の日経平均株価は3日ぶりに前日の終値を上回った。朝方は割安となった株価を受け、好調な決算が見込まれる株が買われた。開始直後に300円近くまで値を上げたが、月初のファンドの売りも出て徐々に値を下げ、前日の終値を下回った。午後になると再び買いが入り、小幅に上昇し前日の終値を上回り終えた。
 

  • 短期金融市場

 無担保コール翌日物金利  -0.006%
 

  • 債券

 国債先物・22年6月限  149.49(+0.02)
 10年長期金利  0.225%(-0.005)

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