中国経済の悪化やFRB引き締め懸念が強まる

【米国】

為替(4月27日6時00分)
 米ドル円(USDJPY) 127.19-127.24 (円)
 ユーロ円(EURJPY) 135.30-135.33 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0636-1.0640 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY) 159.92-160.03 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2571-1.2578 (米ドル)

4月26日のニューヨーク外国為替市場の主なトピックスは、中国でのコロナウイルス感染拡大から上海以外での都市封鎖が検討されており、世界経済への影響が懸念された。さらに、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めが意識され、投資家心理が後退した。さらに、高インフレ抑制に向けた米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めの加速も懸念されている。これらの影響から長期金利が2.72%台に低下した。

なお、3月米、新築住宅販売件数(前月比、結果:-8.6%、予想:-0.6%、前回:-2.0%)は、原材料の高騰やローン金利の急激な上昇から前月より減少し4カ月ぶりの低水準となった。

また、ロシア国営ガス大手ガスプロムがポーランドとブルガリアへの天然ガス供給を27日に停止すると通知したと複数メディアが報じており懸念が強まっている。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、中国経済の悪化による世界経済への影響やFRBの金融引き締めが意識され、徐々に値を下げた。株価の下落の影響も受け、2020年3月の安値1.0636ドルまで値を下げた。ポーランドとブルガリアへのガス供給停止通知の影響も大きく終値は1.0638ドルとなった。

ユーロ・円(EURJPY)は、投資家心理が弱まりリスクオフの円買いが優勢となり、終了直前に4月11日ぶりの安値135.31円まで値を下げ終値は135.34円だった。

米ドル・円(USDJPY)は、朝方に長期金利の低下を受け円買いが強まり、この日の安値127.03円まで値を下げた。月末に向け円安時に買った円売りポジションを調整する動きも出た影響も大きかった。その後、ユーロ売りの強まりから米ドルが買われた動きにつられると持ち直し、徐々に値を上げ127.68円まで値を戻すと再び売りに押され、127.23円で終えた。

株式
 NYダウ平均 USD 33,240.18 -809.28 (-2.37%)
 NASDAQ総合  USD 12,490.743 -514.109 (-3.95%)
 S&P500     USD  4,175.20 -120.92(-2.81%)

4月26日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、前日の終値を大幅に下回った。中国でのコロナウイルス感染拡大から上海以外の都市での都市封鎖の波及が強まり、供給網に更なる打撃を与えるとの懸念から大幅に値を下げた。さらに、高インフレへの対応からFRBが早期の金融引き締めを実施するとの懸念の強まりもあり、終日で前日の終値を下回った取引となり3指数揃って値を下げ終えた。

債券
 米国債10年 2.730(-0.097%)

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 101.70 +3.16(+3.21%)(6月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,904.1 +8.1(+0.43%)(6月渡し)
 

【日本】大きな動き無く軟調な状況に

為替(17時)
4月26日の東京外国為替市場の主なトピックスは、鈴木俊一財務相は閣議後の会見で、日米財務相会談で為替の協調介入についての議論があったとの報道を改めて否定した。TBSが4月22日にアメリカが協調介入を前向きに検討していると報じたことを受けたもので、報道を受け米ドル・円が下落していた。

さらに、国際通貨研究所の渡辺博史理事長は、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで1ドル=135円まで円安が進んでも、日本経済にとって非常に悪い水準ではないと述べた。さらに日本政府の介入に関して、実施の可能性はないとみているとの見解を示した。渡辺氏は2004から2007年に財務官を務めている。

また、中国でのコロナウイルス感染拡大から上海以外の都市で都市封鎖を行なう可能性が強まり世界経済への影響が懸念され前日に米長期金利が低下したことも米ドル売りにつながっている。

米ドル・円は、朝方は米国市場での更なる中国の都市封鎖へ懸念や鈴木俊一財務相の発言を受け徐々に値を下げ、この日の安値127.35円まで米ドルが売られた。その後、徐々に上昇し、渡辺元財務官の発言もプラスとなり128.18円まで値を上げたが、利益確定売りに押され17時時点で127.89円となった。

ユーロ・米ドルは、朝方の米ドル・円の下落を受け小幅に上昇し、この日の高値1.0739ドルまで値を上げた。その後、米ドルが買われると徐々に値を下げ、欧州勢参加後にさらに売りが加速し17時時点では1.0676ドルで取引された。

ユーロ・円は、米ドル・円につられ、この日の高値137.54円まで値を上げた後、徐々に低下し17時時点では136.54円だった。

債券
 国債先物・22年6月限 149.32(+0.05)
 10年長期金利 0.245%(変化なし) 
 

【マーケットアナリティクス】ポンド・米ドルは4日続落し、1.27ドルまで下落(4月26日)

ポンド・米ドルは米ドル買いの強まりから下落圧力を受け続け、再び1.27ドル台に向かって下落し、11月以来の最低レベルを記録した。

投資家は、本日の英国の財政データに注目した。国家統計局の数字によると公的借入金は予想より5分の1近く多くなった。2021-2022年度の英国公共部門の純借入額は1518億ポンドで、1ヶ月前の予算責任局の予想1278億ポンドを大きく上回った。

現在、金融政策の引き締めを行なっているため、コロナウイルス感染拡大から政府が経済維持に向け巨額の支出を行った前年より1650億ポンド減少した。しかしながら、1947年のデータ記録以来、3番目に高い総額だ。一方、3月の借入金は181億ポンドと、ロイターの調査による予想192.5億ポンドを下回り、予想を下回る結果となった。

これらを受け、週足チャートで示される1.2680ドル付近の重要な長期下値支持線(サポート)を試す展開となりそうだ。しかし、ポンドは200週移動平均線(※)の下で取引されているため、見通しは弱気(ベア)なままだ。

ポンドは大きく売られすぎているように見えるため、短期的な調整も排除できない。しかし、中期的な観点から安定するためには、1.29ドル、もしくは1.30ドルを飛び越える必要がある。

UOBグループのFXストラテジスト、リー・スー・アンとケク・サー・レンは、ポンド・米ドルのさらなる下降は、短期的には1.2650ドル台、おそらく1.2600ドルをターゲットにする可能性があると指摘した。1.2900ドルを上回らない限り、圧力下に留まることが予想される。

※移動平均線:一定期間(この場合は200週)の終値の平均値の推移を折れ線グラフで示したもの。相場が上昇傾向にあるのか、下落傾向にあるのかといったトレンドを把握しやすい。
  ポンド・米ドル、デイリーチャート 4月26日(CET・中央ヨーロッパ時間)

引用元: “GBPUSD Down 4 Days, Falls to 1.27” (2022年4月26日, AXIORY Global Market News)

追記:4月27日、日本時間6:00のポンド・米ドルは1.2571-1.2578ドルで取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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