2022/05/18 7:26 JST投稿
【米国】
為替(5月18日6時00分)
米ドル円(USDJPY) 129.35-129.41 (円)
ユーロ円(EURJPY) 136.43-136.55 (円)
ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0549-1.0552 (米ドル)
ポンド円(GBPJPY) 161.60-161.65 (円)
ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2487-1.2496 (米ドル)
5月17日のニューヨーク外国為替市場の主なトピックスは、朝方は中国・上海市の都市封鎖緩和による景気回復期待からリスクを取るリスクオンの姿勢が強まった。
さらに、朝方に発表された4月 小売売上高 (前月比、結果:0.9%、予想:0.9%、前回:0.5%)では、堅調な伸びを示した。足元では、バンクオブアメリカが発表した4月のクレジットカードとデビットカードの総支出が前年同月比13%増加しており、借り入れで消費が行われている状況がうかがえ、短期で終わる可能性があることにも留意したい。国内総生産(GDP)の算出に使用される飲食店と自動車ディーラー、建材店、ガソリンスタンドを除いたコア売上高(前月比、結果:0.6%、予想:0.4%、前回:1.1%)でも、予想を上回った。4月 鉱工業生産 (結果:1.1%、予想:0.5%、前回:0.9%)は、堅調な消費需要に応えるため生産を増加した影響から3カ月連続での上昇となり大幅に増加した。
しかし、5月 NAHB住宅市場指数(結果:69、予想:75、前回:77)は、高金利や資材価格の高騰を受け、5ヵ月連続で低下し、コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)初期以来の大幅低下となり、長期金利が2.875%に低下し、リスク選好姿勢が後退した。
また、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長はWSJ主催のイベントで必要に応じ、中立水準以上に金利を引き上げることを断言した。さらに、米セントルイス連銀のブラード総裁は、FRBが今後0.5ポイントの利上げを実施する計画を支持し、40年ぶり高インフレ率に対応し、決して後手に回っていないと述べている。いずれも織り込み済の内容で、影響は軽微だった。
なお、英1-3月 期失業率(国際労働機関(ILO)、結果:3.7%、予想:3.8%、前回:3.8%)は低下した。統計開始以来、初の失業者(約126万人)が求人数(129.5万人)を下回り、人手不足の状態が示された。これを受けポンドが対米ドル、対円ともに上昇し、終値は対ドルで1.2492ドル、対円で161.57円となった。
米ドル・円(USDJPY)は、朝方は好調な米小売売上高の結果から景気回復への期待が高まり、米ドルが買われ、この日の高値129.78円に上昇した。しかし、弱い5月NAHB住宅市場指数の結果から、売りに転じ129.07円付近まで値を下げたが、値を戻すも上値は重く終値は129.38円だった。
ユーロ・米ドル(EURUSD)では、朝方ユーロ圏の1−3月期国内総生産(GDP、結果:0.3%、予想:0.2%、前回:0.2%)が予想外に上昇した。さらに、クノット・オランダ中銀総裁が「欧州中央銀行(ECB)の7月の0.25%の利上げは現実的」と言及した影響から、早期の利上げ期待が高まりユーロが買われ、この日の高値1.0556ドルを付けた。その後は、地政学リスクの影響から積極的な取引は控えられ、大きな動きは出ず1.0550ドルで終えた。
ユーロ・円(EURJPY)は、ECBの利上げ観測への期待からユーロが買われ、この日の高値136.69円に値を上げた。その後は様子見の姿勢が強まり終値は136.53円となった。
株式
NYダウ平均 USD 32,654.59 +431.17 (+1.33%)
NASDAQ総合 USD 11,984.523 +321.732 (+2.75%)
S&P500 USD 4,088.85 +80.84(+2.01%)
5月17日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、3日連続で前日の終値を上回った。朝方発表の4月小売売上高で堅調な消費状況が示され、クレジットカードなどの消費関連銘柄に幅広く買いが入った。高インフレの懸念が強まる中で力強い景気が意識されると、長期金利が前日より上昇した。さらに、金融株や旅客関連銘柄などの景気敏感株も買われ堅調に値を上げ、3指数揃って値を上げ終えた。
債券
米国債10年 2.995%(+0.116)
商品
NY原油(WTI) 1バレル=USD 112.40 -1.80(-1.58%)(6月渡し)
NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,814.0 +5.80(+0.32%)(6月渡し)
【日本】米ドル 決済資金や米長期金利の上昇が支えに
為替(17時)
5月17日の東京外国為替市場の主なトピックスは、朝方は国内輸入企業の決済に向けた買いが入った。また、米長期金利が時間外に2.92%に上昇したことが支えとなっている。
合わせて、午前中に開催された衆院財務金融委員会で政府や日銀からコメントが出たが影響は軽微だった。日銀の雨宮正佳副総裁は「現在の強力な金融緩和続けることで、家計や企業の経済活動をしっかりサポートしていくことが重要だ」、「短期間の為替の過度な変動は望ましくない」と述べた。鈴木俊一財務相も「為替相場は経済のファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要」、「最近のような急速な為替の変動は望ましくない」と述べている。
さらに、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟を巡りトルコが反対の姿勢を取っている。それに加えてロシアが脅しをかけており、地政学リスクが高まっている。
なお、10時30分に豪準備銀行(中央銀行)、5月3日の金融政策会合の議事録が公表された。会合では、政策金利であるオフィシャルキャッシュレートを2010年11月以来の利上げ(0.25ポイント引き上げ0.35%)を決定したが、0.15ポイントと0.25ポイント、0.40ポイントの3つの利上げ幅を検討したことが明らかとなった。現在の低い金利水準とインフレの上振れリスクが、0.40ポイント利上げの根拠となり得るとの見解も示され、対米ドル、対円ともに値を上げた。
米ドル・円は、朝方に値を下げたが国内輸出企業の決済を米長期金利の上昇から堅調に推移し17時時点では129.39円となった。
ユーロ・米ドルは、地政学リスクの懸念が強く積極的な取引は控えられた。17時時点では1.0463ドルだった。
ユーロ・円も、昼頃まで積極的な取引は控えられていたが、小幅に値を上げた。さらに、欧州勢参加後に上昇し17時時点では135.39円で取引された。
債券
国債先物・22年6月限 149.48(変化なし)
10年長期金利 0.240%(変化なし)
【マーケットアナリティクス】EURUSDは1.05を超えて戻り、短期的な下降トレンドを解消(5月17日)
ユーロ・米ドルは、最近の上昇を受け投資家が利益確定の売りを行なった後に1%上昇し、重要な境目の1.05ドル台を飛び越えた。
■EUデータでユーロが上昇
欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのクラース・ノット氏は、今後数カ月間のデータでインフレが拡大・蓄積していることが示されれば、50ベーシスポイントの利上げを排除すべきではないと、火曜日にオランダのテレビ局で語った。「ECBは政策を正常化しなければならない」とノット氏は言い、7月の25ベーシスポイントの利上げは妥当であると付け加えている。
火曜日に発表された欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)の第1四半期(1-3月期)の域内総生産は年率5.1%で拡大し、ほぼ市場予想と同様の5%だった。前期比では0.3%上昇し、雇用者数は予想通り0.5%増加した。
投資家は今後のFRB高官の発言に注目している。パウエルFRB議長は本日午後にウォール・ストリート・ジャーナルのイベントで講演する予定があり、他の中央銀行幹部も金曜日まで様々な講演が予定されている。
■弱気の罠?
決済前の米ドル買いの約定(ロングポジション)のストップロス(損切り)が破られたため、1.05ドルを下回る周期(サイクル)新安値への最近の下落は、弱気の罠であった可能性があるように思われる。本日、ユーロが1.05ドルを超えて取引を終えた場合、反転パターンが確認されるため、さらなる上昇が見られるかもしれない。
その場合、次のターゲットは、以前ユーロが失敗した1.06ドル近辺となる可能性がある。また、1.05ドルを超えられない場合、売り圧力が再び高まり、現在の安値である1.04ドルまで上昇する可能性がある。
ユーロ・米ドルデイリーチャート 5月17日(CET・中央ヨーロッパ時間)
引用元: “EURUSD Returns Above 1.05, Cancels Short-term Downtrend” (2022年5月17日, AXIORY Global Market News)
追記:5月18日、日本時間6:00のユーロ・米ドルは1.0549-1.0552ドルで取引されている