【米国】
為替(6月2日6時00分)
米ドル円(USDJPY) 130.08-130.15 (円)
ユーロ円(EURJPY) 138.48-138.65 (円)
ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0647-1.0652 (米ドル)
ポンド円(GBPJPY) 162.36-162.55 (円)
ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2482-1.2490 (米ドル)
6月1日のニューヨーク外国為替市場に影響のあった出来事は、昨日に続き長期金利が上昇だ。朝方発表された05月 米ISM製造業景気指数(前年比、結果:56.1、予想:54.6、前回:55.4)は、予想を上回りモノの需要の強さが観測され、米国の景気の強さを示した。景気後退(リセッション)懸念をやわらげ、投資家心理が上向いている。この影響から長期金利が上昇し、2.951%を付けた。
なお、5月米製造業購買部協会景気指数(PMI)改定値(結果:57.0、予想:57.5、前回:57.5)は、予想を下回っている。
米サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は、米連邦準備理事会(FRB)が高インフレに向け50ベーシスポイント(0.5%、1bp=0.01%)刻みの利上げを数回実施し、年末までに金利を2.5%に引き上げるという見通しを示した。米経済は力強くFRBの引き締め策により米経済がリセッション(景気後退)に陥るとは思わないと述べている。
さらに、米セントルイス連銀のブラード総裁は高インフレ引き下げに向け、積極的な利上げを行うべきとの見解を述べた。その上で長期的に現在計画している利上げの一部を巻き戻すことになるとの見通しを示している。
また、カナダ銀行(中央銀行)は政策金利を2会合連続で大幅な利上げを実施した。0.5%引上げ、1.5%とした。カナダ銀行は、高インフレが続く懸念からインフレ抑制に必要ならば、「一段と強力な」措置を取る可能性があると警告している。これを受け、米ドル・カナダドルは1.2646カナダドル、カナダドル・円は102.55円に上昇した。なお、米ドル・カナダドルは米経済指標の強さから値を落としたが、カナダドル・円は4月21日に付けた102.96円を超え、2015年1月以来、約7年5カ月ぶりの高値103.10円を付けた。
米ドル・円(USDJPY)は、朝方に発表された05月 米ISM製造業景気指数の強い結果から長期金利が上昇し、5月11日以来の高値130.19円を付けた。FRB高官の発言も後押しとなり、その後も堅調に推移し、終値は130.13円だった。
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのホルツマン・オーストリア中銀総裁の発言から小幅に上昇し1.0739ドルまで買われた。ホルツマン氏は、記録的なユーロ圏インフレ率が7月の0.5ポイント利上げの根拠を強めると主張した。しかし、強い米経済指標から米ドル買いが優勢となると急激に値を落とし、この日の安値1.0627ドルまで値を下げた。その後は、小幅に買い戻され終値は1.0650ドルとなった。
ユーロ・円(EURJPY)は、ユーロ・米ドルの動きにつられ徐々に値を落とし138.27円まで値を落とした。しかし、米ドル・円の上昇に引き上げられ138.76円に値を戻した。その後は、小幅に値を下げ終値は138.58円だった。
株式
NYダウ平均 USD 32,813.23 -176.89 (-0.53%)
NASDAQ総合 USD 11,994.460 -86.931 (-0.71%)
S&P500 USD 4,101.23 -30.92(-0.74%)
6月1日の米株式市場のダウ工業株30種平均は連日で前日の終値を下回った。長期金利が終日、高水準で推移し、高インフレや早期のFRBの金融引き締めへの懸念が強まり、投資家心理が弱まった。朝方発表された経済指標から米経済の底堅さが意識され買われていたが、長期金利上昇と共に前日の終値を下回り、3指数揃って値を下げた。
債券
米国債10年 2.911%(+0.067)
商品
NY原油(WTI) 1バレル=USD 115.26 +0.59(+0.51%)(7月渡し)
NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,848.7 +0.30(+0.02%)(8月渡し)
【日本】米長期金利上昇などから全般円売りに
為替(17時)
6月1日の東京外国為替市場の主なトピックスは、10時前に時間外の米長期金利が2.877%に上昇すると日米金利差が意識された。また、原油先物価格が高値圏で推移し、貿易収支の悪化が懸念されている。
また、日本銀行の若田部昌澄副総裁は講演で、現状は低インフレと一部価格の上昇が同時に起きているとし、低インフレについては引き続き「金融緩和の粘り強い継続によって着実に経済の好循環を支え、賃金が上がっていく環境を維持することが必要になる」と述べた。
米ドル・円は、長期金利の上昇や日米金利差、原油価格の高騰から貿易収支の悪化懸念から円売りが優勢だった。主要16通貨に対して全面安。5月17日以来およそ2週間ぶりの高値129.54円となった。その後は小幅に値を下げ、17時時点では129.40円だった。
ユーロ・米ドルは、米ドル・円の動きにつられ朝方は1.0712ドルまで値を下げた。その後は、徐々に値を戻し、欧州勢参加後に1.0737ドルまで値を下げ17時時点では1.0714ドルだった。
ユーロ・円は、徐々に値を上げ、欧州勢参加後にさらに値を上げ、この日の高値138.98円を付けた。その後は小幅に値を下げ17時時点では138.65円となった。
債券
国債先物・22年6月限 149.76(+0.11)
10年長期金利 0.230%(-0.005)
【マーケットアナリティクス】0.50%の利上げを受け、カナダドルが下落(6月1日)
カナダドルは、いくつかの強気(ブル)なニュースが出たが、ポジティブな勢いをつけることができなかった。それどころか、日中付けた安値付近での取引が続き米ドル・カナダドル(USDCAD)1.2670付近で推移し、日中は0.2%高で取引された。
■カナダ銀行はタカ派的な発言
本日未明、カナダ銀行は、予想通り政策金利を0.50%(50bp)引き上げ1.50%とし、インフレの圧力と高水準が続く懸念を示す、タカ派的な声明を発表した。
特に、金融政策委員会は2%のインフレ目標達成の約束を果たすため、「必要に応じより強力に」行動する用意があることを表明した。
政策担当者はインフレ率が4月の予想を上回るペースで上昇しており、"短期的には、はるかに高く上昇した後、低下し始める可能性が高い "と述べている。
0.50%の引き上げは予想されていたが、ブルームバーグはティフ・マックレム総裁率いる政策当局が、これまで言われていたよりも早いスピードでの引き締めを検討しているのではないかとの疑念をあおることになるだろうと報じている。
現在、FRBが今年後半に引き締めペースを緩める前に、7月13日の会合でさらに0.5%の引き上げを行うことを想定している。その後、中央銀行は目標値である3%で停止すると予想されている。
■強気の反転は近い?
本日の値動きにより、さらに上昇の勢いが増し、前日までの弱気(ベア)トレンドが反転する可能性がある。また、1.2660にある200日移動平均線(紫色のライン※)上に戻っており、短期的な方向性を強気に変えている可能性が高い。
次のレジスタンス(上値抵抗線)は、以前の安値である1.2720付近(赤の水平線)となる可能性もある。
下降局面では再び下落を始めた場合、本日の安値である1.26付近に向かって下落する可能性がある。
※移動平均線:一定期間(この場合は200日間)の終値の平均値の推移を折れ線グラフで示したもの。相場が上昇傾向にあるのか、下落傾向にあるのかといったトレンドを把握しやすい。
米ドル・カナダドル、デイリーチャート 6月1日(CET・中央ヨーロッパ時間)
引用元: “Loonie Declines After 50bps Rate Hike” (2022年6月1日, AXIORY Global Market News)
追記:6月2日、日本時間6:00の米ドル・カナダドルは1.2655-1.2658カナダドルで取引されている