米CPI結果から7月FOMCでの1%利上げ観測が強まる

2022/07/14 7:33 JST投稿
 
 

【米国】

為替(7月14日6時00分)
 米ドル円(USDJPY)    137.42-137.44 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    138.09-138.26 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0054-1.0058 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    163.33-163.38 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1887-1.1890 (米ドル)
 
7月13日のニューヨーク外国為替市場では、6月米消費者物価指数(CPI)の結果に注目が集まった。前年同月比(結果:9.1%、予想:8.8%、前回:8.6%)で1981年11月以来、40年半ぶりの高い伸びを記録した。市場予想を上回るのは4ヵ月連続。前月比(結果:1.3%、予想:1.1%、前回:1.0%)でもガソリン価格や住居費、食品コストの上昇から、2005年以来の大幅な伸びが記録されている。変動の大きい食品とエネルギーを除く前年同月比のコアCPI(結果:5.9%、予想:5.7%、前回:6.0%)も上昇している。
 
米連邦準備制度理事会(FRB)が公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)には、米国ではここ数週間で著しい物価上昇が見られたが、一部地域ではインフレが減速しつつある兆しもあるとの記載があった。また「リセッション(景気後退)リスクの高まりを巡る懸念」が指摘されている。これらの結果から7月の連邦公開市場委員会(FOMC、7月26、27日開催)での1%の利上げ観測が強まった。
 
これらの結果を受け、ボスティック米アトランタ連銀総裁はインフレの数字は懸念すべき要素だと述べ、あらゆる行動が考慮されると説明した。記者からこれらの行動に1.0%の利上げが含まれるか否かを問われると、検討の可能性を認めた。ボスティック総裁は11日に0.75%利上げを支持する考えを改めて示している。
 
また、フェデラルファンド(FF)先物は、7月のFOMCで1%の利上げが実施される確率を54%に織り込んだ。さらにシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のフェドウォッチも82%の確率を示した。
 
2年債と10年債(長期金利)の利回りは、7日連続で逆転(逆イールド)している。終値ベースで2年債が3.149%、10年債が2.935%となった。
 
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、米CPIの大幅な上昇結果を受けFRBの積極的な金融引き締めが意識されると米ドル買いが強まった。この結果、2002年12月以来、約20年ぶりに1ユーロ=1ドルのパリティ(等価)を割り込み0.9998ドルまで値を下げた。その後は、安値圏が意識された上、長期金利が3.071%から2.899%に低下すると米ドルが売られ、この日の高値1.0122ドルまで急上昇した。その後は、欧州圏のリスクが意識されると徐々に値を下げ1.0059ドルで終えた。
 
米ドル・円(USDJPY)は、予想を上回る米CPI結果から長期金利が3.071%に上昇すると米ドル買いが優勢となり、1998年9月以来、約24年ぶりの高値を更新し137.87円を付けた。その後は利益確定売りや長期金利が2.899%に低下すると米ドル売りに転じ137.10円付近に値を下げた。その後は、小幅に値を戻し、終値は137.39円となった。
 
ユーロ・円(EURJPY)は、朝方にユーロ・米ドルの上昇につられ、この日の高値138.80円に値を上げた。その後は米長期金利の低下や地政学リスク、さらに欧州の景気後退が意識され値を下げ、終値は138.19円だった。
 
株式
 NYダウ平均  USD 30,772.79 -208.54 (-0.67%)
 NASDAQ総合  USD 11,247.582  -17.146 (-0.15%)
 S&P500      USD  3,801.78  -17.02(-0.44%) 
 
7月13日の米株式市場のダウ工業株30種平均は4日連続で前日の終値を下回った。6月消費者物価指数(CPI)が予想を上回る上昇となり、連邦公開市場委員会(FOMC)で高インフレ抑制への積極的な取り組みが警戒された。一時460ドル超、前日の終値から下回る場面もあったが、景気動向の影響を受けにくいディフェンシブ株が買われ徐々に値を戻した。6月中旬にガソリン価格が低下し、7月のCPIはインフレ圧力が弱まる結果が見込まれ、投資家心理が上向いた影響も大きかった。また、逆イールドが続いている影響で金融株も売られている。
 
債券
 米国債10年 2.935%(-0.023)
 
商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 96.30 +0.46(+0.48%)(8月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,735.5  +10.70(+0.62%)(8月渡し)
 
 

【日本】米CPI発表を控え様子見の姿勢強く

為替(17時)
7月13日の東京外国為替市場では、6月米消費者物価指数(CPI)の発表を控え、様子見の姿勢が強く大きな動きは出なかった。
 
なお、ニュージーランド準備銀行(中央銀行)は政策金利であるオフィシャル・キャッシュレートを2%から0.5%引き上げ、2.5%にした。0.5%引上げは3会合連続。高インフレ抑制を確信するまで金融政策の引き締めを継続するとしている。
 
ユーロ・米ドルは、6月米消費者物価指数(CPI)の発表を控え、様子見の姿勢が強く大きな動きが出なかった。欧州勢参加後にリスク回避の姿勢が強まり1.0006ドルまで売られた。前日の東京時間に20年ぶりの安値1.0005ドルが下値支持線(サポート)として意識されると持ち直し、17時時点では1.0033ドルだった。
 
ユーロ・円は、朝方に株価の上昇から投資家心理が上向き137.71円まで上昇したが、その後は様子見の姿勢が強まり横ばいで推移した。欧州勢参加後はユーロ買いが優勢となり徐々に値を上げ、この日の高値137.96円まで値を上げた。その後は137.24円まで値を落とし17時時点では137.49円で取引されている。
 
米ドル・円は、朝方に株価の上昇から投資家心理が上向き、この日の高値137.25円を付けた。その後は、長期金利やダウ先物の低下から小幅に値を下げた。6月米消費者物価指数(CPI)の発表を控え、様子見の姿勢も強く大きな動きにはつながらず17時時点では137.04円となった。
 
債券
 国債先物・22年9月限  149.26 (+0.06)
 10年長期金利  0.230%(-0.010)
 
 

【マーケットアナリティクス】AUDUSD 米インフレデータを受け下落(7月13日)

本日、価格変動(ボラティリティ)が大きくなったが、米ドルが選好され豪ドル・米ドル(AUDUSD)は0.67台に押し上げられた。
 
■米国のインフレが加越
アナリストは、食品とエネルギー価格の上昇から物価の上昇を予想していた。しかし、CPIは前年比9.1%増となり、状況ははるかに悪化(予想では8.8%、前回8.6%)。前月比では1.3%となり、2005年以来最高となった。住宅インフレは1992年以来の高水準の5.61%上昇し、家賃インフレは1986年以来の高水準の5.78%上昇した。
 
コアインフレ率では前年比5.9%となり、前回の6.0%から低下したが、予想の5.7%より高くなった。前月比は0.6%から0.7%に上昇した。
 
■フォーリングウェッジ
4時間足チャート上では、大規模なフォーリング(落下)ウェッジパターンのように見え、通常、強気(ブル)の反転フォーメーションとなる。AUDUSDは現在、下限レンジ付近に位置しており、大きなサポート(下値支持線)と買い圧力になる可能性がある。
 
0.6810付近の上側の弱気(ベア)トレンドラインを上抜けした場合、新たな強気相場への弾みとなる可能性がある。しかしながら、0.6880より上で推移した場合0.70レベルをターゲットとしたパターンが有効となる可能性もある。また、0.67を下回った場合はさらに0.65を下回る可能性が出て、このパターンは無効となるだろう。

豪ドル・米ドル、デイリーチャート 7月13日(CET・中央ヨーロッパ時間)
 
引用元: “AUDUSD Drops After US Inflation Data” (2022年7月13日, AXIORY Global Market News)                         
 
追記:7月14日、日本時間6:00の豪ドル・米ドルは0.6756-0.6757ドルで取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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