欧州景気後退懸念の強まりからユーロ売りに転じる

2022/07/19 7:13 JST投稿
 
 

【米国】

為替(7月19日6時00分)
 米ドル円(USDJPY)    138.04-138.14 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    140.11-140.12 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0144-1.0145 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    165.08-165.11 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1949-1.1954 (米ドル)
 
7月18日のニューヨーク外国為替市場では、欧州の景気後退懸念が強まったものの朝方に発表された弱い経済指標の結果から来週(7月26、27日)に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)での1%の利上げ観測がさらに後退した。
 
7月NAHB住宅市場指数(結果:55、予想:66、前回:67)が発表され、2020年5月以来の水準に低下した。消費者が高インフレや金利上昇、供給網問題の圧力から住宅購入を控えている状況が表れた。
 
2年債と10年債(長期金利)の利回りは、10日連続で逆転(逆イールド)している。終値ベースで2年債が3.17%、10年債が2.989%となった。
 
また、ブルームバーグによるマーケッツ・ライブ(MLIV)パルスの最新週間調査によると景気後退(リセッション)を受けユーロが危機的状況で、先週のイタリアの政治危機によって同国債のリスクが再び危険水域に達したと警鐘を鳴らした。欧州が今後半年間で不況を回避できる可能性が高いと予想したのは、回答者792人のうちわずか16%に上った。ユーロについては69%が1ユーロ=1.1ドルには戻らず、0.9ドルに下落すると予測している。
 
さらに、ロシアの国営天然ガス企業・ガスプロムが欧州の顧客に対して期限のない不可抗力条項を宣言した。ガス供給の制限を継続する意思の表れと見られている。現在、7月21日までパイプライン「ノルドストリーム」が定期点検で停止しているが、停止が長期にわたる懸念が高まった。その一方で、欧州委員会はこの日、アゼルバイジャンと2027年までに天然ガスの輸入量を少なくとも年間200億立方メートルに倍増させることを盛り込んだ覚書に調印した。
 
ユーロ・米ドル(EURUSD)では、7月NAHB住宅市場指数が予想を大幅に下回ったことが判明すると、来週のFOMCでの1%の利上げ観測がさらに後退した。この影響から米ドルが売られ、この日の高値1.0201ドルを付けた。しかし、MLIVパルスで欧州への投資の懸念の強まりが示された上、ガスプロムの供給停止の長期化への懸念から徐々に値を下げた。しかし、欧州委員会とアゼルバイジャンとの覚書締結が好感され、下げ幅が縮まり終値は1.0143ドルとなった。
 
米ドル・円(USDJPY)は、7月NAHB住宅市場指数の冴えない結果から米ドル売りにつながり、この日の安値137.97円まで値を下げた。その後は、7月20、21日日銀金融政策決定会合で金融緩和の継続観測から日米金利差が続くとの意識から138.24円まで値を戻した。その後は小幅に値を下げ、終値は138.14円だった。
 
ユーロ・円(EURJPY)は、ユーロ・米ドルの上昇につられ、この日の高値140.80円を付けた。その後は、欧州での景気後退リスクが高まると徐々に値を下げ、140.12円で終えた。
 
株式
 NYダウ平均  USD 31,072.61 -215.65 (-0.68%)
 NASDAQ総合  USD 11,360.048  -92.373 (-0.80%)
 S&P500      USD  3,830.85  -32.31(-0.83%) 
 
7月18日の米株式市場のダウ工業株30種平均は再び反落し、前日の終値を下回った。朝方は好調な企業決算が出た金融株中心に値を上げ、350ドル超前日の終値を上回る場面もあった。米連邦準備理事会(FRB)の大幅な利上げから景気が後退するとの懸念が強まる中、アップル社の景気低迷の可能性に備え、一部の部門で来年の採用や支出を減速させる計画をブルームバーグが伝えられた。この結果、投資家の売りが優勢となり徐々に値を下げ、前日の終値を下回り終えた。
 
債券
 米国債10年 2.989%(+0.059)
 
商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 102.60 +5.01(+5.13%)(8月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,710.2  +6.60(+0.39%)(8月渡し)
 
 

【日本】FRB大幅利上げ観測減退の影響大きく

為替(17時)
7月18日の東京外国為替市場では、祝日を迎え機関投資家の動きが希薄な中で、米連邦準備制度理事会(FRB)による大幅利上げへの期待が後退した影響が大きかった。
 
米ドル・円は、FRBの大幅な利上げ観測が弱まり徐々に値を下げた。この日の138.01円まで米ドルが売られ、17時時点では138.08円となった。
 
ユーロ・米ドルは、欧州中央銀行(ECB)が7月21日に利上げの実施に向け投資家心理が上向き徐々に値を上げた。欧州勢参加後にさらに値を上げ、1週間ぶりの高値1.0149ドルを付け、17時時点では1.0145ドルとなった。
 
ユーロ・円は、ユーロ・米ドルの上昇につられ徐々に値を上げた。この日の高値140.21円まで値を上げ17時時点では140.10円だった。
 
*海の日の祝日のため債券は休場

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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