米ドル PPI鈍化から売られるも利上げ観測強く買戻し

2022/08/12 7:08 JST投稿
 
 

【米国】

為替(8月12日6時00分)
 米ドル円(USDJPY)    132.94-132.98 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    137.21-137.31 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0321-1.0325 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    162.20-162.23 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2197-1.2200 (米ドル)
 
8月11日のニューヨーク外国為替市場では、7月生産者物価指数(PPI)に注目が高まった。7月PPIの前月比(結果:-0.5%、予想:0.3%、前回:1.1%)は、予想外にパンデミックによる都市封鎖開始直後の2020年4月以来で初めてのマイナスとなった。前年比(結果:9.8%、予想:10.4%、前回:11.3%)では、予想以上に鈍化し昨年10月来で最小を記録した。また、変動の大きい燃料や食料を除いたコアPPI(結果:7.6%、予想:7.7%、前回:8.2%)は、予想外に鈍化し、2020年12月来で最小の伸びを記録した。
 
合わせて、同時刻に発表された先週分の新規失業保険申請件数(結果:26.2万件、予想:26.3万件、前回:26.0万件)は、2021年11月初旬来で最大となった。失業保険継続受給者数(結果:142.8万件、予想:140.5万件、前回:141.6万件)も予想以上に増加した。パンデミック来のマイナスとなったPPIを受けて米国債相場は続伸。10年債利回りは2.73%まで低下している。
 
サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は11日の英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)に、インフレ抑制の勝利宣言は時期尚早と述べた。7月消費者物価指数(CPI)発表後のインタビューに答えたもので、「前月比のデータでは消費者や企業(の負担)が幾分和らいでいるという朗報もあるが、インフレ率は依然として高すぎる上、われわれの物価安定の目標には近づいていない」と言及した。小幅な利上げ支持と9月のFOMCまで雇用や物価の関連指標を注視するとの見解を示している。
 
2年債と10年債(長期金利)の利回りは、28日連続で逆転(逆イールド)している。終値ベースで2年債が3.227%、10年債が2.889%となった。
 
米ドル・円(USDJPY)は、サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁のハト派的な発言や前日発表されたCPIに続いて7月PPIでインフレ圧力の弱まりが観測され、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペース減速への懸念から米ドルが売られた。先週分の新規失業保険申請件数や失業保険継続受給者数の増加への懸念もあり、長期金利が132.32円から8月2日の安値を更新し131.74円まで安くなった。その後は、FRBのバランスシート縮小観測の強まりから長期金利が徐々に上がると米ドルが買い戻され133.14円まで値を戻した。長期金利は2.73%から2.902%まで上昇している。その後、小幅に値を下げ終値は133.02円となった。
 
ユーロ・米ドル(EURUSD)では、前日の米CPIや朝方に発表された米PPIを受け米ドル売りが強まり、この日の高値1.0364ドルを付けた。その後は、前日の高値1.0368ドルが上値抵抗線(レジスタンス)として意識された上、米長期金利が上昇すると米ドルが買い戻され終値は1.0320ドルとなった。
 
ユーロ・円(EURJPY)は、米ドル・円の動きにつられた。朝方は米ドル・円の下落につられ、この日の安値136.31円を付けたが、米ドルが持ち直すとユーロも買い戻され、この日の高値137.39円を付けた。その後は小幅に値を下げ終値は137.30円となった。
 
株式
 NYダウ平均  USD 33,336.67 +27.16(+0.08%)
 NASDAQ総合  USD 12,779.913  -74.892 (-0.58%)
 S&P500      USD  4,207.27  -2.97(-0.07%) 
 
8月11日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、前日の終値を連日で小幅に上回った。7月PPIが予想外に下落し、前日発表の7月消費者物価指数(CPI)に続きインフレ懸念が和らいだ。FRBが利上げのペースを緩めるとの観測の強まりから景気の冷え込みへの懸念が後退している。朝方は堅調に値を上げていたが、長期金利の上昇によってハイテク株が売られ、小幅な上昇に留まった。
 
債券
 米国債10年 2.889%(+0.108)
 
商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 94.34 +2.41(+2.62%)(9月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,807.2  -6.50(-0.36%)(12月渡し)
 
 

【日本】祝日やPPI発表受け様子見の姿勢強く

為替(17時)
8月11日の東京外国為替市場では、山の日の祝日から連休に入る企業も多く、個人投資家中心の取引ながら大きな動きにつながりにくかった。また、この後、米国で発表される11日の生産者物価指数(PPI)を見極めたいとの思惑の影響も大きかった。
 
米ドル・円は、米国市場での下げの反動から小幅に買い戻されるもPPIを見極めたいとの思いから値動きは限定的だった。17時時点では132.44円で取引されている。
 
ユーロ・米ドルは、値動きがあまり出ない状況だったが、欧州勢が参加すると時間外の米長期金利の低下を受けユーロ買いが強まり、この日の高値1.0332ドルを記録した。17時時点では1.0325ドルとなっている。
 
ユーロ・円は、日中は小幅な値動きにとどまったが、欧州勢参加後にユーロ・米ドルが上昇し17時時点では136.75円だった。
 
*債券は山の日の祝日のため休場

この記事をシェアする
アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


もっと読む
クッキー(Cookie)について: お客様が本ウェブサイトにアクセスする際、セキュリティの確保やお客様に関する情報を取得することを目的に、クッキー(Cookie)を使用する場合があります。 本ウェブサイトにお客様が継続的に訪問する場合、クッキーについて同意することと見なします。またクッキーはいつでも削除することが可能です。
FAQ お問合せ サポートデスク
月曜日-金曜日
9:00-24:00