米ドル 良好な経済指標から値を戻すも様子見強まる

2022/08/17 7:39 JST投稿
 

【米国】

為替(8月17日6時00分)
 米ドル円(USDJPY)    134.18-134.25 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    136.43-136.53 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0170-1.0172 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    162.32-162.47 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2087-1.2097 (米ドル)
 
8月16日のニューヨーク外国為替市場では、朝方に発表された経済指標の影響が大きかった。7月住宅着工件数(結果:144.6万件、予想:154.5万件、前回:155.9万件)は、住宅ローン金利の上昇と資材価格の高騰を受け2021年2月以来、約1年半ぶりの低水準となった。一方で建設許可件数(結果:167.4万件、予想:165.5万件、前回:168.5万件)では、10ヵ月ぶりの低水準ながら、予想外に増加したことがプラスに作用した。
 
さらに、その後発表された7月 鉱工業生産指数(前月比、結果:0.6%、予想:0.2%、前回:-0.2%)でも、自動車・部品の伸びがプラスとなり堅調な製造業の状況が示された。7月設備稼働率(前月比、結果:80.3%、予想:80.2%、前回:80.0%)も予想外に上回り投資家心理が上向いた。
 
また、独の8月 ZEW景況感指数(結果:-55.3、予想:-60.0%、前回:-53.8)が前月よりさらに悪化したことで欧州景気後退への危機感が高まっている。
 
2年債と10年債(長期金利)の利回りは、31日連続で逆転(逆イールド)している。終値ベースで2年債が3.268%、10年債が2.808%となった。
 
米ドル・円(USDJPY)は、朝方は良好な経済指標から米ドル買いが強まり、この日の高値134.68円まで値を上げた。長期金利が2.869%に上昇したこともプラスに作用した。その後は、翌日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録の公開を控え様子見の姿勢が強まり、終値は134.22円となった。
 
ユーロ・米ドル(EURUSD)では、早朝に8月独ZEW景況感指数の低調な結果から8月3日以来の安値1.0123ドルを付けた。その後は買戻しが入り、この日の高値1.0195ドルまで値を戻したが、欧州の景気後退懸念から徐々に値を下げ、終値は1.0171ドルだった。
 
ユーロ・円(EURJPY)は、東京時間にみずほ銀行が日銀当座預金の一部でマイナス金利を適用した懸念からユーロ買いが優勢だった。朝方にこの日の高値136.92円まで値を上げたが、リスクが意識されると小幅に値を下げ136.50円で終えた。
 
株式
 NYダウ平均  USD 34,152.01 +239.57(+0.70%)
 NASDAQ総合  USD 13,102.549    -25.504 (-0.19%)
 S&P500      USD  4,305.20  +8.06(+0.18%) 
 
8月16日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、前日の終値を5日連続で上回った。小売りのウォルマートとホームセンターのホーム・デポが好調な決算を発表し、個人消費の堅調さが示された。これを受け、消費関連株や景気敏感株が買われた。また、長期金利が上昇したことで、ハイテク株が売られ、主要3指数のうちナスダック総合のみ下落し終えた。
 
債券
 米国債10年 2.808%(+0.017)
 
商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 86.53 -2.88(-3.22%)(9月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,789.7  -8.40(-0.47%)(12月渡し)
 
 

【日本】米ドル 世界的な景気後退懸念が出るも持ち直し

為替(17時)
8月16日の東京外国為替市場は、朝方は世界的な景気後退懸念からリスク回避の姿勢が強まったが、国内輸入企業の決済に向けた買いなどから持ち直している。また、みずほ銀行が日銀に預けている当座預金の金利にマイナス金利が適用されたことで円買いが弱まった影響による投資家心理の冷え込みも大きかった。
 
米ドル・円は、朝方はリスクオフの円買いが優勢となり、この日の安値132.95円まで値を下げた。その後は、国内企業の決済に向けた米ドル買いなどから値を戻し、徐々に上昇し始めた。欧州勢が参加するとさらに値を上げ、この日の高値133.80円を付け、17時時点では133.66円ととなった。
 
ユーロ・米ドルは、朝方はリスク回避の姿勢が強まり小幅に値を下げたが、米ドル・円の上昇につられ値を戻した。欧州勢参加後は、さらにリスク回避のドル買いが強まり、この日の安値1.0134ドルまで値を下げ、17時時点では1.0160ドルだった。
 
ユーロ・円は、朝方は円買いが強まり、この日の安値134.95円を付けた。その後は、国内輸入企業の決済に向けたユーロ買いが強まり値を上げるも大きな動きは出なかった。欧州勢参加後は、欧州株価の上昇からユーロ買いが強まり、徐々に値を上げ17時時点では135.79円で取引されている。
 
債券
 国債先物・22年9月限  150.61 (+0.28)
 10年長期金利  0.165%(-0.020)
 
 

【マーケットアナリティクス】GBPNZDは、絶対的に重要な長期的な下値支持線に跳ね返される(8月16日)

本日の分析では、ポンド・NZドル(GBPNZD)が重要な下値支持線(サポート)から跳ね返されていることに注目したい。
 
週足チャートで説明するが、これは長期的な投資を選好する投資家向けのものだ。そのため、本稿を読み、急いで取引を行なう必要はない。
 
GBPNZDは、上昇のトレンドラインに跳ね返されている。1つは2018年末以降の高値(赤)、もう1つは2016年末以降の安値(緑)を結んでいる。これに加え、フィボナッチリトレースメント(※)の23.6%がサポートラインとなっており、これも買いの支持線として考慮したい。
 
先週は、価格がかなり崩れ、状況は楽観的ではなかった。しかし、今週に入り昨日と今日で、私たちに希望をもたらしている。買い手は週明けまで、強気な巻き込み型パターンで戦うことになると思われるが、その中でもまだ250ピップスほどの上昇を逃している。
 
フィボナッチリトレースメントの23.6%の上にある限り、投資家心理はポジティブだ。もし、このレベルをブレイクアウトすると、非常に強い、長期的な売りシグナルをもたらすことになるだろう。幸運なことにこの2営業日で、強気派(ブル)にとってそのチャンスはかなり制限されている。
 
(※)フィボナッチリトレースメント:フィボナッチは、13世紀中世ヨーロッパ時代に活躍したイタリアの数学者レオナルド・フィボナッチの名前に由来。フィボナッチ数列から導き出したフィボナッチ比率をベースとしている。リトレイスメントは戻りを意味し、戻りの目安の判断や、サポートライン、レジスタンスラインとして利用される。水準としてフィボナッチ比率に基づいた23.6%、38.2%、50%、61.8%と補足的に76.4%を用い、終点を0%とし戻りの目安を23.6%ラインに置くことから始まる。
    
ポンド・ニュージーランドドル、デイリーチャート 8月16日(CET・中央ヨーロッパ時間)
 
引用元: “GBPNZD Bounces off an Absolutely Crucial, Long-Term Support” (2022年8月16日, AXIORY Global Market News)                                
 
追記:8月17日、日本時間6:01のポンド・ニュージーランドドルは1.9051-1.9077NZドルで取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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