低調な米経済指標ながらFRB利上げ観測が支え

7:24 JST投稿

【米国】

為替(824600分)
 米ドル円(USDJPY)    136.74-136.82 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    136.29-136.46 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 0.9967-0.9972 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    161.76-161.89 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1830-1.1839 (米ドル)

823日のニューヨーク外国為替市場では、朝方に発表された経済指標の影響が大きかった。8月米製造業PMI速報値(結果:51.3、予想:52.0、前回:52.2)は市場予想を下回った。サービス部門PMI速報値(結果:44.1、予想:50.1、前回:47.3)では20205月以来、23ヵ月ぶりの低水準となっている。

さらに、リッチモンド連銀製造業指数(結果:-8.0、予想:-2.0、前回:0.0)が低調な結果となり、7月米新築住宅販売件数(結果:51.1万件、予想:58.1万件、前回:59.0万件)も大幅に減少した。これらの低調な結果から長期金利が3.076%から2.989%に低下した。

2年債と10年債(長期金利)の利回りは、36日連続で逆転(逆イールド)している。終値ベースで2年債が3.302%10年債が3.057%となった。

米ドル・円(USDJPY)は、朝方に発表された低調な経済指標から長期金利が急落すると、前日の安値136.70円を抜け135.82円まで値を下げた。その後、26日のジャクソンホール会議での利上げ継続宣言への期待から長期金利が持ち直すと徐々に値を戻し、136.89円まで値を上げ、終値は136.77円となった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、朝方の低調な米経済指標からユーロ買いが強まり、この日の高値1.0018ドルを付けた。その後は、エネルギー価格高騰などによる欧州景気後退への懸念が強く徐々に値を下げ、終値は0.9970ドルだった。

ユーロ・円(EURJPY)は、朝方に朝方の低調な米経済指標からユーロ買いが強まり、この日の高値137.06円を付けた。しかし、欧州景気後退への懸念が強まり急激に値を落とし135.89円まで値を下げた。その後は持ち直し、136.35円で終えている。

株式
 NYダウ平均  USD 32,909.59 -154.02-0.46%
 NASDAQ総合 USD 12,381.301 -0.272 -0.00%
 S&P500   USD 4,128.73  -9.26-0.22%) 

823日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、前日の終値を3日連続で下回った。26日の恒例のジャクソンホール会議でのパウエル議長が利上げ継続の示唆への懸念の強まりから売りが優勢だった。朝方に発表された8月米購買担当者景気指数(PMI、速報値)の低調な結果により投資家心理が冷え込んだ。さらに長期金利が3%台の高水準となっている影響も大きく、3指数揃って値を下げ終えた。

債券
 米国債10年 3.057%+0.022

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 93.74 +3.38+3.74%)(10月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,761.2  +12.80+0.73%)(12月渡し)
 

【日本】ジャクソンホール会議控え大きな値動きは出ず

為替(17時)
823日の東京外国為替市場は、26日のジャクソンホール会議でのパウエル議長の講演で利上げの継続が示唆されるとの見込みから値を下げづらい状況が続いている。かつ、講演内容を見極めたいとの思惑から様子見の姿勢も強く大きな動きは出づらくなっている。

一方で、ユーロは欧州の景気後退懸念から値を下げている中で、8月独製造業PMI速報値(結果:49.8、予想:48.0、前回:49.3)が予想外に上回ったことが好感された。8月独サービス業PMI速報値(結果:48.2、予想:49.0、前回:49.7)は予想を下回っている。また、8月ユーロ圏速報値(結果:49.7、予想:49.0、前回:49.8)も予想を上回った。しかし、8月ユーロ圏サービス業PMI速報値(結果:50.2、予想:50.5、前回:51.2)は予想を下回る強弱入り混じった結果となっている。

米ドル・円は、様子見の姿勢が強く大きな値動きは出なかった。朝方は小幅に値を上げ、この日の高値137.71円を付けた。その後は小幅に値を下げ137円付近まで安くなるも値を戻し17時時点では137.27円となっている。

ユーロ・米ドルは、欧州景気後退懸念から年初来安値の0.9901ドルまで値を下げた。その後は独製造業PMI速報値の良好な結果が好感され0.9947ドルに値を戻し、17時時点では0.9933ドルだった。

ユーロ・円は欧州景気後退懸念から円買いが優勢となり、徐々に値を下げた。欧州勢参加後にさらに値を下げ、この日の安値135.74円を付けたが独製造業PMI速報値の結果が好感され、17時時点では136.35円に回復した。

債券
 国債先物・229月限  149.78 +0.07
 10年長期金利  0.215%-0.005

【マーケットアナリティクス】ユーロ・米ドルはパリティを下回る水準で推移、上昇する理由はない(823日)

火曜日のユーロ・米ドル(EURUSD)は、心理的な節目の等価(パリティ)の下でしっかりと取引され、ユーロを購入する理由はなさそうだ。

8月のユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.7となり、予想の49.0と前回の49.8を上回った。しかし、26カ月ぶりの低水準に落ち込んだ。

8月のサービス業PMI7月の51.2から50.2へと大きく低下し、予測の50.5を下回った。また、同指標は17ヶ月ぶりの低水準となった。

8月のSPグローバル・ユーロ圏PMI総合は、予測の49.0と事前予想の49.9から49.2に低下した。これは、過去18ヵ月で最低の数値となった。

SPグローバルのチーフ・ビジネス・エコノミスト、クリス・ウィリアムソンは発表後「生活費の圧迫は、パンデミック規制の解除に伴うサービス部門の回復が遠のいたことを意味し、一方、製造業は8月も収縮に陥り、需要減少の中で企業が製品を移動できないため完成品の在庫が再び記録的に蓄積されている。」とコメントした。

無能なECB
一方、ロイターによると、欧州中央銀行(ECB)のファビオ・パネッタ執行委員は24日、金融政策をさらに修正する必要がある可能性を示唆した。

パネッタ氏は景気後退がインフレ圧力を弱めると述べたほか、ユーロ圏の景気後退の可能性が高まっていることを認めた。

ユーロは依然として大きな弱気チャネル内で取引されており、次のターゲットは0.9750付近のチャネル下限だ。この水準に到達すると、統合や救済ラリーが見られるかもしれない。

一方、当面の売り圧力を打ち消すには、ユーロが1.02を超える必要がある。

ユーロ・米ドル、デイリーチャート 823日(CET・中央ヨーロッパ時間)

引用元: “EURUSD Remains Below Parity, No Reason to Rally2022823, AXIORY Global Market News)                                     

追記:824日、日本時間6:00のユーロ・米ドルは0.9967-0.9972ドルで取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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