FOMCでの利上げが意識され米ドル買い強まる

2022/09/21 7:40  JST投稿
 

【米国】

為替(9月21日6時00分)
 米ドル円(USDJPY) 143.71-143.76 (円)
 ユーロ円(EURJPY) 143.31-143.38 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 0.9969-0.9974 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY) 163.48-163.64 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1379-1.1381 (米ドル)

9月20日のニューヨーク外国為替市場では、翌日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で3会合連続の0.75%の利上げが意識され、長期金利が上昇し米ドル買いが強まっている

朝方に発表された8月住宅着工件数(結果:157.5万件、予想:145.5万件、結果:144.6万件)は、予想を上回った。一方で、8月住宅建築許可件数(結果:151.7万件、予想:161.0万件、結果:167.4万件)は、住宅ローン金利の上昇が響き2020年6月以来の低水準となっている。強弱入り混じる結果ながら、好調な住宅着工件数が好感されている。

また、金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、55日連続で逆転(逆イールド)した。終値ベースで2年債が3.971%、10年債が3.569%となっている。長期金利は一時3.604%と2011年4月以来、11年ぶりの高水準となった。2年債も上昇し、一時3.992%と2007年10月、15年ぶりの高水準となり、さらに逆イールドが進んでいる。

米ドル・円(USDJPY)は、FOMCでの利上げ期待や8月住宅着工件数の良好な結果から長期金利が11年ぶりの高水準に上昇すると米ドルが買われ、この日の高値143.92円を付けた。その後は、FOMCを前に様子見の姿勢が強まり、ほぼ横ばいで推移し終値は143.75円となった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、米ドル・円の動きにつられ、朝方は値を下げた。この日の安値0.9955ドルを付けたが、先週末の安値0.9945ドルが意識されると買い戻しが入り0.9960ドルまで持ち直した。しかし、欧州での景気後退への懸念が強まり再び値を下げ終値は0.9971ドルだった。

ユーロ・円(EURJPY)は、ユーロ・米ドルの動きにつられた。朝方に、この日の安値143.02円を付けたが持ち直し143.64円まで値を戻した。その後は、景気後退への懸念が強まり値を下げ143.05円まで下落するも持ち直し143.34円で終えている。

米ドル・カナダドル(USDCAD)は、朝方は全般米ドル買いが強まった影響や原油先物価格の下落を受けカナダドルが売られた。その後、この日発表された8月カナダ消費者物価指数(CPI、前月比、結果:-0.3%、予想:-0.1%、前回:0.1%)が予想を下回り、インフレのピークアウト観測が強まるとカナダドル買いが強まり2020年10月以来の高値1.3375カナダドルまで高まり1.3369カナダドルで終えている。


株式
 NYダウ平均 USD 30,706.23 -313.45(-1.01%)
 NASDAQ総合  USD 11,425.051    -109.969 (-0.95%)
 S&P500     USD  3,855.93 -43.96(-1.12%)

9月20日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、前日の終値を下回った。FOMCでの金融引き締め観測の強まりから長期金利が11年ぶりの高水準に上昇し、警戒感の強まりから売りが優勢となっている。幅広い銘柄で売りが出て、終日で前日の終値を下回り、一時550ドル超まで値を下げる場面もあった。

債券
 米国債10年 3.569%(+0.08)

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 83.94 -1.42(-1.66%)(11月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,671.1 -7.10(-0.42%)(12月渡し)
 

【日本】対照的な日米金融政策が意識され米ドルは堅調

為替(17時)
9月20日の東京外国為替市場は、FOMCでの大幅な利上げ期待の高まりから米ドル買いが強まっている。一方で、今週は主要国の中央銀行会合が目白押しで様子見の姿勢も強く、上昇が抑制され小幅な動きに留まった。

朝方は持ち高調整などのドル売りにより上昇する場面が見られたが、米金利が底堅く推移する中、値を戻した。市場関係者からは21日から始まる米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に方向感が出にくく、目先はレンジ相場が続くとの見方が出ている。

米ドル・円では、朝方は上昇を受けた利益確定売りや機関投資家の持高の調整から、米ドルが売られる場面もあった。その後は、FOMCへの利上げ期待から堅調に値を上げ、この日の高値143.55円まで値を上げ、17時時点では143.47円となった。

ユーロ・米ドルは、米ドル・円の動きにつられ、朝方はユーロ買いが優勢となり、この日の高値1.0051ドルまで値を上げた。その後は値を下げ小幅な値動きにとどまっていたが、欧州勢参加後に再び買いが入るも17時時点では1.0035ドルだった。

ユーロ・円は、朝方に小幅に上昇するも、小幅に値を下げ様子見の姿勢が強まった。その後は徐々に値を戻し、この日の高値144.04円を付け、17時時点では143.97円となった。

債券
 国債先物・22年12月限 148.45 (-0.03)
 10年長期金利 0.250%(変化なし)
 

【マーケットアナリティクス】USDCAD、カナダのインフレデータを受けて2年ぶりの高値を記録(9月20日)

カナダドルは対米ドルで2年ぶりの安値に下落し、トレーダーがインフレ率の予想より低い結果を受けカナダドルを売りUSDCADは1.33を上回った。

インフレ率は予想以上に鈍化
火曜日に発表されたカナダ統計局のカナダの消費者物価指数(CPI)インフレ率は7月の7.6%から8月には7%に低下した。市場予想では7.3%を下回っている。

専門家の予想6%とは対照的に、カナダ銀行(BOC)が発表した、変動の激しい食品とエネルギーコストを除いたコアCPIではは、年率換算で7月の6.1%から5.8%に減少した。

この結果、BOCは積極的な金融引き締め政策期待を後退させ、原油価格への影響は出ず、カナダドルの商品連動価値を低下させ続けている。

一方、米ドルは米国の利回り上昇に支えられているようだ。2年物米国利回りは2007年10月以来の心理的水準である4%を試しており、10年物米国利回りでは2011年4月以来の高水準となる3.5%を超えている。

トロント・ドミニオン証券のエコノミストは、データ発表を受け「消費者物価指数(CPI)のデータは、カナダドルにとってわずかながらマイナスとなる。いずれにせよ、このレポートは大きな反響を呼ぶものではなく、我々のバイアスはカナダドルのベンチマークとなる指標を下回っている(アウトパフォーム)ことに変わりはない」と述べた。

トレンドは強気を維持
1時間足チャートでは優れた三角保合いパターンがあり、現在、上方にブレイクしている。よって、長期的な上昇トレンドが継続する可能性がある。

強気派(ブル)の次のターゲットは、現在のサイクル高値1.3350、さらに心理的なレベルである1.35になると予想される。水曜日のFOMCの決定に向け、米ドルは引き続きアウトパフォームする可能性がある。

下降局面では、前回の高値1.3315付近が当面の下値支持線(サポート)となり、維持されない場合は、短期上昇トレンドライン1.3250に向けた下落が見られる可能性もある。
 米ドル・カナダドル、デイリーチャート 9月20日(CET・中央ヨーロッパ時間)

引用元: “USDCAD Hits 2-Yr Highs After Canadian Inflation Data” (2022年9月20日, AXIORY Global Market News)

追記:9月21日、日本時間6:00の米ドル・カナダドルは1.3366-1.3367カナダドルで取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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