米金利低下や日本の再介入への警戒続く

2022/09/30 7:45  JST投稿
 
 

【米国】

為替(9月30日6時00分)
 米ドル円(USDJPY)    144.36-144.47 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    141.73-141.75 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 0.9814-0.9817 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    160.48-160.56 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1114-1.1121 (米ドル)
 
9月29日のニューヨーク外国為替市場は、米金利の低下や日本の再介入への懸念から投資家心理が冷え込み、リスク回避の姿勢が強まっている。
 
金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、逆転(逆イールド)が61日連続。終値ベースで2年債が4.192%、10年債が3.782%だった。
 
また、朝方に発表された第2四半期(4-6月) 実質国内総生産(GDP、前期比年率、結果:-0.6%、予想:-0.6%、前回:-0.6%)では、2020年4-6月期以来、2年ぶりの2四半期連続のマイナスとなった。足元では、雇用が堅調に推移しており影響は軽微だった。
 
さらに、新規失業保険申請件数(9/18 - 9/24、前週比、結果:19.3万件、予想:21.6万件、前回:21.3万件)は、景気後退が懸念される中でも5ヵ月ぶりの低水準となり、堅調な状況が示された。失業保険継続受給者数(9/11 - 9/17、結果:134.7万件、予想:138.4万件、前回:137.9万件)では予想外に減少が続いている。新規失業保険申請件数はパンデミック前の10年間の平均が約30.6万件であり、20万件を下回ることは稀有で、良好な結果となった。
 
米ドル・円(USDJPY)では、景気後退への懸念から投資家心理が冷え込み、買いが入りにくい状況だった。朝方は堅調な労働指標が好感され小幅な下落にとどまったが、長期金利の低下から徐々に値を下げ144.26円まで米ドルが売られた。その後、買い戻されるも日本の再介入への懸念もあり、大幅な上昇とはならず終値は144.46円となった。
 
なお、クリーブランド連銀のメスター総裁は、高インフレを抑制に向けた利上げ継続の必要があるとの見解を示した。「向こう1年間のインフレ期待に基づく実質金利は、プラスの領域に入り、その領域でしばらくの間とどまる必要がある」と述べ、「フェデラルファンド(FF)金利はまだ抑制的な領域にさえ達していない」との見解を示した。また、セントルイス連銀のブラード総裁は「米連邦準備理事会(FRB)の迅速な利上げによりインフレを抑制することを望む」「市場は最新のドットプロットでメッセージを理解している」と述べた。さらに、「英国の情勢が米見通しに影響を及ぼすことはない」との見方を示している。
 
ユーロ・米ドル(EURUSD)では、米ドル・円で米ドルが売られた影響を受け、堅調に値を上げた。また、ポンドが買い戻された影響や金の価格に影響を与える月末のロンドンフィキシングのユーロ買いも入り、この日の高値0.9816ドルを付け、終値は0.9815ドルとなった。
 
ユーロ・円(EURJPY)は、ユーロ・米ドルの上昇につられ、堅調に値を伸ばした。終値でこの日の高値を付け、141.81円で終えている。
 
株式
 NYダウ平均  USD 29,225.61 -458.13(-1.54%)
 NASDAQ総合  USD 10,737.506    -314.130 (-2.84%)
 S&P500      USD  3,640.47  -78.57(-2.11%) 
 
9月29日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、前日の終値を下回った。前日に買い戻された反動や長期金利の上昇からハイテク株が中心に売られている。また、世界的な金融引き締めによる景気後退への懸念も大きく、景気敏感株や消費関連株も売られ、一時、年初来安値(29,134.99ドル)を下回る場面もあった。また、前日の減産を受けアナリストが投資判断を引き下げられたアップルの影響も大きく、3指数揃って値を下げ終えている。
 
債券
 米国債10年 3.782%(+0.075)
 
商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 81.23 -0.92(-1.12%)(11月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,668.6  -1.40(-0.08%)(12月渡し)
 
 

【日本】米長期金利の上昇から米ドル買いが優勢に

為替(17時)
9月28日の東京外国為替市場では、米長期金利の上昇を受け米ドル買いが優勢となるものの、日本の介入への警戒が依然、強い状況だ。リスク回避の米ドル、円買いもみられた。
 
米ドル・円では、米長期金利の上昇を受け、堅調に値を上げている。この日の高値144.80円まで上昇し、17時時点では144.67円となった。
 
ユーロ・米ドルは、欧州各国の政治不安やポンドの下落から投資家心理が冷え込み、徐々に値を下げた。この日の安値0.9636ドルまでまでユーロが売られ、17時時点では0.9658ドルだった。
 
ユーロ・円は、リスク回避の姿勢の強まりから、円買いが優勢だった。小幅に値を下げ、この日の安値139.44円をつけたが、小幅に買い戻され17時時点では139.72円で取引されている。
 
債券
 国債先物・22年12月限  148.10 (+0.12)
 10年長期金利  0.250%(+0.005)
 

【マーケットアナリティクス】GBPUSDは上昇し、強固な上値抵抗線を試す(9月29日)

ポンドは、1.0930付近の主要な短期の上値抵抗線(レジスタンス)を飛び越えようと、今日も前日の終値を上回る水準を維持しようとしている。
 
これが成功すれば、投資家心理が改善し、ポンドと他のリスク資産を押し上げる可能性がある。
 
BOEが窮地を脱する
リズ・トラス首相の予算案が発表されて以来、英国の経済見通しは最悪に転じた。米国債の金利は2010年以来の高水準に急上昇し、英ポンドは37年ぶりの安値に落ち込んだ。
 
水曜日未明、英国の30年債金利は2002年以来の高水準に達し、ディーラーはこの不安定な資産を保有するリスクを誰も取りたがらず、債券の売買がますます困難になっているようだ。
 
しかし、水曜日に英中央銀行が約650億ポンドの長期国債を購入する介入を行ったことで、30年債利回りは1%低下した。
 
ロイター通信によると、リズ・トラス英首相は今回の施策について「国が直面していた状況を思い出すべきだ」と述べた。
 
トラス氏はさらに、英中央銀行と緊密に連携していることを改めて強調した。「私たちは世界中で困難な市場を見てきた。私は、政府が正しいことをしたと確信している」「首相として、私は困難な決断を下し、正しいことをする用意がある。」と自身の見解を示している。
 
短期トライアングル
1時間足チャートには、1.0930に上値抵抗線があり、優れた短期トライアングルパターンが存在している。この上値抵抗線を上に抜けた場合、心理的な境目の1.10を目指し、堅調な上昇相場となる可能性がある。
 
一方、1.07付近には上方の下値支持線(サポート)があり、これを下回る場合には弱気(ベア)トレンドが復活し、1.0550もしくは現在の安値である1.04付近をターゲットとする可能性がある。よって、価格変動(ボラティリティ)は、当面、上昇した状態が続くだろう。
 
ポンド・米ドル、デイリーチャート 9月29日(CET・中央ヨーロッパ時間)
 
引用元: “GBPUSD Advances, Tests Solid Resistance” (2022年9月29日, AXIORY Global Market News)  
 
追記:9月30日、日本時間6:00のポンド・米ドルは1.1114-1.1121ドルで取引されている

この記事をシェアする
アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


もっと読む
クッキー(Cookie)について: お客様が本ウェブサイトにアクセスする際、セキュリティの確保やお客様に関する情報を取得することを目的に、クッキー(Cookie)を使用する場合があります。 本ウェブサイトにお客様が継続的に訪問する場合、クッキーについて同意することと見なします。またクッキーはいつでも削除することが可能です。
FAQ お問合せ サポートデスク
月曜日-金曜日
9:00-24:00