ECBのハト派的な内容から全面ユーロ売りに

2022/10/28  7:35  JST投稿

【米国】

為替(10月28日6時08分)
 米ドル円(USDJPY)    146.27-146.31 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    145.76-145.80 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 0.9965-0.9967 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    169.12-169.22 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1562-1.1567 (米ドル)
 
10月27日のニューヨーク外国為替市場で最も大きく影響を及ぼしたのは、欧州中央銀行(ECB)理事会での弱いハト派的な内容だった。ECBは予想通り0.75%の利上げを発表し、政策金利を2%と定めた。足元で景気後退懸念が高まる中で、高インフレを抑制することに軸足を置いている。中銀預金金利については7月に0.00%に引き上げるまでマイナスだったが、今回は前回(9月、0.75%)の2倍となる1.5%とし、10年余りで最高となった。ロイターによると、当局者らは「金融緩和の引き揚げが相当大きく前進した」とコメントしている。声明で「インフレ率は引き続きあまりにも高く、長期にわたって目標を上回り続ける見込みだ」と指摘し、利上げ継続については、これまでの「数回の会合にわたり」という表現を削除した。今回、国債の保有額を減らす量的引き締め(QT)開始の是非への言及はなく、ユーロが売られている。
 
また、7-9月期国内総生産(GDP)速報値(前期比年率、結果:2.6%、予想:2.3%、前回:-0.6%)は、貿易赤字の大幅な縮小により3四半期ぶりのプラス成長となった。7-9月期個人消費速報値(前期比年率、結果:1.4%、予想:0.8%、前回:2.0%)では、前四半期より伸びが鈍化したものの予想を上回っている。先週分の新規失業保険申請件数(結果:21.7万件、予想:21.9万件、前回:21.4万件)は、わずかに予想を下回ったものの労働市場の強さが示された。
 
金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、80日連続で逆転(逆イールド)しており、終値ベースでは2年債が4.282%、10年債が3.927%だった。
 
米ドル・円(USDJPY)は、 ECB理事会を受けユーロが売られると、この日の高値146.93円に上昇した。しかし、長期金利の低下などに押され米ドルが売られ145.67円まで低下している。その後は、GDPの結果に左右されるも低調な7年債入札から長期金利が持ち直すと値を戻し、小幅に上げ146.29円で終えている。
 
ユーロ・米ドル(EURUSD)では、朝方に長期金利の低下から米ドルが売られると等価(1ドル)を上回った。しかし、ECB理事会の決定が想定より弱いハト派的な内容だったことからユーロが売られ、この日の安値0.9958ドルまで下落し、終値は0.9964ドル だった。
 
ユーロ・円(EURJPY)は、ECB理事会の決定を受けユーロが売られ徐々に値を下げた。この日の安値145.56円まで下落したが、小幅に戻し終値は145.76円となった。
 
株式
 NYダウ平均  USD 31,839.11 +2.37(+0.00%)
 NASDAQ総合  USD 10,970.992   -228.124 (-2.03%)
 S&P500      USD  3,830.60  -28.51(-0.73%) 
 
10月27日の米株式市場のダウ工業株30種平均は前日の終値を上回った。GDPで3四半期ぶりのプラス成長が示され景気後退懸念が弱まり、景気敏感株が買われ10時30分過ぎに550ドルほど前日の終値を上回る場面もあった。また、重機メーカーのキャタピラーなどの良好な決算の銘柄も買われている。一方で、SNSプラットフォームを提供するフェイスブックを運営するメタプラットフォームズの売上見通しが下回り売られ、それがハイテク株に飛び火した影響も大きかった。
 
債券
米国債10年 3.927%(-0.088)
 
商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 89.08 +1.17(+1.33%)(12月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,665.60 -3.60(-0.22%)(12月渡し)

【日本】日銀会合への思惑から円買い進む

為替(17時)
10月27日の東京外国為替市場では、明日の日銀金融政策決定会合で政策を修正するとの思惑から円買いが優勢だった。前日のカナダ銀行(中銀)の予想外の利上げ幅縮小を受け、米国の引き締めペースの減速を見込んだ思惑も出ている。
 
米ドル・円では、朝方に時間外の米長期金利が持ち直すと、この日の高値146.46円を付けた。その後、明日の日銀金融政策決定会合に絡む思惑から円が買われた上、強気の時に米ドルの買いを入れたポジションの解消も出て円買いが出ている。この日の安値145.11円まで値を下げると、米ドルの買戻しが入り17時時点では145.72円となった。
 
ユーロ・米ドルは、欧州中央銀行(ECB)の結果公表を控えた思惑から機関投資家のポジション調整が出て、徐々に値を下げた。この日の安値1.0055ドルまで値を下げ、17時時点では1.0066ドルで取引されている。
 
ユーロ・円は、米ドル・円の動きにつられ徐々に値を下げ、この日の安値146.28円を付けた。欧州勢が参加するとECB理事会での大幅な利上げ決定の観測が強まり、ユーロが買われ17時時点では146.68円だった。
 
債券
 国債先物・22年12月限  148.66 (+0.34)
 10年長期金利  0.250%(変化なし)

この記事をシェアする
アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


もっと読む
クッキー(Cookie)について: お客様が本ウェブサイトにアクセスする際、セキュリティの確保やお客様に関する情報を取得することを目的に、クッキー(Cookie)を使用する場合があります。 本ウェブサイトにお客様が継続的に訪問する場合、クッキーについて同意することと見なします。またクッキーはいつでも削除することが可能です。
FAQ お問合せ サポートデスク
月曜日-金曜日
9:00-24:00