USD 金融高官のタカ派的な発言から142円台に回復

2022/11/22 747 JST投稿

【米国】

為替(1122600分)
 米ドル円(USDJPY)    142.09-142.09 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    145.53-145.53 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0240-1.0240 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    167.93-167.95 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1818-1.1819 (米ドル)

1121日のニューヨーク外国為替市場は、先週のセントルイス連銀のブラード総裁やボストン連銀のコリンズ総裁の利上げを推奨するタカ派的な発言に支えられた。この発言から米連邦準備理事会(FRB)による積極的な金融引き締めが長期化するとの観測が再認識され、金利の上昇も続いている。

金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、95日連続で逆転(逆イールド)しており、終値ベースでは2年債が4.563%10年債が3.840%だった。

また、サンフランシスコ連銀のデイリー総裁による「インフレは容認できないほど高い」とのタカ派的な発言もプラスに作用した。加えて、インフレ鈍化に向け一段の利上げを進める中、金融政策の効果が経済に行き渡るには時間差が伴うことに当局者らは留意する必要があると述べ、政策金利は少なくとも5%に達するとの見方を改めて示した。さらに、クリーブランド連銀のメスター総裁は、「12月に0.75%から減速するのは問題ない」と述べている。

米ドル・円(USDJPY)は、FRBの金融引き締め姿勢が強まる中、金融高官のタカ派的な発言がプラスに作用し、この日の高値142.25円を付けた。その後も堅調に推移し、終値は142.14円となった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、米ドル買いが優勢な上、ポルトガル中銀のセンテノ総裁が「12月の理事会では過去2回の会合で決定した0.75%の利上げから利上げ幅を縮小する可能性がある」と述べユーロ売りが加速した。この日の安値1.0223ドルまで値を下げたが、オーストリア中銀のホルツマン総裁の「状況が変わらなければ0.75%の利上げを支持する」との発言から小幅に買い戻され1.0242ドルで終えている。

ユーロ・円(EURJPY)は、朝方はユーロ・米ドルの下落につられたが、米ドル・円の上昇につられた上昇からこの日の高値145.65円を付けた。その後は、小幅に値を下げ終値は145.57円だった。

株式
 NYダウ平均  USD 33,700.28 -45.41-0.13%
 NASDAQ総合 USD 11,024.511 -121.552 -1.09%
 S&P500   USD 3,949.94  -15.40-0.38%) 

1121日の米株式市場のダウ工業株30種平均は前日の終値を下回った。中国でコロナウイルスの感染が再拡大し、ゼロコロナ政策強化が懸念され石油やハイテク株が売られている。一方で、ディズニーが長くCEOを務めたボブ・アイガー氏のCEO復帰を発表したことが好感され買いが高まったほか、景気動向に左右されにくいディフェンシブ銘柄が買われ、一時100ドル超前日の終値を上回る場面もあった。しかしながら売りは根強く小幅に前日の終値を下回り終えている。

債券
米国債10年 3.840%+0.022

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 80.04 -0.07-0.09%)(1月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,739.60 -14.80-0.80%)(12月渡し)
 

【日本】中国ゼロコロナ規制強化受けリスク回避強まる

為替(17時)
1121日の東京外国為替市場では、中国でコロナウイルス感染拡大を受け一部地域に外出自粛要請が発令されたとの報道からリスク回避の米ドル買いが強まった。一方では、米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録公表を控え様子見の姿勢も根強い状況だ。

米ドル・円では、中国のゼロコロナ政策の引き締めが再び意識されるとリスク回避や日米金利差が意識され、米ドル買いが強まりった。一方でFOMC議事録の公表を控え様子見も強く140円台での狭い値動きにとどまっている。17時時点では140.85円だった。

ユーロ・米ドルは、リスク回避の米ドル買いの強まりから徐々に値を下げ、1111日以来の安値1.0250ドルまで値を下げた。17時時点では1.0256ドルとなっている。

ユーロ・円は、リスク回避の円買いが強まり徐々に値を下げ、17時時点では144.48円で取引されている。

債券
 国債先物・2212月限  149.41 +0.03
 10年長期金利  0.240%-0.005
 

【マーケットアナリティクス】GBPNZDはペナントの終焉を迎える(1121日)

珍しくポンド・ニュージーランドドル(GBPNZD)で、過去数週間、注目したいテクニカルな動きの1つが出ている。現在、適切なシグナルはなく横ばいのトレンドにあるが、これはすぐに終わるはずだ。うまくいくと新たに中期的な、取引機会に恵まれることになるだろう。

これは9月にGBPNZDが素晴らしいヘッド&ショルダーパターン(グレー※)を形成し始めたときに始まった。完了するまでに1ヶ月以上かかったが、11月初旬、ついに価格がこのパターンのネックライン(黄色)をブレイクすることに成功した。しかしながら、パニック的な売りが出ることはなかった。その代わりGBPNZD2本の収縮するトレンドラインで形成されたペナント(青)を作り、初期の横ばいトレンドに価格が固定された。興味深いことに、直近では、価格は2つの重要なフィボナッチレベル(23.6%38.2%)の間で推移している。

これにどのように対峙するかは、意外にも容易だ。ペナントの上側のラインと23.6%を突破すると外国為替証拠金取引を買うロングに、ペナントの下側のラインとさらにフィボ38.2%を突破すると売りのシグナルになる。ヘッドアンドショルダーパターンが下降トレンドの始まりであることから、現在のところ、後半の選択肢となる可能性がやや高いだろう。

(※)ヘッドアンドショルダーパターン:チャート上で相場の天井を迎えたことを示唆するパターン。三つの山と二つの谷で形成され、二つの山に挟まれた真ん中の山が相場の天井(高値)を示している。ダブルフォーメーションより出現頻度が少なく、高確率でトレンドが転換される状況が示される。


ポンド・ニュージーランドドル、デイリーチャート 1121日(CET・中央ヨーロッパ時間)

引用元: “GBPNZD comes to an end of the pennant formation20221121, AXIORY Global Market News)                

追記:1122日、日本時間6:00のポンド・ニュージーランドドルは1.9370-1.9373ニュージーランドドルで取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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