2022/11/28 7:07 JST投稿
【今週の見通し】(11月28日-12月04日)
先週は24日に感謝祭を迎え、後半は休暇を取っている機関投資家も多く、大きな動きが出づらい状況だった。一方で、米連邦準備理事会(FRB)が利上げペースを緩めるとの見方が強まっており、投資家心理が弱い状況だ。
今週、注目すべき動きとしては、11月30日にパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演が予定されている。市場を牽制する発言内容が出た場合は、一気に流れが変わる可能性がある。さらに、12月2日の米雇用統計は、12月13、14日に行われる米連邦公開市場委員会(FOMC)前の重要な指標だ。賃金や雇用者数で市場予想を上回ると長期金利の上昇が抑制される恐れがあり、影響が大きいため注目したい。また、12月1日のISM製造業景気指数で景気後退の50を下回ると投資家心理に影を落とすため、注意したい指標となっている。
主なスケジュール
11月28日(月):米サイバーマンデー(感謝祭翌週の月曜日の大規模なオンラインセール)、ラガルドECB総裁講演、ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁講演、ブラード・セントルイス連銀総裁講演、EU外相理事会
11月29日(火):雇用統計(10月)、小売売上高(10月)、百貨店・スーパー売上高(10月)、ユーロ圏消費者信頼感指数(11月)、独消費者物価指数(11月))、米S&P/コアロジック都市住宅価格指数(9月)、米消費者信頼感指数(11月)
11月30日(水):中国製造業PMI/非製造業PMI(11月)、ユーロ圏消費者物価指数(11月)、ADP全米雇用報告(11月)、米GDP改定値(7-9月)、米JOLTS求人件数(10月)、米中古住宅販売成約指数(10月)、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長講演、米地区連銀経済報告(ベージュブック)公表
12月1日(木):7-9月期法人企業統計、野口日銀審議委員講演、黒田日銀総裁、アジア開発銀行研究所25周年記念式典で挨拶、中国財新製造業PMI(11月)、米個人所得(10月)、米個人消費支出(10月)、米個人消費支出(10月)、米ISM製造業景況指数(11月)、ローガン・ダラス連銀総裁講演、ボウマンFRB理事講演、バーFRB副議長講演、米仏首脳会談、ミシェルEU大統領と中国の習近平国家主席会談、欧州安全保障協力機構(OSCE)閣僚会合、インドがG20議長国に就任
12月2日(金):米雇用統計(11月)、黒田日銀総裁・ASEAN+3マクロ経済リサーチオフィス(AMRO)主催イベントで挨拶、エバンス・シカゴ連銀総裁講演、ラガルドECB総裁講演
予想レートは米ドル・円が136円前半から142円前半。ユーロ・米ドルが1.02ドル前半から1.06ドル前半。
【米国】
為替(11月28日6時00分)
米ドル円(USDJPY) 139.14-139.22 (円)
ユーロ円(EURJPY) 144.45-144.55 (円)
ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0384-1.0388 (米ドル)
ポンド円(GBPJPY) 168.21-168.36 (円)
ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2083-1.2093 (米ドル)
11月25日のニューヨーク外国為替市場は感謝祭の祝日明けの翌日で、参加者が少なく大きな動きの出にくい一日となった。足元では、米連邦準備理事会(FRB)が利上げペースを緩めるとの見方が強まっており、米ドルが売られやすい状況が続いている。
金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、98日連続で逆転(逆イールド)しており、終値ベースでは2年債が4.467%、10年債が3.691%だった。
米ドル・円(USDJPY)は、朝方は長期金利の上昇から、この日の高値139.60円まで値を上げた。その後、FRBの利上げペース鈍化観測の強まりから徐々に投資家心理が冷え込み値を下げた。長期金利の低下も影響し値を下げ、終値は139.19円となった。
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、12月Gfk消費者信頼感指数(結果:-40.2、予想:-39.0、前回:-41.9)が過去最低となった10月(-42.8)と同様の低水準で推移し消費者心理が厳しい状況に置かれていることが示された。朝方に、この日の安値1.0355ドルまで値を下げ、その後は長期金利の低下からユーロ買いが強まり徐々に値を戻し、終値は1.0395ドルだった。
ユーロ・円(EURJPY)は、朝方は厳しい独経済指標から値を下げたが徐々に値を戻し144.58円で終えている。
株式
NYダウ平均 USD 34,347.03 +152.97(+0.44%)
NASDAQ総合 USD 11,226.356 -58.962 (-0.52%)
S&P500 USD 4,026.12 -1.14(-0.02%)
11月25日の米株式市場のダウ工業株30種平均は前日の終値を3日連続で上回り、前日に続き4月21日以来の高値を更新した。この日は感謝祭の翌日の短縮取引ながら、FOMCの利上げペースの鈍化観測の強まりから、堅調に値を上げた。景気敏感株や消費関連株が買われた。
債券
米国債10年 3.691%(-0.018)
商品
NY原油(WTI) 1バレル=USD 76.28 -1.66(-2.13%)(1月渡し)
NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,768.80 +8.40(+0.48%)(2月渡し)
【日本】米感謝祭受け大きな動き出ず
為替(17時)
11月25日の東京外国為替市場では、米国が感謝祭による祝日から時短取引と続き、多くの機関投資家が休暇に入っているところも多く、大きな動きにつながりにくかった。一方で時間外の米債券利回りの低下や週末の調整に向けた売りも出ている。
米ドル・円は、米国が感謝祭の祝日となり大きな動きが出にくい状況だった。朝方に一時、決済に向けた買いが入り、この日の高値139.05円まで値を上げたが、その後は利益確定や週末に向けた調整の売りが出た。徐々に値を下げ17時時点では138.80円となった。
ユーロ・米ドルは、大きな動きが出ず方向性が定まらなかった。小幅な取引が続き、17時時点では1.0409ドルとなった。
ユーロ・円は、朝方に決済に向けた買いが入り小幅に値を上げ、この日の高値144.68円を付けた。その後は、小幅に値を下げ17時時点では144.48円で取引されている。
債券
国債先物・22年12月限 148.97 (-0.41)
10年長期金利 0.250%(+0.005)
【マーケットアナリティクス】GBPCADは1.6を上回る水準に回復(11月25日)
今週はFOMC議事録で、大幅な利上げの時期が終わったことを示したため米ドルにとって非常に重要な転換点となっている。しかしながら、米ドルだけが重要なトピックスではない。複数の金融商品が重要な動きを見せ、有望な長期取引へのシグナルを発している。その一例が今日めざましい動きをみせたポンド・カナダドル(GBPCAD)だ。
大半が週足チャートで有効であり、長期投資家にとって喜ばしいものとなっている。2016年以降、GBPCADは1.6(黄色)の黄金の下値支持線(サポート)を持ち、それは2022年半ばまで破られることがなかった。ブレイクアウト後、1800ピップスも暴落したが、それ以上にすごかったのは9月に底を打った後の素早い回復だ。
9月末以降V字回復を見せ1.6を目指す展開となったが、今回は底値からの上昇となった。今週は1.6を上抜け、新たな長期的な買いシグナルが発生したことが重要なポイントだ。この買いシグナルは、価格が黄色いエリアの上に張り付いている限り継続するだろう。
ポンド・カナダドル、デイリーチャート 11月25日(CET・中央ヨーロッパ時間)
引用元: “GBPCAD is back above 1.6” (2022年11月25日, AXIORY Global Market News)
追記:11月28日、日本時間6:44のポンド・カナダドルは1.61689-1.61951カナダドルで取引されている