米ドル 重要金融イベント控え様子見の姿勢強まる

2022/12/09  7:41  JST投稿
 

【米国】

為替(12月09日6時00分)
 米ドル円(USDJPY)    136.67-136.67 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    144.27-144.27 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0556-1.0556 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    167.26-167.27 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2238-1.2238 (米ドル)
 
12月8日のニューヨーク外国為替市場では、リスク回避の姿勢の強まりに加え、この先の金融イベントが意識され上値が抑制された。主なイベントとしては、明日発表される11月米卸売物価指数(PPI)や来週の11月米消費者物価指数(CPI、13日)、米連邦公開市場委員会(FOMC、13・14日)が控えている。
 
また、経済指標で堅調な労働市場が示される一方で、失業者が増加した。新規失業保険申請件数(結果:23.0万件、予想:22.9万件、前回:22.5万件)では、景気後退懸念の強まりが出ている中、堅調な労働市場が示された。一方で失業保険継続受給者数(結果:167.1万件、予想:161.3万件、前回:160.8万件)は、大幅に増加し2月初旬以来で高い値が出ている。
 
金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、107日連続で逆転(逆イールド)しており、終値ベースでは2年債が4.314%、10年債が3.489%だった。
 
米ドル・円(USDJPY)は、景気後退への懸念からリスク回避の姿勢が強まる中、重要な金融イベントを控え上昇が抑制された。雇用関連の経済指標で失業率の上昇が示されると米ドル売りが出たが、強い雇用環境が示されるとすぐに値を戻した。しかし、再びリスク回避の姿勢が意識され値を下げるも小幅に値を上げ、終値は136.67円となった。
 
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、低調な米ドルを受けユーロ買いが強まり堅調に値を上げた。前日の高値1.0550ドルを超え1.0565ドルまで上昇したが、5日の6月28日以来の高値1.0595ドルが上値抵抗線(レジスタンス)として意識されると伸び悩んだ。その後は、ほぼ横ばいで推移し終値は1.0556ドルだった。
 
ユーロ・円(EURJPY)は、ユーロ・米ドルの上昇につられ朝方に付けた143.50円から、この日の高値144.36円まで値を伸ばした。その後は小幅に値を下げ、144.27円で終えている。
 
株式
 NYダウ平均  USD 33,781.48 +183.56(+0.54%)
 NASDAQ総合  USD 11,082.003   +123.450 (+1.12%)
 S&P500      USD  3,963.51  +29.59(+0.75%) 
 
12月8日の米株式市場のダウ工業株30種平均は3日連続で前日の終値を上回った。FRBの利上げ長期化観測の強まりから景気後退への懸念が強く売られていたハイテク株や景気敏感株が買い戻されている。一方で、PPIやCPIを見極めたいとの思惑も出て、上昇が抑制される場面もあった。
 
債券
米国債10年 3.489%(+0.081)
 
商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 71.46 -0.55(-0.76%)(1月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,801.50 +3.50(+0.19%)(2月渡し)
 
 

【日本】米長期金利に連動した値動き中心に

為替(17時)
12月8日の東京外国為替市場では、朝方は米国市場の流れを受け、リスク回避のリスクオフの姿勢が強かった。FRBの長期利上げ継続観測の強まりによる景気後退への懸念や、長期金利の低下、プーチン大統領の核使用への言及から投資家心理が冷え込んだ。その後、米長期金利が持ち直すと投資家心理が上向いている。また、年度末の決済に向けた米ドルやユーロ買いも入っており、下値を崩しにくい状況となっている。
 
米ドル・円は、長期金利の動きに左右された。朝方は長期金利の低下やリスク回避の米ドル売りにつながったが、金利が上昇に転じると徐々に値を戻し、この日の高値137.24円を付けた。その後は小幅に値を下げ、17時時点では136.71円となった。
 
ユーロ・米ドルでは、米ドル・円の下落からユーロ買いが強まり、この日の高値1.0531ドルを付けた。その後、長期金利が上昇すると米ドル買いに転じると徐々に値を下げ、17時時点では1.0525ドルで取引されている。
 
ユーロ・円は、ユーロ・米ドルの上昇につられ小幅ながら上昇した。背景には、プーチン大統領の核への言及や欧州景気後退への道筋が厳しいとの見方があり、上昇は限定され17時時点では143.89円だった。
 
債券
 国債先物・22年12月限  149.06 (-0.09)
 10年長期金利  0.250%(変化なし)
 
 

【マーケットアナリティクス】ポンド・円は三角持ち合いで取引、ブレイクアウト待ち(12月8日)

本日のテクニカル分析では、大きな買いシグナルの一歩手前のところにいるポンド・円(GBPJPY)に焦点を当てたい。あと一歩のところで買い手が躊躇し、売り手が最後の防衛ラインで上昇を止めようと頑張っている。
 
過去6週間、GBPJPYは対称的な三角形(赤と青のライン)の中で取引され、ここ数日は形成されている上側のライン(赤)に一定の圧力がかかっている。このダイナミックな上値抵抗線(レジスタンス)とともに、167.3円(オレンジ)には水平方向のレジスタンスもある。
 
ここでの値動きは非常にシンプルだ。GBPJPYがこの2つのレジスタンスを破り、緑の長方形の部分かそれ以上で終えると、中期的な買いシグナルとなる。一方、価格が弱気(ベア)の拒否パターンで大きく跳ね返された場合は、売りの良いシグナルとなるだろう。私見では、最初のシナリオの可能性がやや高いため、逆指値注文でブレイクアウトを狙うのは非常に面白いアイデアだと思われる。
 
 
ポンド・円、デイリーチャート 12月8日(CET・中央ヨーロッパ時間)
 
引用元: “GBPJPY trades inside triangle, waiting for breakout” (2022年12月8日, AXIORY Global Market News) 
                  
追記:12月9日、日本時間6:00のポンド・円は167.26-167.27円で取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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