FOMC終え、投資家心理上向く

2022/12/16  7:54  JST投稿

【米国】

為替(12月16日6時08分)
 米ドル円(USDJPY)    137.75-137.75 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    146.32-146.33 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0622-1.0622 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    167.67-167.70 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2173-1.2173 (米ドル)

12月15日のニューヨーク外国為替市場では、前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げを継続させるタカ派的な姿勢を受け、投資家心理が上向いた。一方で、政策金利を発表した欧州中央銀行(ECB)やイングランド銀行(英中央銀行・BOE)の利上げから、景気後退への懸念が出ている。

まず、ECBは予想通り0.5%の利上げにより中銀預金金利が2%となった。さらに大幅な金利引き上げを表明し、量的金融緩和策として買い入れた約5兆ユーロ(約730兆円)に上る国債などの資産の縮小を来年3月に開始することも発表した。ラガルド総裁は会見で、「経済指標によるが一定期間0.50%の利上げ継続を見込むべき」「ECBは市場が見込むよりもさらに金利を上げるべき」と利上げ継続のタカ派的な姿勢を示している。

BOEも政策金利を0.5%引き上げ、政策金利が14年ぶり高水準の3.5%と定めた。短期金融市場では利上げ見通しを引き下げ、来年8月までに4.51%と下方修正した。ベイリー総裁はインフレがピークを過ぎた可能性を示唆し、「予測に対するリスクは上振れするとの認識を示しており、インフレは向こう数カ月にわたり非常に高い状態が続くだろう」と述べている。この結果、英国の景気後退懸念が強まりポンド全般で売られている。

なお、この日発表された主な経済指標は軒並み予想を上回り状況が悪化した。
・12月ニューヨーク連銀製造業景気指数(結果:-11.2、予想:-1.0、前回:4.5)
・11月米小売売上高(結果:-0.6%、予想:-0.1%、前回:1.3%)
・12月フィラデルフィア連銀製造業景況指数(結果:-13.8、予想:-10.0、前回:-19.4)
・米11月鉱工業生産(結果:-0.2%、予想:0.2%、前回:-0.1%)

金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、112日連続で逆転(逆イールド)しており、終値ベースでは2年債が4.24%、10年債が3.45%だった。

米ドル・円(USDJPY)は、朝方発表された経済指標の弱い結果から一時的に米ドルが売られたものの、堅調に値を上げた。前日のFOMCで長期の利上げ観測が強まった上、欧州の景気後退懸念の強まりから米ドル買いが強まり11月30日以来の高値138.17円を付けた。その後、小幅に値を下げ終値は137.78円となった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)では、ECBの利上げ継続が好感され6月9日以来の高値1.0735ドルを付けたが、景気後退への懸念が強まり急激に値を下げた。安値1.0593ドルまで下げ幅を拡大し、1.0628ドルで終えた。

ユーロ・円(EURJPY)は、ECBの利上げを受け欧州と日本の金利差が意識されるとユーロ買いが強まった。11月10日以来の高値146.73円を付けた後は、小幅な売りが出て終値は146.43円だった。

株式
 NYダウ平均  USD 33,202.22 -764.13(-2.24%)
 NASDAQ総合  USD 10,810.526   -360.360 (-3.22%)
 S&P500      USD  3,895.75  -99.57(-2.49%) 

12月15日の米株式市場のダウ工業株30種平均は前日の終値を連日で下回った。FRBの利上げによる景気後退懸念が強まり、景気敏感株やハイテク株中心に幅広い売りが出た。13時過ぎに前日の終値を950ドル下回るほどの売りが出ている。

債券
米国債10年 3.45%(-0.053)

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 76.11 -1.17(-1.51%)(1月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,787.80 -30.90(-1.70%)(2月渡し)
 

【日本】メインイベント終え大きな動き出にくく

為替(17時)
12月15日の東京外国為替市場では、FOMCを終えた安堵感から大きな動きが出にくい状況だった。

米ドル・円は大きな動きが出にくい状況だったが、時間外の米長期金利が上昇に連れて小幅に値を上げた。高値135.90円を付けたが、前日の高値135.99円が高値抵抗線(レジスタンス)として意識されると小幅に値を下げ、17時時点で135.85円となっている。

ユーロ・米ドルは、欧州中央銀行(ECB)理事会を控え動きにくい状況の中、欧州の景気後退懸念から小幅に値を下げた。安値1.0640ドルまで値を下げ、17時時点では1.0642ドルだった。

ユーロ・円は、様子見の姿勢が強く144円の半ばでの横ばいで推移した。17時時点では144.57円だった。

債券
 国債先物・23年3月限  148.00 (-0.20)
 10年長期金利  0.250%(変化なし)

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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