日銀ショックからわずかに回復するも警戒強く

2022/12/22 7:41  JST投稿

【米国】

為替(12月22日6時00分)
 米ドル円(USDJPY) 132.33-132.35 (円)
 ユーロ円(EURJPY) 140.41-140.43 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0610-1.0611 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY) 159.94-159.96 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2085-1.2087 (米ドル)

12月21日のニューヨーク外国為替市場では、前日の東京時間に日銀が予想外な金融政策転換を実施し、急激に円買いが強まった影響が続いている。一方で、米長期金利の上昇によって米ドルが買い戻されている。

金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、116日連続で逆転(逆イールド)しており、終値ベースでは2年債が4.223%、10年債が3.673%だった。

なお、朝方に発表された12月コンファレンスボード消費者信頼感指数(結果:108.3、予想:101.5、前回:100.2)が予想を上回る上昇を記録し、4月以来、8カ月ぶりの高水準となった。今後6カ月の見通しを反映する期待指数が82.4に上昇した上、現況指数も147.2と3ヵ月ぶりの高水準だった。主な要因として、インフレの緩和やガソリン価格の下落から良好な結果が示されている。

また、11月中古住宅販売件数(結果:409.0万件、予想:422.0万件、前回:443.0万件)では、金利上昇が響き10カ月連続で減少が続いており、統計開始以降での最長な減少期間となった。
参考:前月比の比率(結果:-7.7%、予想:-5.2%、前回:-5.9%)

米ドル・円(USDJPY)は、朝方は強弱入り混じる経済指標の結果に翻弄され、131.74円から高値132.53円まで値を上げた。その後は、利益確定売りから131.80円まで値を下げるも長期金利の上昇から投資家心理が上向き132.51円まで値を戻した。しかし、長期金利が低下すると132.09円まで値を下げるも値を戻し終値は132.46円となった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、時折、値を戻す場面もあったが景気後退懸念から徐々に低下した。1.0644ドルから1.0591ドルまで下落し、終値は1.0605ドルだった。

ユーロ・円(EURJPY)は、朝方に高値140.77円まで上昇後、140.01円まで値を下げた。その後は小幅に持ち直し、140.46円で終えている。

株式
 NYダウ平均 USD 33,376.48 +526.74(+1.60%)
 NASDAQ総合  USD 10,709.370   +162.258 (+1.53%)
 S&P500     USD  3,878.44 +56.82(+1.48%)

12月21日の米株式市場のダウ工業株30種平均は前日の終値を連日で上回った。米民間調査機関のコンファレンスボードが発表した12月の米消費者信頼感指数で市場予想を上回る良好な結果が示され、好感されると幅広い銘柄が買われた。特に景気敏感株が買われ、一時、前日の終値を588ドル上回る場面もあった。その後も堅調に推移し、3指数揃って値を上げ終えている。

債券
 米国債10年 3.673%(-0.011)

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 78.29 +2.06(+2.70%)(2月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,825.40 (変化なし)(2月渡し)
 

【日本】黒田ショック引きずり上値重く

為替(17時)
12月21日の東京外国為替市場では、20日に日銀が利上げとも取れる予想外な政策転換を示した影響から、円買いが殺到した余波が続いている。

米ドル・円は、朝方は日本の長期金利低下を受けた投資家心理の冷え込みから安値131.50円を付けたが、徐々に米ドルが買い戻され132円前半に値を戻した。前日、急激に値を下げた反動から米ドルは対円で買い戻される場面もあり、高値132.37円まで値を戻している。欧州勢参加後は、再び投資家心理が低下し円買いが強まり、徐々に値を下げ17時時点では131.76円となった。

ユーロ・米ドルは、方向性を欠いた動きとなった。米ドル・円の下落につられ小幅に値を下げるも、欧州勢参加後はユーロ買いが強まり高値1.0635ドルまで値を戻した。17時時点では1.0633ドルで取引されている。

ユーロ・円は、朝方に米ドル・円の下落につられ安値139.67円まで下落するも小幅に買い戻され。高値140.51円を付けた。欧州参加後に小幅に値を上げる場面もあったが、リスク回避の姿勢が強まり徐々に値を下げ、17時時点では140.11円だった。

債券
 国債先物・23年3月限 145.76 (-0.38)
 10年長期金利 0.480%(+0.070)
 

【マーケットアナリティクス】ポンドは重要な下値支持線で戦う(12月21日)

昨日は円でショックな出来事があったが、今日の取引は非常に静かで価格変動(ボラティリティ)も低い。しかしながら、我々はまだいくつかの興味深い取引の機会を見つけることに成功した。今回は、大きな売りシグナルまであと一歩のところにいるポンド・米ドル(GBPUSD)について分析したい。

GBPUSDは現在、12月初日に始まったヘッドアンドショルダーパターン(※グレー)を終えようとしている。右肩が適切に形成されていないため、最も美しいパターンではないかもしれないが、それでも原則は守られている。ここで興味深いのは、このフォーメーションのパターンの転換点であるネックライン(黄色)が、現在、長期上昇トレンドライン(赤色)と同じ場所にあることだ。この2つをブレイクアウトすれば、間違いなく正当な売りシグナルとなる。

その場合、最初のターゲットはフィボナッチ23.6%(オレンジ)であり、ブレイクアウトした場合、そこに到達する可能性は非常に高くなる。次のターゲットはフィボナッチ38.2%ですが、現時点では気にする必要はないだろう。

価格はまだネックラインと上昇トレンドラインを割っていないことを思い出してみよう。近いが、まだ重要な下値支持線であるサポート上にいる。買い手が反転を開始するチャンスはまだあり、そうなれば適切な中期的な買いシグナルを得ることができるだろう。私見では、弱気(ベア)シナリオの可能性の方が若干高いと思われる。

(※)ヘッドアンドショルダーパターン:チャート上で相場の天井を迎えたことを示唆するパターン。三つの山と二つの谷で形成され、二つの山に挟まれた真ん中の山が相場の天井(高値)を示している。ダブルフォーメーションより出現頻度が少なく、高確率でトレンドが転換される状況が示される。

ポンド・米ドル、デイリーチャート 12月21日(CET・中央ヨーロッパ時間)

引用元: “Cable fights on a key support” (2022年12月21日, AXIORY Global Market News)
    
追記:12月22日、日本時間6:00のポンド・米ドルは1.2085-1.2087ドルで取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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