【今週のハイライト】米関税の不透明感から、日銀の早期利上げ観測が後退し、全般で円売りが優勢となった

為替(2025年7月11日  6時00分)
米ドル円          USD/JPY   144.92(円)
ユーロ米ドル   EUR/USD  1.1756(米ドル)
ユーロ円          EUR/JPY   170.36(円)
ポンド円          GBP/JPY   197.76(円)
ポンド米ドル   GBP/USD  1.3653(米ドル)

米ドル円
7日(月)は、トランプ大統領の関税政策への警戒感からドル売り・円買いが先行し144.22円まで下押した。ただ、4日安値の144.18円が目先のサポートとして意識されると買い戻しが優勢となった。トランプ大統領が追加関税に関する発言をすると、対新興国通貨を中心にドル買いが優勢となり、17時過ぎには145.28円まで上値を伸ばした。欧州市場からの流れを引き継ぎ買いが先行した。米10年債利回りが4.39%台まで上げ幅を拡大した事もドル買いを促し、一時146.24円まで上値を伸ばし日通し高値を更新した。その後は、米10年債利回りの上昇が一服したこともあり、146.10円を挟んでもみ合う展開が続いた。

8日(火)は、東京仲値にかけてドル買い・円売りが先行し146.44円まで上値を伸ばした。ただ買い一巡後には伸び悩んだ。トランプ関税への対策として、政府の財政支出が増加するとの懸念から、20年・30年債の利回りが上昇したことも嫌気され145.88円まで売られた。ただ、早朝安値の145.83円を前にすると買戻しが優勢となったが、積極的な動きはなくレンジ内でのもみ合いとなった。米国の関税政策によって日銀の追加利上げとFOMCによる追加利下げがさらに遠のくとの思惑も広がる中で、円売り・ドル買いが優勢となった。米10年債利回りの上昇も背景に24時過ぎには146.97円まで上値を伸ばした。もっとも節目の147円の手前では、上値が重たくなり伸び悩んだ。

9日(水)は、米関税政策の先行き不透明感を背景に日米ともに金融政策変更に慎重になっているとの見方から、円売り・ドル買いが先行した。12時過ぎには147.18円まで上値を伸ばしたが、147円越えでは利益確定目的の売りもでやすく伸び悩み再び146円台に押し戻された。時間外の米10年債利回りが4.39%台まで低下したことも重しとなり、146.68ドルまで売られた。米10年債利回りが4.33%台まで低下したことを受けて、ドル売りが優勢となり午前3時台には146.25円まで下押した。その後も買戻しの勢いはなく146.49円までにとどまった。この日公表されたFOMC議事要旨では関税引き上げに伴うインフレ率上昇の警戒感がある中で、「多くの参加者は年内の利下げが適切となる可能性が高い」としていることが伝わったこともドル売りを促した。

10日(木)は、前日からのドル売りの流れを引き継ぐと10時前には145.75円まで下押したものの、売りが一服すると買戻しが優勢となった。日経平均株価が下げ幅を縮小したことも支えとなり、146.41円まで上値を伸ばした。買い一巡後には伸び悩む場面もあったが、欧州勢参入後には買いが優勢となり、17時前には146.46円まで上値を伸ばした。前週分の米新規失業保険申請件数が市場予想よりも強い結果となり、米10年債利回りが4.37%台まで上昇すると、146.78円まで上昇した。ただ、その後は米10年債利回りの上昇が一服し上昇幅を縮めた事で、146.16円まで売り戻された。

ユーロドル
7日(月)は、ドル円の下落に伴って1.1789ドルまで上値を伸ばしたものの、トランプ大統領の発言をきっかけに全般でドル買い圧力が高まると、一時1.1763ドルまで下押した。その後はやや下げ渋ったものの限定的で、欧州勢が参入し始めると下げ足を速め1.1744ドルまで下値を拡大した。米10年債利回りの上昇とともに全般でドル買いが優勢となった。3日安値を下抜けると、1.1686ドルまで下げ幅を拡大した。その後はユーロ円が上昇していることもあり買い戻されるも、買戻しの勢いは限定的だった。

8日(火)は、「米国はEUに対して、条件付きで10%の関税を提示」とポリティコが報じたことで、日本や韓国などと比べて低い関税率であることが好感され、ユーロ買いが先行した。ただ、1.175ドル手前では上値が重たくなり伸び悩んだ。欧州勢が参入後は、EUと米国が関税措置をめぐり合意に近づいているとの一部見方も下支えにユーロ買いが優勢となり、1.1764ドルまで上値を伸ばした。全般でドル買いが進んだ流れに沿って売りが優勢となり、23時台には1.1682ドルまで下押した。ただ、1.17ドル割れの水準では押し目買いの動きも見られ、米金利の上昇が一服するのに伴い、1.1729ドルまで買い戻された。

9日(水)は、東京オープン直後は小幅にもみ合ったが、ドル円の上昇につれてドル買いが優勢となると13時過ぎには1.1701ドルまで下押した。ただ節目の1.17ドルが目先のサポートとして意識されると買戻しが優勢となり、米10年債利回りの低下とともに1.1728ドルまで買い戻された。21時台には1.1689ドルまで下押したが、1.17ドル割れでは買い圧力が高まった。その後は米10年債利回りが低下した影響もあり1.1724ドルまで買い戻された。もっともアジア時間につけた高値1.1729ドルには届かず、買戻しの勢いも限定的だった。

10日(木)は、ドル円でドル売りが先行すると、ユーロドルも買いが優勢となり、9時30分過ぎには1.1749ドルまで上値を伸ばした。ただ、買い一巡後はドル円で一転してドル買いが優勢となっていることもあり、売りが優勢となった。17時までには1.1725ドルまで売り戻された。米10年債利回りの上昇とともに売りに押される展開となり、23時台には1.1662ドルまで下押した。サポートとして意識されていた1.17ドルを下抜けたが、売り一巡後には買戻しが優勢となり、引け前には1.17ドルまで買い戻された。

ユーロ円
7日(月)は、リスク・オフの円買いが先行し169.87円まで売りが先行したものの、ドル円が上昇すると、それにつられる形で15時過ぎには170.73円まで上値を伸ばした。ただ、ユーロドルが下落していることにつれて伸び悩み、170.38円まで売り戻された。もっとも売り戻しも限定的で、再び170.59円まで下げ渋った。

8日(火)は、ドル円やユーロドルの上昇を背景に東京仲値にかけて171.79円まで上値を伸ばした。ただ買い一巡後にはユーロドルが伸び悩んだことやドル円が伸び悩んでいることにつれて171.31円まで売り戻された。ただ、欧州株が小高く始まったことなども後押しとなり、東京午前の高値をわずかに上抜け、171.80円まで上値を伸ばした。

9日(水)は、日銀の早期利上げ観測の後退などを背景に、全般で円売りが進んだ流れに沿って下値を切り上げていった。ただ、ユーロドルが下落していることもあり、上値は重たく172.2円前後でのもみ合いが続いた。欧州勢参入後には、持ち高調整目的の売りもはいり、ユーロ売りが優勢となり、171.82円まで売られた。

10日(木)は、ドル円の売りにつられる形で171.17円まで下押したものの、日経平均株価が下げ幅を縮小したことなどもあり、買戻しが優勢となり14時台には171.75円まで上値を伸ばした。その後はドル円の失速につれて売り戻されるも、欧州勢参入後には再び円売りが優勢となり、17時までには171.77円まで上値を伸ばした。

7月7日 9時00分 ~7月10日 6時00分までのレンジ幅
米ドル円 USD/JPY 144.22~147.18(円)
ユーロドル EUR/USD   1.1662~1.1789(ドル)
ユーロ円 EUR/JPY 169.87~172.27(円)
ポンドドル GBP/USD   1.3524~1.3657(ドル)
ポンド円 GBP/JPY 196.77~199.82(円)

株式
7日(月)は、トランプ大統領が日本や韓国に25%の関税を課すと表明すると、米国の貿易政策によって世界景気が冷え込むとの懸念が広がった。また、前週まで連日上昇していたこともあり、短期的な過熱感が意識されたことも相場の重しとなった。NYダウ平均は一時670ドル近く下げる場面も見られた。

8日(火)は、トランプ米大統領は銅や銅製品にたいして50%、医薬品に対しては最大200%の分野別関税を課す方針を示した。米関税政策をめぐる不透明感が引き続き相場の重しとなった。

9日(水)は、米10年債利回りの低下にともない、株式の相対的な割高感が和らぎ、NYダウ平均は一時310ドル超上昇した。一時上昇幅を縮める場面もあったが、引けにかけては再び買い戻しが入った。なお、米半導体大手のエヌビディアは上昇し、世界で初めて時価総額が4兆ドルの大台に乗せる場面もあった。

10日(木)は、米新規失業保険申請件数が良好な結果となったことで、買いが先行した。やや出遅れたものの、景気敏感株にも買いが入りNYダウ平均を押し上げた。ハイテク株比率が高いナスダックは3日続伸し、史上最高値を更新した。

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