【今週のハイライト】米10年債利回りの上昇でドル買いが進んだが、パウエルFRB議長解任の可能性報道でドルは急落した

為替(2025年7月18日  6時00分)
米ドル円          USD/JPY   148.60(円)
ユーロ米ドル   EUR/USD  1.1595(米ドル)
ユーロ円          EUR/JPY   172.30(円)
ポンド円          GBP/JPY   199.34(円)
ポンド米ドル   GBP/USD  1.3414(米ドル)

 
米ドル円
14日(月)は、対ユーロで円買いが進行したことで147.15円まで売られた。その後ユーロドルが買い戻された場面では上値が重たくなり、146.85円まで値を下げたが下値も限定的となった。一時日銀に関する報道で下押す場面もあったが、下値は限定的で売りは続かなかった。米10年債利回りが上昇すると円売り・ドル買いが優勢となった。引け前には147.78円まで上値を伸ばした。もっともこの日は米経済指標の発表などがなく手掛かり材料に欠けることから、積極的に上値を伸ばしていく展開とはならなかった。
 
15日(火)は、ドル円は上値が重たい展開となった。早朝に147.89円まで上値を伸ばしたものの、節目の148円を前にして伸び悩んだ。本邦長期金利が上昇していることも相場の重しとなり、15時前には147.55円まで下押した。欧州勢参入後には147.79円まで買い戻されたものの、戻りは限定的だった。米労働省が発表した米CPIは前月比で上昇したが、エネルギー・食品を除くコア指数は予想を下回った。結果はおおむね予想に沿った流れとなり、インフレ抑制を示したが関税懸念は根強くFRBが金利を据え置くとの観測が高まり、149.02円まで上値を伸ばした。149円を超えたところでは、利益確定目的の売りも出たことで伸び悩んだ。
 
16日(水)は、前日に大幅に上昇したことや日経平均株価がマイナス圏に沈んだで売りが先行したが、日経平均株価がプラス圏に持ち直したこともあり、下値は限定的となり13時台には149.18円まで上値を伸ばした。ただ、149円台では利益確定目的の売りも入りやすく148.62円まで売り押された。その後は米10年債利回りが下げ渋ったこと受けて、ドル円も下げ渋った。6月米卸売物価指数の下振れを受けて一時148.47円まで下押したものの下落したものの、押し目買いが入ったこともあり148.93円まで買い戻された。ただ、トランプ大統領がパウエルFRB議長の解任を打診したとの報道が伝わると、全般でドル売りが優勢となり、146.91円まで急落した。
 
17日(木)は、前日のパウエルFRB議長の解任騒動を受けた円買い・ドル売りの動きが一巡すると、米10年債利回りの上昇や日経平均株価の上昇を手掛かりとして買いが優勢となり、15時台には148.80ドルまで上昇した。買いが一巡すると、伸び悩んだものの底値は固く高値圏を維持した。6月米小売売上高や7月フィラデルフィア連銀製造業景気指数・米新規失業保険申請件数が市場予想よりも強い結果だったことで、149.09円まで上値を伸ばした。ただ、前日につけた高値149.18円が目先のレジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。また、米10年債利回りが4.43%台まで低下した事も重しとなり、148.38円まで反落した。
 
ユーロドル
14日(月)は、週末にトランプ大統領が自身のSNSで「欧州連合からの輸入品に対して30%の関税を付加する書簡を発表した事で、ユーロ売りが先行し1.1654ドルまで売りが先行した。ただ、売り一巡後には急な下落に対するショートカバーが入った。本日も欧州連合と米国との通商協議が行われる予定で、一方的な方向感は出にくかった。トランプ米大統領は12日に「EUに対して30%の関税を課す」と表明したものの、市場では「単なる交渉手段に過ぎない」との受け止めから、ユーロ売りの反応は限定的だった。一時1.1659ドルまで下押したものの、東京時間安値の1.1654ドルを前に下げ渋った。
 
15日(火)は、対円でドル売りが進んだこともあり堅調に推移した。16時過ぎには1.1671ドルまで下押す場面もあったが、底値は堅く1.1692ドルまで買われた。節目の1.17ドル手前では伸び悩んだ。米労働省が発表した米CPIは前月比で上昇したが、エネルギー・食品を除くコア指数は予想を下回った。結果はおおむね予想に沿った流れとなり、インフレ抑制を示したが関税懸念は根強くFRBが金利を据え置くとの観測が高まり、149.02円まで上値を伸ばした。149円を超えたところでは、利益確定目的の売りも出たことで伸び悩んだ。
 
ユーロドルは、米CPIの結果を受けて米10年債利回りが上昇すると全般でドル買いが優勢となった。午前2時台には一時1.1593ドルまで下押した。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時98.70と6月23日以来の高値を更新した。トランプ大統領は「消費者物価は低い」として、FRBに改めて利下げを要求した。
 
16日(水)は、前日に大幅にユーロ売り・ドル買いが進行したことを受けて大幅に下落した反動から、調整の買戻しがはいったこともあり、じり高に推移した。6月英消費者物価指数が市場予想を上回ったこともあり、ユーロ買いが優勢となり16時過ぎには1.1628ドルまで買われた。その後は米10年債利回りが上昇したことで、ドル買いがやや優勢となった。米卸売物価指数の下振れを受けてドル売りが先行したが、トランプ大統領のパウエルFRB議長解任に関する報道が伝わると、ドル売りが進み1.1721ドルまで急騰した。なお、FRBは米地区連銀経済報告で「米経済活動は拡大した」としながらも「不確実性は依然として高く、企業の慎重な姿勢が続いている」と報告した。
 
17日(木)は、米10年債利回りが上昇したことを背景に売りが先行し1.1613ドルまで下押した。その後はやや買い戻されるも、上値は限定的だった。ドル円の上昇を背景にドル売りが再び優勢となると、15時過ぎには午前中安値を下抜けて1.1573ドルまで下押した。ただ、前日安値の1.1562ドルが目先のサポートとして意識されると下げ渋った。米経済指標の上振れを受けてユーロ売り・ドル買いが先行すると、一時1.1557ドルと日通し安値を付けたものの、売り一巡後は下げ渋る展開となった。前日にドル売りを加速させたFRB独立性をめぐる懸念は後退したものの警戒感は根強く、積極的にドルを買い進める展開とはならなかった。
 
ユーロ円
14日(月)は、米大統領によるEUへの30%関税発表を受けて、171.61円まで下押したがユーロドルの買戻しの影響などもあり、徐々に買戻しが優勢となった。ユーロドルの下落につれて弱含む場面もあったが、ユーロドルが下げ渋るとユーロ円も同様に買い戻され17時過ぎには172.23円まで買い戻された。
 
15日(火)は、172.35円を挟んだ水準でのもみ合いが続いたがクロス円の売り地合いが優勢となり16時30分過ぎには172.73円まで上値を伸ばした。その後は伸び悩んだ。
 
16日(水)は、東京オープン直後に172.61円まで下押したものの、ドル円が上昇したタイミングで173.24ドルまで上値を伸ばし昨年7月以来の高値を更新した。その後は172.78円まで売り押されたが、欧州勢参入後はドルがらみの取引が中心となったこともあり、172.9円前後でやや方向感を欠いた値動きとなった。
 
17日(木)は、ドル円の上昇や日本株の上昇につれて円売り・ユーロ買いが優勢となった。12時台には172.67円まで上値をの伸ばした。買い一巡後は172.13円まで売り戻されたが、ユーロドルの売りが一巡したこともあり、すぐに買い戻されるなど方向感のない展開が続いた。
 
7月14日 9時00分 ~7月18日 6時00分までのレンジ幅
米ドル円  USD/JPY  146.85~149.18(円)
ユーロドル EUR/USD   1.1556~1.1721(ドル)
ユーロ円  EUR/JPY  171.72~173.24(円)
ポンドドル GBP/USD   1.3364~1.3504(ドル)
ポンド円  GBP/JPY  197.89~199.74(円)
 
株式
14日(月)は、トランプ大統領が「EUに対して30%の関税を課す」と明らかにした事で、売りが先行したものの、市場では楽観的な見方が根強く、売り一巡後には下院通しが優勢となった。ハイテク株比率が高いナスダックでは、史上最高値で取引を終えた。
 
15日(火)は、米労働省が発表した米消費者物価指数の結果を受けてFRBの利下げ観測が後退し、株売りが優勢となった。ハイテク株比率が高いナスダックでは、中国向け人工知能半導体の出荷再開計画を発表したエヌビディアが上昇するとほかの半導体関連株にも買いが波及し、史上最高値で取引を終えた。
 
16日(水)は、6月米卸売物価指数が予想を下ぶれてインフレの鈍化を示すと安心感が広がり買いが入った。決算内容が好感されたジョンソン・エンド・ジョンソンが買われたことも、相場を押し上げた。なお、パウエルFRB議長解任をめぐる懸念が高まると、NYダウ平均は下げに転じる場面もあった。
 
17日(木)は、6月米小売売上高などが良好な結果となったことで、買いが先行した。半導体大手の台湾積体電路製造の決済を好感した買いも入った。ハイテク株比率が高いナスダックでは、4日続伸し史上最高値で取引を終えた。多くの投資家が運用指標とするS&P500でも史上最高値を更新した。

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