歴史を振り返ると、大規模な紛争や侵攻の発生した際、市場には典型的なパターンが見られます。短期的な市場の混乱を引き起こすことが多い一方で、長期的なトレンドは驚くほどの回復力を示しています。まず、初期反応として、安全資産が注目を集めるリスクオフの売りが起こり、その後当初の予想を上回ることの多い回復が続きます。
長期的に見ると、株式リターンは地政学的なニュースよりも、経済的なファンダメンタルズ要因によって大きく左右されます。過去35年間の主要な紛争の開始時を振り返ると、このダイナミクスがよくわかります。地政学的イベントは発生直後に不安を生み出すものの、長期的な下落局面に結びつくことはほとんどありません。
| 紛争・侵攻 |
開始日 |
1か月後のリターン |
3か月後のリターン |
6か月後のリターン |
| 湾岸戦争 |
1991年1月17日 |
+18% |
+22% |
+22% |
| アフガニスタン戦争 |
2001年10月7日 |
+4% |
+9% |
+5% |
| イラク戦争 |
2003年3月20日 |
+2% |
+14% |
+19% |
| クリミア危機 |
2014年2月20日 |
+1.7% |
+1.8% |
+8.0% |
| ウクライナ/ロシア |
2022年2月24日 |
+5% |
-6% |
-2% |
| イラン-イスラエル-米国 |
2026年2月28日 |
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近年の例外として挙げられるのが、ロシア・ウクライナ紛争の開始時です。この時、市場は6か月後も下落したままでした。ただし、この低迷期は経済的な圧力によるところが大きかったと考えられます。激しいインフレを抑制するために歴史的な規模の利上げが実施され、それに加えて景気の後退が重なったことが要因として挙げられます。
結論として、地政学的な不安は株式市場に初期的な混乱をもたらし、過去30年間の大規模な戦争でさえも長期的な市場リターンを抑え込むことはありませんでした。しかし、現在の中東情勢は、その発端や周辺諸国への拡大の仕方において、明らかに前例のない様相を呈しています。そのため、世界経済への影響の長さと規模については、依然として予測困難な状況が続いています。