パウエルFRB議長の証言後、米ドル売りに

 

 

2022/01/12 7:52 JST投稿

 

【米国】

  • 為替(1月12日6時04分)

米ドル円(USDJPY) 115.30-115.30 (円)
ユーロ円(EURJPY) 131.06-131.06 (円)
ユーロ米ドル(EURUSD) 1.1367-1.1367 (米ドル)
ポンド円(GBPJPY) 157.17-157.17 (円)
ポンド米ドル(GBPUSD) 1.3631-1.3631 (米ドル)

1月11日のニューヨーク外国為替市場の主なトピックスは、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の再任指名公聴会前は様子見の姿勢が強かったが、各連銀トップの積極的な金融引き締めに向かうタカ派的な発言が続き積極的な取引につながった。その後、パウエル議長の証言が伝わり、インフレ抑制への強い姿勢ながら、利上げのタイミングや回数をデータ次第との姿勢を変えなかったことで長期金利が低下している。市場では予想よりタカ派的な姿勢が出なかったと受け止められており、相場が荒れなかった。

クリーブランド連銀メスター総裁は「経済が軌道に乗っていれば、3月の利上げを支持する」、アトランタ連銀ボスティック総裁は「初回の利上げは3月にも実施される可能性がある」と発言。さらにカンザスシティー連銀のジョージ総裁は「FRBは近い将来保有資産の圧縮に着手する必要がある」と金融緩和に積極的なタカ派的な発言が相次いだ。

パウエル議長は公聴会で「高インフレが続けば、さらに政策金利を引き上げなければならないだろう」と述べたほか、「米経済はもはや極めて緩和的な金融政策を必要としない」「バランスシート縮小は今年後半から開始されるだろう」などと発言したが、開始時期への明言は避けた。この発言を受け長期金利が一時1.757%に低下し、徐々に低下を続けた。

米ドル・円(USDJPY)は、115円後半から前半に値を下げた。金融緩和の早期開始への懸念から長期金利が1.785%に上昇し米ドル買いが優勢となり、この日の高値115.68円に値を上げた。しかし、パウエル議長の議会証言内容が伝わると長期金利が低下し、米ドル売りに転じ115.30円で終えた。

ユーロ・円(EURJPY)は130円後半から131円前半で取引された。朝方は、ユーロ周辺環境のリスクから値を下げていたが、パウエル議長の発言、米ドル・円で米ドル売りが優勢となるとユーロが買われた。この日の高値131.20円まで値を上げ、終値は131.07円だった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、1.13ドル前半から後半に値を上げた。朝方に、この日の安値1.1313ドルを付けていたが、長期金利が低下し米ドル売りが優勢となると徐々に値を上げ、終値は1.1367ドルとなった。
 

  • 株式

NYダウ平均 USD 36,252.02 +183.15 (+0.50%)
NASDAQ総合  USD 15,153.449   +210.621 (+1.40%)
S&P500     USD 4,713.07 +42.78(+0.91%)

1月11日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、5日ぶりに前日の終値を上回った。10時前に300ドルほど前日の終値を大幅に下回っていたが、パウエルFRB議長の議会証言後が予想より金融引き締めに積極的な内容ではなかったことを受けると、安心感が広がり堅調に値を上げた。株価収益率の高いハイテク株(※)が中心に買われ、3指数揃って値を上げた。

(※)株価収益率(PER)とは、企業の成長性を分析する指標の一つ。株価が1株ごとの当期純利益の何倍まで買われているかを表しており、値が大きいほど割安となる。今のような長期金利の指標とされる10年債の金利が上昇している時は、PERの値より金利の方が大きくなり割安感が減るため、ハイテク株を中心としたPERの高い株の魅力が減少し売られやすい。
 

  • 債券

米国債10年 1.746(-1.91%)
 

  • 商品

NY原油(WTI) 1バレル=USD 81.22 +2.99(+3.82%)(2月渡し)
NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,798.80 +1.40(+0.08%)(2月渡し)

 

【日本】パウエル議長証言を控え様子見強まる
 

  • 為替(17時)

1月11日の東京外国為替市場は、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の指名公聴会に控え様子見の姿勢が強かった。その一方で国内輸入企業の決済に向けた買いが入ったものの、米長期金利上昇を受けた日経平均の下落が影響した。

米ドル・円は、115円前半の取引。国内輸出企業の米ドル買いが入り115.38円まで値を上げたが、日経平均の下落などからリスク回避の姿勢が強まり小幅に値を下げ、この日の安値115.13円まで安くなった。その後小幅に持ち直し、17時は115.25円で取引されている。

ユーロ・米ドルは1.13ドル前半の取引となり、値動きが少なかった。大きな動きがなく、ほぼ横ばいの動きとなり、17時時点では1.1341ドルだった。

ユーロ・円は130円前半から後半に小幅に値を上げた。大きな動きはないものの、月末の国内輸入企業の決済に向けたユーロ買いが入り上昇後は値を下げたが、欧州勢参加後は小幅に値を上げ、17時時点では130.71円となった。
 

  • 日本株式

日経平均株価 28,222.48円 -256.08(-0.90%)
安値28,089.49円  -  高値 28,473.47円
東証出来高 1,246,77万株
東証売買代金 3兆0073.20億円
 
1月11日の日経平均株価は3日連続で前日の終値を下回った。米国で米長期金利が上昇した流れを受け、株価収益率の高い成長株の売りが優勢となった。その一方で金融株が買われている。終日、前日の終値を下回り低水準で推移した。
 

  • 短期金融市場

無担保コール翌日物金利 -0.014%
 

  • 債券

国債先物・22年3月限 150.76 (-0.21)
10年長期金利 0.150%(+0.020)

 

【マーケットアナリティクス】小売売上高、貿易収支のデータを受け豪ドルが下落(1月11日 15:00 CET)

オーストラリア(AUD)は米ドルに対して小幅に値を下げ取引されたが、短期的なトレンドが強気(ブル)と思われるため、すぐに強気派の流れになる可能性がありそうだ。

先に発表された11月の豪貿易収支は、輸出が-3%から2%に上昇し、輸入は-2%から6%に上昇し、前回の107億8100万オーストラリアドルから94億2300万オーストラリアドルにわずかに減少した。

また、11月の国内小売売上高は前月比7.3%と大幅に増加し、予想の3.9%、前回の4.9%を大きく上回った。

この後、上院銀行住宅都市委員会の公聴会でパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が再指名に向け証言する。FRBは積極的に金融引き締めに動くタカ派に転じているため、金融政策に関する発言に注目が集まる。

日足チャートでは、10月の安値0.7170ドルを維持できず、MACD(マックディ)指標(※)はすでに弱気シグナルを発していることから、やや中立的な見方をしているようだ。次の下値支持線のサポートは、現在のサイクルの安値0.70ドルの直前の0.71ドル付近となるだろう。

また、0.7220ドルの50日移動平均線(チャートの紫色の線※1)付近が上値抵抗線のレジスタンスとなる場合もある。この上に飛び出した場合、中期トレンドは強気に変化する可能性がある。

(※)MACD(マックディ)指標:「Moving Average Convergence Divergence」の略。相場の分析において過去の値動きから将来の値動きを予想するテクニカル分析の手法の一つ。 一定期間の平均値を線でつなぎ合わせた移動平均線を用い、価格の推移をグラフ化し短期と中長期の移動平均線の動きから早期の売買タイミングを判断するのに用いられる。

(※1)移動平均線:一定期間(この場合は200日間と50日間)の終値の平均値の推移を折れ線グラフで示したもの。相場が上昇傾向にあるのか、下落傾向にあるのかといったトレンドを把握しやすい。

 
オーストラリアドル・米ドルデイリーチャート 1月11日(CET・中央ヨーロッパ時間)

引用元: “Aussie slips after retail sales, trade balance data” (2022年1月11日, AXIORY Global Market News)

追記:1月12日、日本時間6:04のオーストラリアドル・米ドルは、0.7211ドル付近で取引されている

 

アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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