ウクライナ情勢の緊張高まるも値幅は限定的

2022/02/23 7:38 JST投稿

 

【米国】

  • 為替(2月23日6時00分)

 米ドル円(USDJPY)    115.02-115.02 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    130.26-129.27 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.1325-1.1325 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    156.24-156.25 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.3584-1.3584 (米ドル)

2月22日のニューヨーク外国為替市場の主なトピックスは、ウクライナ情勢での緊迫が高まる中、プーチン大統領はウクライナ東部の紛争の停戦合意協定(ミンスク合意)は「もはや存在しない」と述べ、外交官や大使館員を近く避難させると発表した。

さらに、バイデン大統領が会見でロシアがウクライナ侵攻を開始したと発表。ロシアの2つの銀行への金融制裁および、ロシア国債の米国などの主要市場での取引停止、プーチン氏の側近やその家族を対象とした制裁を実施することを表明。また、ドイツが停止を表明したロシアとの天然ガスパイプライン計画「ノルドストリーム2」についても前進させないと述べた。今回制裁を受けたのは、ロシア軍需産業と深いかかわりを持つロシア開発対外経済銀行(VEB)とプロムスビャジバンク(PSB)で、いずれもドル決済ができなくなり経済活動が阻害され影響が大きい。

また、朝方に発表された2月 総合購買担当者景気指数(PMI、速報値、結果:56.0、前回:51.1)では、変異種オミクロンの感染拡大の影響が軽減し企業活動が活発となっていることが伺えた。その後、発表された2月 消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード、結果:110.5、予想:110.0、結果:113.8)は、2ヵ月連続で低下し良好な結果となった。

米ドル・円(USDJPY)は、114円台で取引された。良好な結果の経済指標を受け前日の高値115.12円を超え115.24円まで値を上げたが、ウクライナ情勢の悪化から株価が下落すると、リスク入日の円買いが優勢となり114.88円まで値を下げた。バイデン大統領が会見を行うと115.11円まで持ち直し、終値は115.08円となった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、1.13ドル半ば中心の取引となった。欧州時間にユーロ買いが優勢となり、この日の高値1.1367ドルまで値を上げたが、地政学リスクが意識されると1.1322ドルに値を下げ、終値は1.1325ドルだった。

ユーロ・円(EURJPY)は、130円台中心の値動きとなった。ユーロ・米ドルの動きにつられ、欧州時間は値を上げ、この日の高値130.77円まで買われた。その後、プーチン大統領の会見を受けるとユーロが売られ130.16円まで売られたが、小幅に持ち直し130.32円で終えた。
 

  • 株式

 NYダウ平均  USD 33,596.61 -482.57 (-1.41%)
 NASDAQ総合  USD 13,381.516  -166.550 (-1.22%)
 S&P500      USD 4,304.76  -44.11(-1.01%) 

2月22日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、4日連続で前日の終値を下回った。ウクライナ情勢を巡りウクライナの一部地域への経済制裁を受け、リスク回避による幅広い銘柄での売りが優勢となり前日の終値を下回った取引が続いた。14時過ぎに700ドル超まで値を下げたが、バイデン大統領がウクライナ情勢に関する演説を行うと小幅に上昇に転じ値下がり幅を縮小した。
 

  • 債券

 米国債10年 1.928(-0.036%)
 

  • 商品

 NY原油(WTI) 1バレル=USD 92.35 +1.28(+1.41%)(3月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,907.4  +7.60(+0.40%)(4月渡し)

 

【日本】ウクライナ情勢鑑み積極的な取引を控える

  • 為替(17時)

2月22日の東京外国為替市場は、朝方にウクライナ情勢への警戒感の高まりから値を下げる展開となった。その後は、地政学リスクや翌日に祝日を控え積極的な取引は控えられた。

米ドル・円は114円後半中心の取引となった。朝方にウクライナ情勢への懸念から、この日の安値114.50円まで売られた。その後は小幅に買い戻されたものの、積極的な買いにはならず17時時点では114.73円だった。

ユーロ・米ドルは1.13ドル後半中心の取引となった。朝方にリスク回避の米ドル買いが強まり売られたが買い戻されたが、再び小幅な売りに転じ、この日の安値1.1288ドルを付けた。その後は、反動でわずかながら買い戻され17時時点では1.1296ドルとなった。

ユーロ・円は、130円後半中心で取引された。地政学リスクが意識され、小幅に上昇と下落を繰り返したが、明日の祝日を控え大きな動きにはつながらなかった。17時時点では129.60円で取引されている。
 

  • 日本株式

 日経平均株価     26,449.61円  -461.26(-1.71%)
  安値26,243.73円  -  高値 26,550.14円
 東証出来高 1,138,93万株
 東証売買代金 2兆7093.61億円
 
2月22日の日経平均株価は4日連続で前日の終値を下回った。ウクライナ情勢への懸念からリスク回避の動きから終日で前日の終値を下回る取引となり、幅広い銘柄に売りが拡がった。翌日の天皇誕生日の祝日による休場を前に積極的な取引は控えられ、昼過ぎに660円超まで下げ幅を拡げ、東証1部の83%の銘柄で値下がりした。
 

  • 短期金融市場

 無担保コール翌日物金利  -0.017%
 

  • 債券

 国債先物・22年3月限  150.34(+0.20)
 10年長期金利  0.190%(-0.015) 

 

【マーケットアナリティクス】EURUSD、トレーダーが昨日の出来事を過去のものとして捉え上昇(2月22日 13:55 CET)

月曜日に突然、投資家心理が改善し欧州時間にユーロ・米ドル(EURUSD)を半値上昇させた。
この日、中国はプーチン大統領が月曜日の夜に行った演説で、ウクライナの分離主義地域であるドネツクとルハンスクの独立を正式に承認し、調印式と「平和維持軍」と称される部隊がこの地域に入ったことを発表してから、初めて態度を表した。

王毅外相は公式コメントで、地域の冷静さと緊張の緩和を促し“対話と交渉”を呼びかけた。このコメントは中国共産党中央委員会の機関紙『人民日報』傘下のタブロイド紙『環球時報』に掲載され、「正当な安全保障上の懸念も尊重されるべきだ」と指摘し、ウクライナ問題に対する中国の一貫した姿勢を示した。

ロシア軍がウクライナの他の地域に侵攻しない限り、緊張が翌日に緩和される可能性があり、これは市場にとって良いニュースかもしれない。

ユーロ・米ドルの1時間足チャートには、ダブルボトム(※)パターンが描かれているように見える。この下値支持線(サポート)は1.1290ドルにあり、上値抵抗線(レジスタンス)は1.1390ドル付近だ。投資家心理がさらに改善されれば、ユーロはこの上値抵抗線に向かって一気に上昇する可能性がある。

もし1.14ドルを上に抜けすると、このフォーメーションが有効となり、合計100ピップス上昇する可能性があるため、1.15ドルをターゲットにすることができる。

一方、1.1330ドルを下回ると、1.1290ドルを再び試す可能性がある。この下値支持線(サポート)の維持に失敗した場合、1.12ドルを目指す展開となるだろう。

※ダブルボトム:下降トレンドが終わる時に現れる、アルファベットの「W」のような形に見えるチャートの形状。相場の底を示し、下降トレンドが上昇トレンドに転換することを示している。

EURUSD Jumps as Traders Look Past Yesterday's Events

ユーロ・米ドル、デイリーチャート 2月22日(CET・中央ヨーロッパ時間)

引用元: “EURUSD Jumps as Traders Look Past Yesterday's Events” (2022年2月22日, AXIORY Global Market News)

追記:2月23日、日本時間6:00のユーロ・米ドルは1.1325ドル付近で取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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