2022/02/28 6:50 JST投稿
【今週の見通し】(2月28日-3月4日)
先週はウクライナ情勢に左右され、リスク回避のリスクオフの動きが強まったが木曜日から経済に対する影響は軽微との楽観的な見方が広がりリスクオフの姿勢が和らぎ、株、為替共に堅調に推移した。しかしながら、ロシアの出方が不透明なため今週は引き続き、ウクライナを巡る情勢に左右されそうだ。
原油先物価格もウクライナ問題が影響し高騰している。高インフレへの影響も大きく、先週はFRB高官の積極的な金融引き締めに向けたタカ派的な発言もあり、この流れが続く模様だろう。
主な金融イベントとして、3月1日の米2月ISM製造業景況指数の発表やバイデン米大統領の一般教書演説、3月2日、3日のパウエル議長の議会証言、3月4日の米2月雇用統計に注目が高まる。
米欧は2月26日(日本時間の2月27日朝)にロシアの複数銀行を国際決済システム「SWIFT(スイフト)」から排除することを合意した。ロシアの外貨準備高は2021年末で6,306億ドル(約73兆円)と、クリミア併合を実施した2014年比で1.6倍となっている。保有比率は2021年6月末時点でユーロ32%、金が22%、米ドルが16%、人民元13%の順。かつては、米ドル比率が40%強だったが、2020年に金と逆転した。そのため、今回の措置が急激に影響するとは考えづらく米欧とロシアの我慢比べが続くだろう。よって、今週の市場への影響は、軽微だと思われる。ロシアは保有資産を取り崩し、ルーブルの買い支えを実施する見込みのためルーブル安が続けば、インフレ加速によりロシア経済に打撃を与える見込みだ。
予想レートは米ドル・円が114円半ばから116円半ば。ユーロ・米ドルが1.11ドル前半から1.13ドル後半。
【米国】
米ドル円(USDJPY) 115.51-115.52 (円)
ユーロ円(EURJPY) 130.13-130.29 (円)
ユーロ米ドル(EURUSD) 1.1271-1.1272 (米ドル)
ポンド円(GBPJPY) 154.89-155.03 (円)
ポンド米ドル(GBPUSD) 1.3409-1.3417 (米ドル)
2月25日のニューヨーク外国為替市場の主なトピックスは、緊張が高まるウクライナ情勢からリスク回避の姿勢が強まっていた。しかし、ロシアとウクライナが停戦に向けた協議を開始する考えが一致し、一転してリスク回避の姿勢が和らいだ。しかしながら、予断は許さない状況が続いており依然として関連情報に左右される日が続くだろう。
なお、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は記者会見で「ユーロ圏の物価と金融の安定の確保に向け、責務の範囲内で必要なあらゆる措置を実施する用意がある」と述べた。次回のECB理事会は3月10日に開催される。
また、朝方に発表された1月 個人消費支出(PCEデフレーター、前年同月比、結果6.1%、予想:6.0%、前回:5.8%)は、1982年2月以来の高い伸びを示した。また、米連邦準備理事会(FRB)が物価の目安とする変動の大きい食品とエネルギーを除いたPCEコア・デフレーター(前年同月比、結果5.2%、予想:5.1%、前回:4.9%)は1983年4月以来の高い伸びを記録した。この結果を受け、長期金利が2.002%に上昇し、支援材料となった。
さらに、FRBは来週のパウエル議長の議会証言に先立ち、半期に一度の金融政策報告を公表した。「インフレが連邦公開市場委員会(FOMC)の長期目標を大きく上回り、労働市場が好調に推移する中、委員会は政策(フェデラルファンド=FF)金利の誘導目標レンジ引き上げが近く適切になると見込んでいる」と表明している。
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、1.11ドル半ばから1.12前半に値を上げた。ウクライナ情勢の落ち着きから欧州時間に値を上げたものの、強い米経済指標から小幅に値を下げた。その後、米株高を受けリスク回避の姿勢が弱まると、この日の高値1.1274ドルを付け1.1268ドルで終えた。
ユーロ・円(EURJPY)は、128円後半から130円前半に上昇した。ウクライナ情勢を受けたリスク回避の姿勢の後退からユーロ買いが優勢となった。一時、好調な米経済指標を受け、小幅に売られたものの、すぐにユーロ買いに戻り前日の高値130.07円を超え130.29円まで値を上げ終値は130.25円となった。
米ドル・円(USDJPY)は、115円前半から後半に徐々に値を上げた。リスク回避の姿勢や好調な経済指標による長期金利の上昇から前日の高値115.69円を超え115.76円まで米ドル買いが優勢となった。2月15日の高値115.87円が上値抵抗線(レジスタンス)として意識されると徐々に値を下げた。ウクライナ情勢の見通しが不透明なこともあり、週末を前に積極的な投資は控えられ終値は115.55円だった。
NYダウ平均 USD 34,058.75 +834.92 (+2.51%)
NASDAQ総合 USD 13,694.624 +221.039 (+1.64%)
S&P500 USD 4,384.65 +95.95(+2.23%)
2月25日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、連日で前日の終値を上回った。ウクライナ情勢を巡り、ロシアとウクライナが停戦協議を開始するとの報道から、徐々に値を上げた。14時前に870ドル超、前日の終値を上回り、小幅に値を落としたが堅調に推移し終えた。この数日売りが優勢だった景気敏感株に買戻しが入ったことも支えとなっている。
米国債10年 1.969(-0.003%)
NY原油(WTI) 1バレル=USD 91.59 -1.22(-1.31%)(4月渡し)
NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,887.6 -38.70(-2.01%)(4月渡し)
【日本】株高をうけ持ち直し米ドル上昇に
2月25日の東京外国為替市場は、午前中にウクライナ情勢への懸念から安全資産が買われる傾向が強まった。その後は、株高を受けリスク回避の姿勢が和らいだ。
米ドル・円は115円前半中心の取引となった。昼過ぎまで地政学リスクを受けた米ドル売りが優勢だったが、午後になると株価の上昇を受け徐々に値を上げ17時時点では115.28円に値を戻した。
ユーロ・円は、129円半ばから前半に値を下げた。様子見の姿勢が強く、値を落とすも小幅な動きとなった。17時時点では129.23円となった。
ユーロ・米ドルは1.11ドル後半から1.12ドル前半中心の取引となった。堅調な株価が好感され徐々に値を上げ、この日の高値1.1229ドルに値を上げた。しかし、再び地政学リスクが意識されると値を下げ、17時時点では1.1210ドルだった。
日経平均株価 26,476.50円 +505.68(+1.95%)
安値26,160.19円 - 高値 26,481.60円
東証出来高 1,338,99万株
東証売買代金 3兆1752.75億円
2月25日の日経平均株価は6日連続で前日の終値を上回った。米国市場で大幅に値上がりした流れを受け、終日で前日の価格を上回る取引だった。前日までの5日間で1400円超値を下げた反動から、お得感のある株やハイテク株を中心とした成長株に買いが入った。ウクライナ情勢を巡る欧米の制裁が経済に与える影響が軽微と判断されたことから徐々に値を上げ、終了間際に510円程、前日の終値を上回り終えた。
無担保コール翌日物金利 -0.013%
国債先物・22年3月限 150.23(-0.21)
10年長期金利 0.205%(+0.020)
【マーケットアナリティクス】ロシアからの「楽観的」なニュースを受けユーロ米ドルが上昇(2月25日)
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、ウクライナの流血が間もなく終了しそうだとの観測から、わずかに買いが入り0.5%ほど上昇した。
ロシアがウクライナ情勢の協議に向けミンスクに代表団を送る用意があるとのニュースを受け、投資家心理が和らいだ。しかしながら、ロシア軍が首都キエフに迫っており、キエフの戦いは始まろうとの観測も出ている。
ユーロ・米ドルは、重要な下値支持線(サポート)の1.12ドルを再び上回り、リスク回避が緩和される可能性を示唆している。短期的な見通しとしては、この水準より上で取引されている限り、強気(ブル)と思われる。
強気派の最初のターゲットは、前回の安値1.1280ドル付近となり、次の上値抵抗線(レジスタンス)は、1.1320ドル付近にある50日移動平均線(紫のライン)になりそうだ。重要な売り場は、1.1380ドルに位置している。
また、状況が再び悪化した場合、1.12ドルレベルを下方に下落する可能性があり、1.1120ドル付近の前回安値をターゲットとする可能性が高いだろう。
(※)移動平均線:一定期間(この場合は50日間)の終値の平均値の推移を折れ線グラフで示したもの。相場が上昇傾向にあるのか、下落傾向にあるのかといったトレンド(流れ)を把握しやすい。
ユーロ・米ドル、デイリーチャート 2月25日(CET・中央ヨーロッパ時間)
引用元: “EURUSD Advances After "Optimistic" News from Russia” (2022年2月25日, AXIORY Global Market News)
追記:2月28日、日本時間6:02のユーロ・米ドルは1.1271-1.1272で取引されている