ウクライナ情勢受けユーロ安続く

2022/03/02 7:38 JST投稿

 

【米国】

  • 為替(3月2日6時02分)

米ドル円(USDJPY) 114.82-114.82 (円)
ユーロ円(EURJPY) 127.81-127.82 (円)
ユーロ米ドル(EURUSD) 1.1131-1.1131 (米ドル)
ポンド円(GBPJPY) 153.02-153.03 (円)
ポンド米ドル(GBPUSD) 1.3326-1.3327 (米ドル)

3月1日のニューヨーク外国為替市場の主なトピックスは、ウクライナの首都キエフや北東部の第2の都市ハリコフにロシア軍のミサイルによる攻撃が無差別に広がっており、厳しい状況が続いている。この状況を受け欧州経済悪化の懸念からユーロ売りが優勢だった。ショイグ露国防相の「目標が達成するまでウクライナでの軍事行動を継続する」との発言の影響も大きい。

2月 ISM製造業景況指数(結果:58.6、予想:58.0、前回:57.6)が2020年11月以来、1年2カ月ぶりの低水準だった前月から回復し、景気拡大が続いていることが示された。しかし、ウクライナ情勢の懸念が強く、影響は軽微だった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、1.11ドル前半に値を下げた。地政学リスクを受けたリスク回避のユーロ売りが優勢となった。原油高を受け、欧州経済悪化への懸念も影響が大きく、2020年5月29日以来約1年8カ月ぶりの安値1.1090ドルまで売られた。その後、小幅に値を戻し終値は1.1125ドルとなった。

ユーロ・円(EURJPY)は、129円前半から127円前半に値を下げた。ウクライナ情勢の悪化からリスク回避のリスクオフの姿勢が強まり、今年の安値127.37円を付けた。地政学リスクの高まりから欧州中央銀行(ECB)の利上げ観測が弱まってきたことも影響が大きかった。その後は小幅に持ち直し、終値は127.83円だった。

なお、欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバー、レーン・フィンランド中銀総裁が、ロシア軍のウクライナ侵攻がスタグフレーション(景気後退時のインフレ)につながる可能性があると述べる一方、欧州経済への影響を評価するのは時期尚早との認識を地元紙のインタビューで示している。

米ドル・円(USDJPY)は、114円後半中心の取引となった。ウクライナ情勢への懸念からリスクオフの姿勢が強まり、国債が買われ長期金利が徐々に低下し1.684%に低下すると米ドル売りが進み、この日の安値114.70円となった。その後、ユーロ・米ドルでリスクオフの米ドル買いが入ったことが支えとなり持ち直し、114.92円で終えた。
 

  • 株式

NYダウ平均 USD 33,294.95 -597.65 (-1.76%)
NASDAQ総合  USD 13,532.459 -218.940 (-1.59%)
S&P500     USD  4,306.26 -67.68(-1.54%)

3月1日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、前日の終値を連日で下回った。ウクライナ情勢の悪化懸念からリスク回避の姿勢が強まり、終日で前日の終値を下回る取引が続いた。安全資産の債権を買う動きが強まり長期金利が一時1.684%に低下に合わせ、株価も徐々に下落した。この動きを受け、収益悪化の懸念から金融株中心に幅広い銘柄が売られた。
 

  • 債券

米国債10年 1.725(-0.103%)
 

  • 商品

NY原油(WTI) 1バレル=USD 103.41 +7.69(+8.03%)(4月渡し)
NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,943.8 +43.10(+2.27%)(4月渡し)

 

【日本】パウエル議長証言を前に様子見強く

  • 為替(17時)

3月1日の東京外国為替市場は、ウクライナ情勢を巡る懸念が強く様子見の姿勢が強まった。3月2、3日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言を控えていることも影響が大きかった。また、商品や原油高の影響から資源国通貨が買われている。

米ドル・円は115円半ばの取引となった。朝方は、国内輸出企業の決済に向けた買いが入り、この日の高値115.29円まで買われた。その後は、リスク回避の姿勢が色濃くなり徐々に値を下げたものの、様子見の姿勢が強まり小幅な動きに転じ17時は115.03円で取引された。

ユーロ・円は、128円後半から129円前半で取引された。好調な株価を受け、様子見の姿勢が続き、値動きが少なかった。欧州勢参加後、決済に向けたユーロ買いが強まり小幅に値を上げ、17時時点では129.18円だった。

ユーロ・米ドルは1.11ドル後半中心の取引となった。ウクライナ情勢の混乱の長期化が懸念され様子見の姿勢が強まり、値動きが少ない状況が続いた。欧州勢参加後に決済に向けたユーロ買いから小幅に値を上げ、17時時点では1.1229ドルとなった。
 

  • 日本株式

日経平均株価 26,844.72円 +317.90(+1.20%)
安値26,821.75円  -  高値 27,013.26円
東証出来高 1,247,16万株
東証売買代金 3兆0344.00億円
 
3月1日の日経平均株価は前日の終値を3日連続で上回った。ロシアに対する金融制裁後、過度な警戒が回避されたと好感され、買いやすい価格に下落した銘柄が買い戻された。11時前に境目の27,000円を2月18日以来、6日ぶりに上回る場面も見られた。原油高を受け関連株が上昇、さらに成長株が買われ、終日で前日の終値を上回り取引され、東証1部の53%の銘柄で値を上げた。中小型株も買われ、東証マザーズ指数が7%上昇している。
 

  • 短期金融市場

無担保コール翌日物金利 -0.011%
 

  • 債券

国債先物・22年3月限 150.59(+0.09)
10年長期金利 0.175%(-0.005) 

 

【マーケットアナリティクス】EURGBPは再び重要なサポートを試す方向へ(2月25日)

ユーロ・ポンド(EURGBP)は、0.83ポンドの下値支持線(サポート/オレンジ色)から離れられないようだ。週足のチャートを見ると、2016年末から0.83ポンドが買い手の下値支持線(サポート)となっていたことが分かる。これを足掛かりに、2016年、2017年、2019年、2020年に上昇している。

2022年はその下値支持線(サポート)を試すところから始まった。1月末に強い強気(ブル)の反転をもたらしたが、価格は再び0.83ポンドに戻っている。これまでの上昇を振り返ってみると、下値支持線(サポート)への接触はしばらくなかったが、そのエリアを試すものの、大半は即座に跳ね返された。

今回は、このエリアの重力がかなり強く、ユーロがここから離れられないような状況だ。 トレーダーの古い格言に、「上昇を望まないものは、おそらく下降する」とあるが、まさしくこの状況に陥っている。

今のところ、さらなる下落は疑惑に過ぎないが0.83ポンドの下値支持線(サポート)を破れば、売りシグナルが確定となる。価格がそのレベルより下で週足ローソクチャートを脱するブレイクアウトとなる可能性が、かなり高い。

  
ユーロ・ポンド、デイリーチャート 3月1日(CET・中央ヨーロッパ時間)

引用元: “EURGBP on the Way to Test Crucial Support Again” (2022年3月1日, AXIORY Global Market News)

追記:3月2日、日本時間6:02のユーロ・ポンドは0.8352ポンド付近で取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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