日米金融政策の違いから円安続く

2022/03/23 7:44 JST投稿

 

【米国】

  • 為替(3月23日6時00分)

米ドル円(USDJPY) 120.76-120.85 (円)
ユーロ円(EURJPY) 133.14-133.31 (円)
ユーロ米ドル(EURUSD) 1.1027-1.1033 (米ドル)
ポンド円(GBPJPY) 160.13-160.22 (円)
ポンド米ドル(GBPUSD) 1.3260-1.3263 (米ドル)

3月22日のニューヨーク外国為替市場の主なトピックスは、前日にパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が積極的に金融政策を推し進めるタカ派的な発言を行なった一方で、日本が金融緩和を続ける黒田総裁のハト派的な姿勢から米ドルが買われやすい状況が続いている。ウクライナ情勢長期化への懸念から「有事のドル買い」となっており、値が上がりやすいことも影響が大きい。

米連邦準備制度理事会(FRB)の高官の発言としては、セントルイス地区連銀のブラード総裁はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、インフレ抑制に向けFRBは積極的に動く必要があると指摘。政策金利を今年3%に引き上げるべきという考えを強調した。また、サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁はオンラインイベントで、経済における主なリスクは高インフレと述べた。ウクライナ情勢がさらに悪化による原油価格の上昇や中国のコロナウイルス対策強化により、サプライチェーン(供給網)への影響が大きくなるとインフレがさらに悪化するとの懸念を示している。

米ドル・円(USDJPY)は、120円半ばから後半で推移した。ウクライナ情勢の不透明感を受けた有事のドル買いや日米の金融政策の違いが意識され、欧州時間に2016年2月以来、6年ぶりの高値121.03円を付けた。その後は、大きな影響を及ぼすものがなく、小幅な動きにとどまり、120.80円で終えている。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、1.11ドル前半で推移した。欧米株価の上昇を受け、ユーロが買われ、この日の高値1.1046ドルまで値を上げた。その後は、ウクライナ情勢長期化や高インフレの懸念から徐々に値を下げ、終値は1.1029ドルとなった。

ユーロ・円(EURJPY)は、132円半ばから133円前半に値を上げた。ユーロ・米ドルの上昇から、リスクを積極的に取るリスクオフの姿勢が強まりユーロ買いが優勢となった。昨年10月20日以来、約5カ月ぶりの高値133.33円まで上昇した。その後、小幅に売りが出たが再び上昇に転じ、終値は133.23円だった。
 

  • 株式

NYダウ平均 USD 34,807.46 +254.47 (+0.73%)
NASDAQ総合  USD 14,108.817 +270.357 (+1.95%)
S&P500     USD  4,511.61 +50.43(+1.13%)

3月22日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、前日の終値を上回った。前日パウエルFRB議長がインフレ阻止に向け、次回5月のFOMCで0.5%引き上げの可能性が濃厚であることを示唆した。これを受け、長期金利がさらに上昇し、利益を得られやすい金融株が買われた。さらに、前日下落した反動で買い戻しが入り、3指数揃って上げ終えた。
 

  • 債券

米国債10年 2.385(+0.091%)
 

  • 商品

NY原油(WTI) 1バレル=USD 111.76 -0.36(-0.32%)(4月渡し)
NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,921.5 -0.8(-0.41%)(4月渡し)

 

【日本】米ドル・円 6年ぶりの120円台に

  • 為替(17時)

3月22日の東京外国為替市場は、前日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の積極的に金融政策を推し進めるタカ派的な発言を受け、日米金利差が意識された米ドル買い、円売りが加速した。
 
米ドル・円は120円前半で取引された。最近、ウクライナ情勢を受けた有事のドル買いが顕著となり、東京市場では積極的な取引が起こりづらい状況が続いていることも影響が大きい。以前は、有事に安全資産の円買いとなっていたが、欧米と日本の金融政策の差もあり円は選好されていない。2016年2月以来、6年ぶりの高値120.49円まで値を上げ、17時時点では120.47円で取引されている。

ユーロ・米ドルは1.1ドル前半から1.0後半に値を下げた。米ドル・円で円安が進んだ影響を受け、値を下げた。この日の安値1.0961ドルまで売られた。その後小幅に戻し17時時点では1.0982ドルとなった。

ユーロ・円は、131円半ばから後半に値を上げた。ウクライナ情勢の懸念から値を上げづらい状況が続き、小幅な動きにとどまった。一時、132.05円付近までユーロが売られた反動から、再び買いが入り、この日の高値132.37円まで買われた。17時時点では132.30円だった。
 

  • 日本株式

日経平均株価 27,224.11円 +396.68(+1.48%)
安値27,076.33円  -  高値 27,284.47円
東証出来高 1,533,23万株
東証売買代金 3兆4261.78億円
 
3月22日の日経平均株価は6日連続で前日の終値を大幅に上回った。外国為替市場で約6年ぶりの円安120円台に上昇し、輸出関連株が買われた。また、原油高から商社などの資源関連株、米長期金利の上昇から金融株が買われるなど幅広い銘柄が買われた。終値で2月18日以来、およそ1カ月ぶりに2万7000円台を回復し、東証1部の52%の銘柄で値を上げ終えた。
 

  • 短期金融市場

無担保コール翌日物金利 -0.005%
 

  • 債券

国債先物・22年3月限 149.87(-0.20)
10年長期金利 0.215%(+0.010) 

 

【マーケットアナリティクス】ユーロ・円は、主要なレジスタンスゾーンを試す(3月22日)

ユーロ・円の上昇は止まらず、本日は1%以上強く、2021年10月以来の133円台まで値を上げた。

しかし、これはユーロにとって重要な上値抵抗線(レジスタンス)のように見える。最近の上昇トレンドを考慮すると、トレーダーはここで利益を取り始める可能性があり、今後数日間、価格を引きずり下げることが見込まれる。

最初の下値支持線(サポート)は、1月の高値131.50円付近となる可能性が高い。これを割り込むと、50日移動平均線(紫の線)と200日移動平均線(緑の線※)が収束する130円付近を再び目指すことになりそうだ。

また、133.50円を上抜けた場合、かなり大きな損切りをしてでも売るタイミングの「ストップロス」の状況が発生し、135円に向けてさらに上昇する可能性がある。

投資家心理がポジティブであれば、ウクライナ紛争によるリスク回避のリスクオフの取引はあるが、現在の市場環境では円はかなり不利に見え、最終的な調整はユーロが買われる可能性がある。

(※)移動平均線:一定期間(この場合は50日間と200日間)の終値の平均値の推移を折れ線グラフで示したもの。相場が上昇傾向にあるのか、下落傾向にあるのかといったトレンドを把握しやすい。
      
ユーロ・円、デイリーチャート 3月22日(CET・中央ヨーロッパ時間)

引用元: “EURJPY Tests Major Resistance Zone” (2022年3月22日, AXIORY Global Market News)

追記:3月23日、日本時間6:00のユーロ・円は133.14-133.31円で取引されている

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