米長期金利が一時2019年5月以来の高水準に

2022/03/28 6:13 JST投稿

 

【今週の見通し】(3月28日-4月1日)

先週はパウエル連邦準備理事会(FRB)議長の積極的に金融政策を推し進めるタカ派的な発言を受け、日米金利差が意識され円安が続いている。今週は月末、月初、日本の企業の多くが年度末にあたるため、決済に向け変動が大きくなる可能性もある。また、FRB高官の講演の機会が複数あり、そこでの発言に注目したい。

また、ウクライナ情勢は長期化の様相だ。足元では高インフレの中、エネルギー価格が上昇を続けるなど厳しい局面が続いている。原油高を中心に商品価格が上昇しており、世界的な景気後退が懸念されているが、米国の利上げの方に軸足が向き始めている。そのため、米国の利上げ関連の動きによる影響の方が大きくなっている。

注目の経済指標は4月1日に発表される3月の米雇用統計と3月米ISM製造業景況指数がある。米利上げに向け、賃金とインフレ関連データを注視したい。

予想レートは米ドル・円が120円半ばから124円前半。ユーロ・米ドルが1.08ドル前半から1.11ドル半ば。

 

【米国】

  • 為替(3月28日6時00分)

米ドル円(USDJPY) 122.07-122.13 (円)
ユーロ円(EURJPY) 134.06-134.18 (円)
ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0985-1.0989 (米ドル)
ポンド円(GBPJPY) 160.90-160.99 (円)
ポンド米ドル(GBPUSD) 1.3180-1.3183 (米ドル)

3月25日のニューヨーク外国為替市場の主なトピックスは、ウクライナ情勢の影響から原油先物が上昇している中、サウジアラビア西部にある国営石油会社サウジアラムコの石油貯蔵施設がイエメンの親イラン武装組織フーシ派に攻撃された影響から原油先物が上昇している。

連邦準備理事会(FRB)高官の発言としては、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、ペルー中央銀行と国際決済銀行(BIS)が主催する会議で発言。経済統計によって利上げが正当化されれば大幅に利上げを支持する意向を表明した。

また、朝方に発表された3月 ミシガン大学消費者態度指数の確報値(結果:59.4、予想59.7、速報値:59.7)では、小幅に下方修正され2011年8月以来の低い水準だった。ロシアのウクライナ侵攻によるガソリン価格上昇の影響が大きい。2月確報値は62.8と3ヵ月連続で低下し、この結果が公表された直後(11時過ぎ)に、高インフレが懸念され債権が売られ長期金利が2.503%と2019年5月以来の高い水準になっている。

米ドル・円(USDJPY)は、122円前半中心の取引となった。長期金利が上昇すると、米ドル買いが強まり122.24円まで値を上げた。その後、ミシガン大学消費者態度指数の確報値が発表されると、この日の安値121.18円まで売られたが、持ち直し、122円前半の横ばいで推移し、終値は122.05円となった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、1.1ドル前半から1.0前半に値を落とした。ウクライナ情勢の懸念や原油先物価格の上昇から値を落とし、この日の安値1.0981ドルを付けた。その後は、小幅な動きにとどまり、終値は1.0983ドルとなった。

ユーロ・円(EURJPY)は、134円後半から134円半ばに値を上げた。米ドル・円の動きにつられ、米ドルが売られると同時にユーロが売られ133.94円まで安くなった。その後は、小幅な動きにとどまり、134.04円で終えた。
 

  • 株式

NYダウ平均 USD 34,861.24 +153.30 (+0.44%)
NASDAQ総合  USD 14,169.300 -22.539 (-0.15%)
S&P500     USD  4,543.06 +22.90(+0.50%)

3月25日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、前日の終値を連日で上回った。長期金利が上昇し金融株が買われた他、サウジアラビアの石油貯蔵施設が襲撃を受け原油先物価格が上昇すると石油株が買われた。その一方で、金利上昇から株価収益率(PER)が高いハイテク株での割高感が意識された売りが出て、前日の終値を下回る場面もあったが持ち直し終えた。
 

  • 債券

米国債10年 2.479(+0.104%)
 

  • 商品

NY原油(WTI) 1バレル=USD 113.90 +1.56(+1.39%)(5月渡し)
NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,959.8 -7.9(-0.40%)(4月渡し)

 

【日本】円安 121円後半に警戒高まる

  • 為替(17時)

3月25日の東京外国為替市場は、引き続き円安となっている。鈴木俊一財務相は衆院財務金融委員会で、為替の急速な変動は望ましくないと言及し、緊張感を持って注視していきたいと述べている。

日本銀行が金利上昇の抑制に向け、金融機関から指定した利回りで国債を買い入れる指値オペが実施されるとみられていたが、実施されなかった。3月24日に長期金利が0.230%となり、前回指し値オペを予告した2月10日の水準に到達しており、実施が濃厚とみられていた。

米ドル・円は、国内輸出企業のドル売りや鈴木俊一財務相の円安けん制の発言から、この日の安値121.18円を付けた。日本銀行の指し値オペが行われなかったことに対する円の買戻しが入ったことも影響が大きかった。その後は、徐々に買戻しが入り、121円後半で堅調に推移し、17時では121.74円となった。

ユーロ・米ドルは1.0ドル後半から1.1ドル前半に値を上げた。米ドル・円の米ドル売りにつられ、朝方は値を下げていたが、その後持ち直した。大きな動きがなく、1.1ドル前半の横ばいで推移し、17時時点では1.1023ドルだった。

ユーロ・円は、134円後半から133円後半に値を下げた後、134円前半に値を戻した。朝方は米ドル・円の動きにつられ徐々に値を下げ、この日の安値133.73円まで売られた。その後、買戻しが入り、徐々に上昇し17時時点では134.19円で取引されている。
 

  • 日本株式

日経平均株価 28,149.84円 +39.45(+0.14%)
安値27,946.79円  -  高値 28,338.81円
東証出来高 1,186,85万株
東証売買代金 3兆0581.27億円
 
3月25日の日経平均株価は9日連続で前日の終値を上回った。9日連続で前日の終値を上回ったのは2019年9月3~17日以来。前日の米国市場の上昇を受け午前中は買いが優勢だった。3月末の配当を目的とした買いもプラスに作用した。午後になると、利益確定や週末を控えた売りが優勢となり、前日の終値を下回ったが、徐々に値を戻し小幅に前日の終値を超えた。
 

  • 短期金融市場

無担保コール翌日物金利 -0.004%
 

  • 債券

国債先物・22年6月限 149.48(-0.16)
10年長期金利 0.235%(+0.005) 

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