ECB高官のタカ派的な発言からユーロが堅調

2022/03/31 7:26 JST投稿

 

【米国】

  • 為替(3月31日6時00分)

米ドル円(USDJPY) 121.78-121.89 (円)
ユーロ円(EURJPY) 135.82-135.99 (円)
ユーロ米ドル(EURUSD) 1.1567-1.1160 (米ドル)
ポンド円(GBPJPY) 159.95-160.11 (円)
ポンド米ドル(GBPUSD) 1.3129-1.3137 (米ドル)

3月30日のニューヨーク外国為替市場の主なトピックスは、ロシアはキエフ周辺で軍事作戦を縮小する一方で、東部マウリポリなどでの攻勢を強めている。前日の停戦交渉の進展を受け、投資家心理が和らいだが、一転して投資家心理が冷え込んだ。また、ロシアのプーチン大統領はドイツのショルツ首相に電話会談を要請し、4月以降の天然ガス代金の支払いを引き続きユーロで支払いを継続する説明をした。これにより、ロシアのエネルギー供給停止の懸念が和らいでいる。

なお、3月 ADP雇用統計(前月比、結果:45.5万人、予想:45.0万人、前回:47.5万人)が発表され、予想を小幅に上回った。明日発表の雇用統計では増加が見込まれている。ADP雇用統計の結果を受け長期金利が2.41%に上昇した。また、10-12月期 四半期実質国内総生産(GDP確定値、前期比年率、結果:6.9%、予想:7.0%、前回:7.0%)では、2月発表の改定値から下方修正され、今回の結果が若干下回った2021年通年は改定値と同じ前年比5.7%増で、1984年以来、37年ぶりの高い伸びを示している。

また、欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのマクルーフ・アイルランド中銀総裁は、ウクライナ情勢がもたらす経済的な影響の見解を示すのは時期尚早としつつ、ユーロ圏の経済活動とインフレに重大な影響を与える恐れがあると言及した。その上で、「ECBは物価の安定を追求し、必要なあらゆる行動をとる」と表明した。さらに、ラガルド総裁は「戦争が長引くほどにコストは大きくなるだろう。欧州は必要な投資が可能な限り迅速かつ円滑に行われるよう計画する必要がある」と指摘。ユーロ圏ではスタグフレーションの証拠は見受けられないとも述べている。合わせて、エストニア中銀ミュラー総裁やスロバキア中銀カジミール総裁が、相次いで年内の利上げに言及するタカ派的な発言があった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、ロシアからのエネルギー供給の停止懸念の融和やECB高官によるタカ派的な発言。さらにラガルド総裁のスタグフレーションへの言及から、投資家心理が上向き1.1171ドルに上昇した。その後は、ウクライナ情勢での懸念の高まりから投資家心理が冷え込み、小幅に売られた。終値は1.1159ドルとなった。

ユーロ・円(EURJPY)は、ユーロ・米ドルの上昇につられ136.29円までユーロが買われた。その後は、徐々に取引が弱まり小幅な動きにとどまり135.93円で終えた。

米ドル・円(USDJPY)は、値動きがあまり出ず121円後半での推移となった。一時、3月 ADP雇用統計が発表されると、明日の雇用統計への期待から米ドル買いが増え121.70円から121.81円へ上昇した。足元では、短期間に大幅に売られた影響から日本時間に円買いの流れが出て、欧米時間は値を上げづらい状況に転じている。その後は、小幅に値を下げ終値は121.83円となった。

  • 株式

NYダウ平均 USD 35,228.81 -65.38 (-0.18%)
NASDAQ総合  USD 14,442.275 -177.361 (-1.21%)
S&P500     USD  4,602.45 -29.15(-0.62%)

3月30日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、前日の終値を5日ぶりに下回った。前日までの4日間で900ドル強上昇した反動から、上昇していた消費関連株やハイテク株中心に売られた。また、ウクライナ情勢の懸念も投資家心理を弱め、幅広い銘柄に売りが波及している。
 

  • 債券

米国債10年 2.356(-0.045%)
 

  • 商品

NY原油(WTI) 1バレル=USD 107.82 +3.58(+3.43%)(5月渡し)
NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,939.0 +21.0(+1.09%)(6月渡し)

 

【日本】岸田首相と黒田総裁の会談から円高へ

  • 為替(17時)

3月30日の東京外国為替市場は、ヘッジファンドなどの投機筋の売買が増え、値動きが激しくなっている。米長期金利低下や急激な円安への警戒感が高まり、米ドル売りが優勢となった。円安基調で政財界から懸念の声が上がる中、昼過ぎに日銀の黒田総裁が首相官邸入りしたと伝わると、今後の対応への期待から円買いが加速した。さらに、日銀が金利上昇抑制に向けた「指し値オペ」の買い入れ額を追加した影響も大きかった。

なお、黒田総裁は岸田首相との会談後、記者団に「為替は経済情勢を反映し、安定的に推移することが望ましいと申し上げた」と話し、岸田首相から特別な指示はなかったと説明している。

米ドル・円は、123円前半から121円に下落した。朝方から米長期金利の低下や円安への警戒感の高まりからドル売りが優勢となった。さらに、黒田総裁が岸田首相と会談を受け投資家心理が上向き、円買いが強まり、この日の安値121.32円まで値を下げた。その後は小幅な動きにとどまり、17時時点では121.88円となった。

ユーロ・米ドルは小幅な動きにとどまり、1.1前半中心の取引。米ドル・円で米ドル売りが強まると、小幅に値を上げた。欧州勢参加後、ユーロ買いが強まり前日の高値1.1137ドル付近の1.1135ドルまで上昇し、17時時点では1.1128ドルだった。

ユーロ・円は、米ドル・円で円が買われた動きにつられると、この日の高値136.67円からこの日の安値134.88円まで売られた。その後、小幅に値を戻し17時時点では135.64円となった。
 

  • 日本株式

日経平均株価 28,027.25円 -225.17(-0.80%)
安値27,736.27円  -  高値 28,281.45円
東証出来高 1,404,42万株
東証売買代金 3兆4315.09億円
 
3月30日の日経平均株価は前日の終値を下回った。開始直後は米株高を受け上昇した。しかし、前日に3月末の配当権利を取得し、権利落ち日の本日に株式を売却した影響が大きかった。幅広い銘柄が売られ、さらに、円が121円台の円高に進んだ影響から輸出関連株も売られている。東証1部の33業種のうち空輸業とゴム製品以外で値を下げた。
 

  • 短期金融市場

無担保コール翌日物金利 -0.004%
 

  • 債券

国債先物・22年6月限 149.54(+0.51)
10年長期金利 0.215%(-0.030) 

 

【マーケットアナリティクス】USDCAD、5ヶ月ぶりの安値に下落(3月30日)

本日の米ドル・カナダドル(USDCAD)は、主要サポートである1.2450をついに下回り、2021年11月の水準1.2440まで下落した。

原油の上昇が続く中、カナダドルは最近の米ドル高にもかかわらず、下値支持線(サポート)が意識されているようだ。そのため、さらなる下落の可能性もある。

この日の未明、米国の3月ADP雇用者数は45.5万人となり、予想の45万人をやや上回ったものの、上方修正された2月の48.6万人をやや下回る結果となった。同時に、第4四半期の米GDPは年率7.0%から6.9%に小幅に下方修正された。

1.2450を下回っている限り短中期的な見通しは弱気(ベア)となり、次のターゲットは1.2385となる可能性がある。

あるいは、本日の終値が1.2450を上回った場合、弱気にブレイクアウトしたと見せかけて、最終的に一定の値幅(レンジ)に戻る「だまし」、もしくはブレイクに失敗する「フォールスブレイクアウト」となり、次のセッションでは米ドル・カナダドルが1.25を上回る可能性がある。

バークレイズのアナリストは「我々は、カナダドルに対する建設的な見方を維持し、回復力のある成長、強力な輸出、原油価格の上昇という我々の基本的な見通しの下、交易条件の上昇に支えられ、米ドル・カナダドルが下げ続ける余地があると見ている」と述べている。

カナダ銀行(中央銀行)は4月13日の会合で、高インフレに対する懸念や長期的なインフレ期待を上方修正する可能性がある。また、段階的に金融政策の正常化に積極的に取り組むタカ派寄りになる可能性もあり、カナダドルをさらに下支えする可能性がある。

USDCAD Drops to 5-Mth Lows
    
米ドル・カナダドル、デイリーチャート 3月30日(CET・中央ヨーロッパ時間)

引用元: “USDCAD Drops to 5-Mth Lows” (2022年3月30日, AXIORY Global Market News)

追記:3月31日、日本時間6:00の米ドル・カナダドルは1.2477-1.2485カナダドルで取引されている

この記事をシェアする
もっと読む
クッキー(Cookie)について: お客様が本ウェブサイトにアクセスする際、セキュリティの確保やお客様に関する情報を取得することを目的に、クッキー(Cookie)を使用する場合があります。 本ウェブサイトにお客様が継続的に訪問する場合、クッキーについて同意することと見なします。またクッキーはいつでも削除することが可能です。
FAQ お問合せ サポートデスク
月曜日-金曜日
9:00-24:00