欧州エネルギー供給の不安からユーロ安

2022/04/01 7:32 JST投稿
 
 

【米国】

  • 為替(4月1日6時00分)

 米ドル円(USDJPY)    121.65-121.75 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    134.58-134.76 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.1064-1.1068 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    159.81-160.01 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.3132-1.3141 (米ドル)
 
3月31日のニューヨーク外国為替市場の主なトピックスは、まずウクライナ情勢だ。ロシアとウクライナの停戦交渉をビデオ会議で継続するとウクライナ側が明かしたが、ロシア側はまだ発表していない。さらに、プーチン大統領がロシア産天然ガスを購入する場合に自国通貨ルーブルでの支払いを義務付ける大統領令に署名した。これにより、非友好国はロシア国内の銀行に口座を開設し、外貨での支払いがルーブルに換金される方式を取る。前日にショルツ首相やイタリアのドラギ首相にユーロ払いを認める発言をした直後だけに、今後の供給が不安視され警戒が高まっている。
 
また、バイデン政権が、米国の石油備蓄から数カ月間にわたって日量約100万バレルを放出する計画を検討していることが明らかになった。この影響から原油先物価格が下落した。
 
なお、2月 個人消費支出(PCEデフレーター、前年同月比、結果:6.4%、予想:6.4%、前回:6.1%)は、1982年1月以来、40年1カ月ぶりの高い伸びとなり、15カ月連続の拡大となった。食品・エネルギー除く2月 個人消費支出(PCEコア・デフレーター、前年同月比、結果:6.4%、予想:6.4%、前回:6.1%)も1983年4月以来の高水準となっている。
 
また、前週分 新規失業保険申請件数(結果:20.2万件、予想:19.7万件、前回:18.7万件)は、先週より増加したが、労働者不足から解雇が低水準となっている。前週分 失業保険継続受給者数(結果:130.7万人、予想:135.0万人、前回:135.1万件)となったが、影響は軽微だった。

 

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、ウクライナ情勢の長期化が懸念された。朝方は、金の価格を決めるロンドンフィキシングに絡んだ米ドル売りが入ると1.1133ドルまで値を上げた。その後は、ロシアが欧州への天然ガス代金をルーブルで支払いを要求する大統領令に署名したとの報道にリスク回避の姿勢が強まった。それらの影響から欧州経済への不安が高まりユーロ売りが加速し、この日の安値1.1062ドルまで売られた。その後は、小幅に持ち直し1.1067ドルで終えた。
 
ユーロ・円(EURJPY)は、地政学リスクや欧州へのロシア産天然ガス供給での不透明感の強まりから、リスク回避の姿勢が強まった。この影響から、この日の安値134.52円を付けたが、小幅に値を戻し終値は134.67円だった。

 

米ドル・円(USDJPY)は、月末のロンドンフィキシングに絡んだ米ドル売りが出て値を下げると、前日の安値121.32円を超え121.28円まで下落した。その後はウクライナ情勢を受けたユーロ・米ドルでの米ドル買いや、日米金利差を意識した米ドル買いから値を戻し、終値は121.70円だった。
 

  • 株式

 NYダウ平均  USD 34,678.35 -550.46 (-1.56%)
 NASDAQ総合  USD 14,220.519  -221.756 (-1.53%)
 S&P500      USD  4,530.41  -72.04(-1.56%) 
 
3月31日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、前日の終値を連日で下回った。短期的に急激な上昇を受けた調整により月末や四半期末のファンドの利益確定売りが優勢となった。幅広い銘柄で売られた上、長期金利の低下を受けた金融株の下落や、米国の石油備蓄放出の発表を受け原油先物価格が低下し、石油関連株が下落した影響も大きかった。さらに、ウクライナ問題への懸念も大きく、大幅に下落し終えた。
 

  • 債券

 米国債10年 2.340(-0.014%)
 

  • 商品

 NY原油(WTI) 1バレル=USD 100.28 -7.54(-6.99%)(5月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,954.0  +15.0(+0.77%)(6月渡し)

 
 

【日本】岸田首相の国会答弁から円高進む

  • 為替(17時)

3月31日の東京外国為替市場は、米長期金利が2.356%に低下した影響や年度末の持高調整による売買による売買が活発だった。
 
また、岸田首相がロシア極東サハリンの石油・天然ガス開発事業「サハリン2」から日本は撤退しない方針だと国会答弁で表明した。サハリン2には三井物産と三菱商事が参画しており、英シェル(旧ロイヤル・ダッチ・シェル)は撤退すると発表している。この発言から円高圧力が強まった。
 
米ドル・円は、米長期金利の低下や年度末の持高調整、さらに岸田首相が「サハリン2」から撤退したいとの報道から円が買われた。昼過ぎに付けた122.36円から121.34円まで下落している。その後は持ち直し17時時点では121.64円だった。
 
ユーロ・米ドルはあまり値動きが出なかったが、長期金利低下と米株式先物の上昇、さらにバイデン政権が米国の石油備蓄から数カ月間にわたって日量約100万バレルを放出する計画を検討している報道から投資家心理が上向いた。この日の高値1.1183ドルまでユーロが買われ上昇。その後は、ウクライナ情勢の長期化やエネルギー価格上昇から更なるインフレの高まりへの懸念から徐々に値を下げ、17時時点では1.1150ドルとなった。
 
ユーロ・円は、ユーロ・米ドルの動きにつられ、この日の高値136.81円まで値を上げた。その後は徐々に値を下げ、17時時点では135.63円となっている。

 
  • 日本株式

 日経平均株価     27,821.43円  -205.82(-0.73%)
  安値27,763.96円  -  高値 28,101.68円
 東証出来高 1,340,43万株
 東証売買代金 3兆2438.13億円
 
3月31日の日経平均株価は2日連続で前日の終値を下回った。米国株安を受け、開始から前日の終値を下回る取引だった。バイデン政権がインフレ対応として石油備蓄の放出を検討しているとの報道が出ると、前日の終値を上回った。しかし、米長期金利の影響も大きく幅広い銘柄が売られ東証1部の79%の銘柄で値を下げ終えた。
 

  • 短期金融市場

 無担保コール翌日物金利  -0.020%
 

  • 債券

 国債先物・22年6月限  149.70(+0.16)
 10年長期金利  0.210%(-0.005)
 

 

【マーケットアナリティクス】AUDUSDは、前回の高値付近で堅調に推移(3月31日)

木曜日のオーストラリアドル・米ドルは、米国取引前に0.25%下落し、0.7480ドル付近で取引され、今週初めにつけた5ヶ月ぶりの高値を守った。
 
アジア時間では、3月の中国製造業PMIは49.5ドルとなり、前回の50.2から低下した。同様に、サービス部門も51.6ドルから48.4ドルへと低下。どちらの数値も予想を下回る結果となり、収縮領域(50.0の基準値を下回る)に入った。しかし、豪ドルは不安定な反応を示すことができなかった。
 
さらに、オーストラリア政府は1日、ロシアからのすべての輸入品に関税の引き上げを課すと発表した。ロシアからの輸入品には35%の関税が課され、4月25日から適用される。
 
現在、0.7540ドルと0.74440ドルの間の狭い値幅(レンジ)で統合されている。強気(ブル)な勢いが一巡したため、今後数日間、さらなるレンジ取引(コンソリデーション)が予想される。
 
強気(ブル)なブレイクアウト(上値抵抗線を超えた)が見られた場合、0.76ドルに向け上昇を続け、年初来高値を更新する可能性があります。
 
あるいは、0.7440ドルを割り込むと、0.730ドル付近にある200日移動平均線(緑の線※)を再び試す可能性がある。
 
買いの勢いが強く日足チャート上では伸びすぎているため、利益確定売りが出て0.7440ドルもしくはそれ以下で調整される可能性がある。
 
※移動平均線:一定期間(この場合は200日間)の終値の平均値の推移を折れ線グラフで示したもの。相場が上昇傾向にあるのか、下落傾向にあるのかといったトレンドを把握しやすい。

 
   

オーストラリアドル・米ドル、デイリーチャート 3月31日(CET・中央ヨーロッパ時間)
 
引用元: “AUDUSD Consolidates Near Previous Highs” (2022年3月31日, AXIORY Global Market News) 
 
追記:4月1日、日本時間6:00のオーストラリアドル・米ドルは0.7481-0.7484ドルで取引されている

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