長期金利低下から米ドルは上値が重い

2022/05/10 7:24 JST投稿
 

【米国】

為替(5月10日6時00分)
 米ドル円(USDJPY)    130.24-130.34 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    137.59-137.61 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0558-1.563 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    160.59-160.74 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2330-1.2334 (米ドル)

5月9日のニューヨーク外国為替市場の主なトピックスは、金融引き締めへの警戒感が強まり、朝方に長期金利が2018年11月以来の水準に3.203%に上昇した。その後、徐々に下落し、3.028%に低下した。

また、米アトランタ連銀のボスティック総裁はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、0.5ポイントの利上げを継続することが望ましく、それより大幅な利上げの必要はないとの見解を示した。さらに、高インフレ抑制が急務とも述べている。

中国の4月貿易収支で輸出額が前年同期比で3.9%増の2,736億ドル(約36兆円)だった。3月は前年比で14.7%増加していただけに、急激に減速したことが明らかとなっている。2020年6月以来の低い伸び率で、上海のロックダウン(都市封鎖)などにより供給網の停滞が現れた。一方、ロシアからの1-4月の輸入が前年同期比で37.8%増となり、ロシアの中国依存が加速していることが示されている。

米ドル・円(USDJPY)は、日本時間に20年ぶりの高値を更新した反動から米ドルが売られ、長期金利が低下し、この日の安値130.12円に値を下げた。ボスティック総裁のハト派的な発言も影響が大きかった。その後、小幅に持ち直し終値は130.29円となっている。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、朝方に米長期金利が上昇した反動から値を下げていたが、プーチン大統領が戦争宣言を行なわなかったことが好感され1.0593ドルまで買い戻された。その後は小幅に値を下げ、終値は1.0561ドルだった。

ユーロ・円(EURJPY)は、ユーロ・米ドルにつられ、ユーロ売りが強まると、この日の安値137.07円を付けた。その後、反発し137.87円まで値を戻すも、小幅に値を下げ137.59円で終えた。

株式
 NYダウ平均  USD 32,245.70 -653.67 (-1.98%)
 NASDAQ総合  USD 11,623.248  -521.414 (-4.29%)
 S&P500      USD  3,991.24  -132.10(-3.20%) 

5月9日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、3日連続で前日の終値を大幅に下回った。朝方に長期金利が3.203%に上昇した影響から、幅広い銘柄が売られた。中国の4月貿易統計で輸出の伸び率が大幅に鈍化した影響も強く、3指数揃って値を下げ終えた。

債券
 米国債10年 3.034%(-0.09)

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 103.09 -6.68(-6.09%)(6月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,858.6  -24.20(-1.29%)(6月渡し)
 

【日本】米ドル・円 20年前の高値更新

為替(17時)
5月9日の東京外国為替市場の主なトピックスは、大型連休が明け、市場参加者が戻った。さらに、米長期金利が3.17%、5年債利回りも2008年以来の3.17%となった。明日バイデン米大統領が発表予定のインフレ対策への期待感や、米国の金融引き締め、中国の都市封鎖による供給網問題などによる世界経済への懸念から米ドル買いが優勢となっている。

また、ロシアのプーチン大統領は第2次世界大戦の対独戦勝記念式典で演説し、「ウクライナにロシア軍を進めたのは第2次大戦のような世界的な衝突の再発を防ぐためだ」と述べ、侵攻を正当化した。戦争宣言を行なうと警戒されていたが、それが回避されたことが好感された。

米ドル・円は、国内の決済に向けた米ドル買いの強まりや米長期金利の上昇による日米金利差が意識され4月28日に付けた20年ぶりの高値131.25円を更新し、131.35円まで米ドル買いが優勢だった。その後は小幅に値を下げ17時時点では131.20円となったが堅調に値を上げた。

ユーロ・米ドルは、米ドル・円で米ドル買いが強まり徐々に値を下げた。その後、プーチン大統領が戦争宣言を行なわなかったことが好感され、ユーロ買いが強まると1.0524ドルまで値を上げた。その後小幅に売られ17時時点では1.0512ドルだった。

ユーロ・円は、米ドル・円で円売りが強まると徐々に値を上げた。ウクライナ情勢での懸念が弱まるとユーロ買いがさらに強まり138.04円まで値を上げた。その後は、小幅に値を下げ17時時点では137.91円で取引されている。

債券
 国債先物・22年6月限  149.09(-0.09)
 10年長期金利  0.245%(+0.005)

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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