リスクオフの姿勢が強まり積極的な投資を抑制

【米国】

為替(5月13日6時00分)
 米ドル円(USDJPY) 128.31-128.33 (円)
 ユーロ円(EURJPY) 133.15-133.21 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0378-1.0381 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY) 156.46-156.66 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2197-1.2201 (米ドル)

5月12日のニューヨーク外国為替市場の主なトピックスは、ウクライナ情勢の長期化や株安に加え、エネルギー価格の上昇への懸念から投資家心理が弱まり、リスクオフの姿勢が強まった。

さらに、米上院がパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の再任を賛成80、反対19で承認した。4年間の任期となっている。

4月 卸売物価指数(PPI)が発表された。前月比(結果:0.5%、予想:0.5%、前回:1.4%)は、最大の伸び率を記録した先月から鈍化した。前年同月比(結果:11.0%、予想:10.7%、前回:11.2%)では、先月より鈍化したものの予想を上回った。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数の前月比(結果:0.4%、予想:0.6%、前回:1.0%)と前年同月比(結果:8.8%、予想:8.9%、前回:9.2%)は、共に鈍化が示された。

また、同時刻に発表された前週分 新規失業保険申請件数(結果:20.3万件、予想:19.5万件、前回:20.0万件)は、予想外に上回った。さらに前週分 失業保険継続受給者数(結果:134.3万人、予想:138.0万人、前回:138.4万人)では、1969年来で最小となり予想を大幅に下回った。これらの結果から長期金利が2.815%に低下した。

米ドル・円(USDJPY)は、朝方の経済指標結果を受け、値を下げた。さらに、リスクオフの姿勢の強まりから4月27日以来の安値127.52円まで米ドルが売られている。その後は、買戻しが入り終値は128.34円となった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、朝方の弱い経済指標結果を受け1.0423ドルまでユーロが買われた。しかし、リスクオフの姿勢の強まりから徐々に値を下げ、2017年1月以来、約5年4カ月ぶりの安値1.0354ドルを付けた。その後は小幅に値を戻し1.0380ドルで終えた。

ユーロ・円(EURJPY)は、朝方に弱い米経済指標結果を受け3月23日以来の安値132.66円を付けた。その後は小幅に値を戻し終値は133.22円だった。

株式
 NYダウ平均 USD 31,730.30 -103.81 (-0.32%)
 NASDAQ総合  USD 11,370.962 +6.726 (+0.05%)
 S&P500     USD  3,930.08 -5.10(-0.12%)

5月12日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、6日連続で前日の終値を下回った。昨年3月5日以来、約1年2カ月ぶりの安値となった。株価の下落により信用取引で購入している株に対する追加の証拠金を求められ、やむなくその株を売却した影響により値を下げた。長期金利が低下したにも関わらず、この影響から高い株価収益率のハイテク株も売られている。

債券
 米国債10年 2.853%(-0.06)

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 106.13 +0.42(+0.40%)(6月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,824.6 -29.10(-1.57%)(6月渡し)
 

【日本】CPIの発表控え様子見の姿勢強く

為替(17時)
5月12日の東京外国為替市場の主なトピックスは、4月の米消費者物価指数(CPI)通過後の持高調整や米長期金利の低下の影響が大きかった。

米ドル・円は、欧州勢参加後から徐々に値を下げた。4月28日の安値と同額の128.59円まで米ドルが売られたが、小幅に買い戻され17時時点では128.85円となった。

ユーロ・米ドルは、欧州勢参加後にウクライナ情勢長期化やエネルギー価格の高騰からリスク回避の姿勢が強まり値を下げ、17時時点では1.0460ドルで取引された。

ユーロ・円も、昼過ぎまで大きな動きはなかったが、欧州勢参加後にリスクオフの姿勢が強まり、円買いが優勢となりこの日の安値134.39円まで値を下げた。その後は小幅に買戻しが入り17時時点では134.77円だった。

債券
 国債先物・22年6月限 149.47(+0.15)
 10年長期金利 0.245%(変化なし) 
 

【マーケットアナリティクス】EURUSDは再び暴落し、2016年の安値まで下落(5月12日)

ユーロ・米ドルは2016年12月以来初の1.04ドル以下の新たな安値サイクル(周期)に押し下げられた。ユーロとドルの値が等しく1:1となるパリティに今月中に到達する可能性があるようだ。

■インフレ懸念の高まり
米国の4月の消費者物価指数は年率8.3 %上昇し、3月の8.5 %から低下したが、広く予測されていた8.1 %を依然として上回った。

米国のインフレがピークに達したことを示す一方で、一貫して高水準を維持している。そのため、FRBが今後数ヶ月以内に急速に利上げを実施するという姿勢が変わらないことの表れでもある。

今後の6月15日と7月27日のFOMCでは、それぞれ少なくとも0.5%の政策金利の引き上げが市場に織り込まれている。

本日発表された米PPIインフレ率は、前年比は11.5%から11.0%へとやや鈍化し、予想の10.7%をやや上回った。月次では1.6%から0.5%に低下した。同時に、コアPPI指数は9.6%から8.8%に減速した。

「地政学的緊張(エネルギー価格の低下をもたらす)、サプライチェーンの緊張、労働市場の不足が大幅に改善されるまで、年間インフレ率の大幅な低下は実現しそうにない」と、INGのジェームズ・ナイトレイ氏は発表後に述べていおり、残念ながら、このいずれかが改善する兆候はほぼない。

■まもなく同等の価値に?
弱気(ベア)の次のターゲットは、2016年の安値がある1.0350ドルと予想される。このレベルが破られた場合、次のステップはユーロ・米ドルのパリティである1.00ドルになる可能性がある。

もしくは、2020年の安値1.0640ドルを上回り、当面の弱気圧力を打ち消し1.08ドルに向けて下落から上昇に転じるリリーフラリーの状況となる可能性もある。

ユーロ・米ドルデイリーチャート 5月12日(CET・中央ヨーロッパ時間)

引用元: “EURUSD Crashes Again, Drops to 2016 Lows” (2022年5月12日, AXIORY Global Market News)

追記:5月13日、日本時間6:00のユーロ・米ドルは1.0378-1.0381ドルで取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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