リスク回避の姿勢強まる―長期金利の低下が重し―

【米国】

為替(5月19日6時00分)
 米ドル円(USDJPY) 128.20-128.24 (円)
 ユーロ円(EURJPY) 134.14-134.16 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0461-1.0465 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY) 158.27-158.34 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2344-1.2349 (米ドル)

5月18日のニューヨーク外国為替市場に影響を与えた出来事は、朝方に発表した4月 住宅着工件数(結果:172.4万件、予想:176.5万件、前回:179.3万件)が、住宅ローン金利の上昇から5ヵ月ぶりの低水準となった。これを契機に長期金利が徐々に低下し14時前に2.873%まで値を下げリスク回避の姿勢が強かった。

要人発言としては、シカゴ連銀エバンズ総裁が記者団に「50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げを12月前に完了し、25 bpを少なくとも数回実施するのでは」との、ややハト派寄りの発言があった。さらに、イエレン米財務長官が米国の金利が上昇する中で米ドルが上昇しているのは理解できると指摘し、米ドルの上昇は各国でドル建て債の返済の懸念が強まっていると言及した。加えて、米国内でロシア債保有者への支払いを容認する制裁免除を行ない、ロシアのデフォルト(債務不履行)を回避させてきたが、延長しないことを明言した。延長の期限は5月25日までとなっている。

さらに、米銀ゴールドマン・サックス・グループが今年の中国の成長率見通しを4.5%から4%に引き下げた。

米ドル・円(USDJPY)は、朝方に発表された低調な経済指標や株価の下落を受け、リスク回避の姿勢が強まった。長期金利が低下した影響も強く、終値は128.23円となった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)でも、リスク回避の動きから徐々に値を下げた。地政学リスクへの懸念も大きく、終値は1.0464ドルだった。

ユーロ・円(EURJPY)も、リスク回避姿勢の強まりから徐々に値を下げ、この日の安値134.08円を付ける場面もあった。小幅に持ち直し、134.17円で終えた。

株式
 NYダウ平均 USD 31,490.07 -1,164.52 (-3.56%)
 NASDAQ総合  USD 11,418.154 -566.369 (-4.72%)
 S&P500     USD  3,923.68 -165.84(+2.01%)

5月18日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、大幅に前日の終値を下回った。下げ幅が2020年6月以来の大きさとなった。前日に小売最大手のウォルマートのさえない決算に続き、本日発表された小売大手のターゲットの決算が市場予想を下回り、小売関連銘柄を中心に売りが拡大した。高インフレへの懸念が改めて意識された影響から幅広い銘柄に売りが波及し、3指数揃って値を下げ終えた。

債券
 米国債10年 2.888%(-0.082)

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 109.59 -2.81(-2.50%)(6月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,815.9 -3.00(-0.16%)(6月渡し)
 

【日本】大きな動き無く方向性を欠いた取引に

為替(17時)
5月18日の東京外国為替市場の主なトピックスは、大きな動きはなく方向性を欠いた取引となった。

また、フィンランドとスウェーデンが、北大西洋条約機構(NATO)への加盟を申請した。足元ではトルコが両国の加盟に反対の姿勢を示しており、懸念が高まっている。

米ドル・円は、前日のリスクオンの姿勢を受け継ぎ、朝方は米ドル買いが優勢だった。しかし、米長期金利が2.96%に低下し、株価が徐々に値を下げるとリスク回避の姿勢が強まり、この日の安値128.95円まで値を下げた。その後は、再び小幅に値を戻し17時時点では129.32円となった。

ユーロ・米ドルは、米ドル・円の動きにつられた上、地政学リスクの懸念から徐々に値を下げ、17時時点では1.0517ドルだった。

ユーロ・円も、朝方に小幅に値を上げたが、すぐにリスク回避の姿勢が強まり値を下げ、17時時点では136.01円で取引されている。

債券
 国債先物・22年6月限 149.52(+0.04)
 10年長期金利 0.240%(変化なし) 

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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