ラガルド総裁のタカ派的な発言からユーロ買いに

【米国】

為替(5月24日6時00分)
 米ドル円(USDJPY) 127.88-127.94 (円)
 ユーロ円(EURJPY) 136.70-136.80 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0688-1.0693 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY) 160.94-161.09 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2586-1.2588 (米ドル)

5月23日のニューヨーク外国為替市場に影響を与えた出来事は、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁とECB政策委員会メンバーのビルロワドガロー・フランス銀行総裁のタカ派的な発言があった。ラガルド総裁は資産購入プログラム(APP)を7-9月(第3四半期)の非常に早い段階で終わると考えており、7月、9月の会合で0.25ポイントずつ金利を引き上げるとの見解を示した。その後、ビルロワドガロー氏は、ラガルド総裁の見解にふれ、金融当局者の間で政策正常化への合意が高まっていると述べた。

さらに、5月独 IFO企業景況感指数(結果:93.0、予想:91.4、前回:91.8)が、長期的な平均は下回っているが前月より改善の兆しが見られ、供給網問題やウクライナでの戦争を乗り越えていることが示された。

また、イングランド銀行(英中央銀行)のベイリー総裁は、中期的にインフレ率を引き下げるため必要に応じた追加利上げを行なう意向を示し、英国債が5月9日の高水準1.970%に上昇した。ポンド・米ドルが1.2594ドルまで値を上げ、その後も堅調に推移し1.2577ドルで終えた。

なお、4月シカゴ連銀全米活動指数(結果:0.47、予想:0.5、前回:0.36)は予想を上回り、長期金利が2.839%に上昇した。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、欧州時間に5月独 IFO企業景況感指数の良好な結果が好感され値を上げていたが、反動で、この日の安値1.0545ドルまで値を下げた。その後はECB高官のタカ派的な発言から早期利上げ観測の強まりからユーロ買いが強まり4月26日以来の高値1.0697ドルに値を上げ、終値は1.0691ドルとなった。

ユーロ・円(EURJPY)は、ECBの早期利上げ観測の強まりや株価の上昇からリスクを積極的に取るリスクオンの姿勢が強まり、この日の高値136.80円まで値を上げた。その後も堅調に取引され、終値は136.74円だった。

米ドル・円(USDJPY)は、朝方は良好な経済指標から長期金利が上昇し、米ドル買いが強まった。その後、米国の景気後退懸念の強まりが懸念され売りが優勢となり127円半ばまで値を下げたが、長期金利が2.866%に持ち直した上、株価の上昇から127.94円まで持ち直した。その後は再び売られる場面もあったが127.90円で終えた。


株式
 NYダウ平均 USD 31,880.24 +618.34 (+1.97%)
 NASDAQ総合  USD 11,535.275 +180.658 (+1.59%)
 S&P500     USD  3,973.75 +72.39(+1.85%)

5月23日の米株式市場のダウ工業株30種平均は連日で前日の終値を上回った。8週連続で下落が続き、3,600ドル近くまで値を下げていた反動から割安感のある株が買われた。JPモルガンが金利上昇により市場部門を除く純利息収益の予想を530億ドルから560億ドル超に引き上げ、前年比26%の増加の見通しを示し、銀行株が上昇した影響も大きかった。投資家心理が上向き、3指数揃って値を上げた。

債券
 米国債10年 2.868%(+0.073)

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 110.29 +0.01(+0.01%)(7月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,842.1 +5.70(+0.30%)(6月渡し)
 

【日本】米国景気後退懸念からリスクオフ強まる

為替(17時)
5月23日の東京外国為替市場の主なトピックスは、米国の景気後退懸念の強まりからリスク回避の姿勢が強まった。

さらに、バイデン大統領が日米首脳会談後の会見で台湾が有事に陥った場合米国が軍事的な関与を行なうかを記者に問われ、関与するとの回答にリスク選好の姿勢が後退した。

米ドル・円は、米国の景気後退懸念からリスク回避の姿勢が強まり、この日の安値127.15円まで米ドルが売られた。その後、安値圏が意識され127.88円まで値を戻したが、バイデン大統領の台湾への軍事関与の発言からリスク選好の姿勢が後退し、17時時点では127.59円となった。

ユーロ・米ドルは、大きな動きがなく小幅な動きにとどまった。米ドル・円の米ドル売りにつられ、小幅に上昇し、17時時点では1.0600ドルだった。

ユーロ・円は、米ドル・円での円買いから、この日の安値134.66円までユーロが売られた。その後は持ち直し17時時点では135.25円で取引されている。

債券
 国債先物・22年6月限 149.73(-0.05)
 10年長期金利 0.235%(変化なし)

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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