FOMC控え長期金利が上昇し米ドル買い強まる

【米国】

為替(6月15日6時00分)
 米ドル円(USDJPY) 135.45-135.48 (円)
 ユーロ円(EURJPY) 141.08-141.12 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0414-1.0417 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY) 162.47-162.56 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1993-1.1997 (米ドル)

6月14日のニューヨーク外国為替市場では、引き続き米連邦準備理事会(FRB)が6月14、15日に開催する連邦公開市場委員会(FOMC)での積極的な利上げへの警戒が高まっている。

なお、5月米生産者物価指数(PPI、前月比、結果:0.8%、予想:0.8%、前回:0.5%)が前月より上回り、インフレ圧力を浮き彫りにしたが、FOMCを前に影響は軽微だった。その他の指標は以下の通り。
・前年同月比(結果:10.8%、予想:10.9%、前回:11.0%)
・変動の大きい食品・エネルギー除いたコア指数(前月比、結果:0.5%、予想:0.6%、前回:0.4%)
・コア指数前年同月比(前月比、結果:8.3%、予想:8.6%、前回:8.8%)

米ドル・円(USDJPY)では、FOMCでの大幅な利上げを見込み、長期金利が11年ぶりの高水準が続いている影響が大きい。昼頃に長期金利が2011年4月以来の3.4965%に上昇すると、米ドル買いが強まった。前日の高値135.19円を超えるとさらに買いが増し、1998年10月以来、約23年8ヵ月ぶり高値となる135.45円に値を上げた。その後は、小幅に売られたが再び高値を更新し135.47円で終えている。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、6月独ZEW景況感指数(結果:-28.0、予想:-27.5、前回:-34.3)の低下を受け、投資家心理が冷え込んだ。さらに、リントナー独財務相がロシアのウクライナ侵攻でインフレが一段と加速したことを受け「スタグフレーションはあり得るシナリオ」と発言したことも影響が大きかった。また、米長期金利が上昇し3.498%まで上昇したことも加わり、この日の安値1.0397ドルまで値を下げた。その後は、小幅に戻し終値は1.0416ドルとなった。

ユーロ・円(EURJPY)は、欧州と日本の金利差が意識され、堅調に値を上げ、この日の高値141.13円を付け、終値は141.11円だった。

ポンド・米ドル(GBPUSD)は、前日の4月英国内総生産(GDP)を受け英国の景気減速懸念が強まりポンド売りが続き、2020年3月以来、約2年3カ月ぶりの安値1.1934ドルまで売られた。その後は、小幅に持ち直し1.1999ドルで終えている。

株式
 NYダウ平均 USD 30,364.83 -151.91 (-0.49%)
 NASDAQ総合  USD 10,828.345 +19.120 (+0.17%)
 S&P500     USD  3,735.48 -14.15(-0.37%)

6月14日の米株式市場のダウ工業株30種平均は前日の終値を5日連続で下回った。翌日のFOMCの結果発表を控え、高インフレに対応した積極的な金融引き締めが意識され、売りが優勢だった。前日に一時1000ドル超下げた反動もあり、前日まで売られていたハイテク銘柄を中心に買いもどされ、下げ幅を縮め終えた。

債券
 米国債10年 3.479%(+0.108)

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 118.93 -2.00(-1.65%)(7月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,813.5 -18.30(-1.00%)(8月渡し)
 

【日本】日銀臨時オペ通知から米ドル買い強まる

為替(17時)
6月14日の東京外国為替市場で、前日に米ドル・円が1998年10月以来、約24年ぶりの高値135.22円を更新した動きを受け、日銀が対応に乗り出した。6月15日の長期国債買い入れ増額と超長期債の臨時オペ実施を通知し、金利抑制へ姿勢を打ち出した。これを受け、欧米と日本の金利差が拡大するとの見方が強まった。

米ドル・円は、朝方に、リスク回避の円買いから、この日の安値133.88円まで値を下げた。しかし、日銀が臨時オペを通知すると米ドル買いが強まり、この日の高値134.82円に値を上げた。その後は、小幅に売られ17時時点では134.42円となった。

ユーロ・円は、朝方はリスク回避の円買いから小幅に値を下げた。しかし、日銀の臨時オペ通知を受け、欧州と日本との金利差が意識されるとユーロ買いが強まった。この日の高値140.78円に値を上げ、17時時点では140.70円となった。

ユーロ・米ドルは、朝方は米ドル売りが優勢となり小幅に値を上げ、一時利益確定売りに押される場面もあった。その後は、米長期金利の低下からユーロ買いが強まると、この日の高値1.0475ドルまで値を上げ、17時時点では1.0467ドルだった。

債券
 国債先物・22年9月限 147.59 (-0.91)
 10年長期金利 0.250%(変化なし) 
 

【マーケットアナリティクス】ポンド・米ドルは1.20に向けて下落(6月14日)

ポンド・米ドルは、本日1.2080ドルまで下落し弱気(ベア)トレンドが継続する中、半値ほど戻した取引となった。

■米国PPIは予想を下回る
本日のインフレデータ発表前に、アナリストは5月のPPIが緩やかに減速し、前年同月比11.0%から10.9%になると予想していた。しかし、米国の生産者物価は実際には前年比+10.8%、前月比+0.8%と予想をやや上回り、25ヶ月連続の物価上昇となった。

コアPPIは前月比+0.5%(予想+0.6%)、前年比+8.3%(予想+8.6%)となり、いずれも予想を下回った(下振れ要因になった)。注目しなくてはならないのは、4月の数値がすべて劇的に下方修正されたことだ。

高インフレに向け連邦準備制度理事会(FRB)が大幅な利上げに踏み切る可能性が高まったため、週明けの市場では価格変動(ボラティリティ)が再び高まった。市場関係者によると、米連邦公開市場委員会(FOMC)は今週、75ベーシスポイントの利上げを実施することが見込まれている。

CMEグループのフェドウオッチでは、トレーダーはこの可能性を90%以上の確率で織り込んでいる。火曜日から2日間のFOMCの政策決定会合の一環として、水曜日にパウエル連邦準備制度理事会議長の記者会見がおこなわれる予定だ。

■下降トレンドが継続
週足チャートを見ると同ペアは1月以降、急な下降トレンドにあり、安値と高値の下降が確認できる。次のターゲットは、心理的なレベルである1.20ドル。そして、2019年の安値である1.1970ドルとなる可能性がある。この勢いが止まらない場合、1.15ドル付近のコロナウイルス感染拡大時の安値まで下落する可能性が高いと思われる。

もしくは、当面の弱気の勢いを打ち消すために、ポンドは1.22ドルを上回らなければならない。それまでは、強気(ブル)のポンドに向けた上昇への見通しは厳しいようだ。
     
ポンド・米ドル、デイリーチャート 6月14日(CET・中央ヨーロッパ時間)

引用元: “GBPUSD Drops Toward 1.20” (2022年6月14日, AXIORY Global Market News)

追記:6月15日、日本時間6:00のポンド・米ドルは1.1993-1.1997ドルで取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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