低調な消費者心理から米ドル売り強まる

【今週の見通し】(6月27日-7月1日)
先週は、6月21日に日米の金利差が意識され、米ドル・円は1998年10月以来、約24年ぶりの高値を更新し136.70円まで値を上げた。その後は、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言で「大規模な金融引き締めが原因で経済が景気後退に陥る可能性を意図しないが、もちろんあり得る」との発言から米ドル売りが優勢となった。再び135円台に戻ったものの、円安基調が続くことは間違いなさそうだ。時折、利益確定売りが出ると思われるが、日米金利差が依然として大きく、この状況は続くだろう。

主な金融スケジュール
6月27日(月):日銀金融政策決定会合における主な意見(6月16、17日開催)、景気動向指数(4月)、米耐久財受注(5月)、米中古住宅販売成約指数(5月)、欧州中央銀行(ECB)フォーラム(29日まで)

6月28日(火):米・S&Pコアロジックケース・シラー都市住宅価格指数(4月)、米消費者信頼感指数(6月)、米中間選挙予備選(コロラド州、イリノイ州、ニューヨーク州、オクラホマ州、ユタ州)、米予備選決選投票(ミシシッピ州、サウスカロライナ州)、米サンフランシスコ連銀総裁イベント登壇

6月29日(水):消費者態度指数(6月)、ユーロ圏景況感指数(6月)、独消費者物価指数(6月)、米GDP確定値(1-3月)、ECBフォーラムにラガルド総裁・パウエルFRB議長・ベイリー英イングランド銀行総裁がパネル討論会に参加、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議(30日まで)

6月30日(木):中国製造業・非製造業PMI(6月)、米個人所得・支出(5月)、米個人消費支出価格コア指数(PCE・5月)、石油輸出国機構(OPEC)プラス閣僚級会合

7月1日(金):日銀短観(大企業製造業DI・4-6月)、日本製造業PMI(6月)、中国財新製造業PMI(6月)、ユーロ圏製造業PMI(6月)、米製造業PMI(6月)、米ISM製造業景況指数(6月)

予想レートは米ドル・円が133円半ばから136円前半。ユーロ・米ドルが1.03ドル後半から1.06ドル後半。

【米国】

為替(6月27日6時00分)
 米ドル円(USDJPY) 135.16-135.27 (円)
 ユーロ円(EURJPY) 142.60-142.74 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0557-1.0558 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY) 165.89-166.04 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2272-1.2277 (米ドル)

6月24日のニューヨーク外国為替市場では、前日に続き低調な経済指標が影響を与えた。米ミシガン大学が日発表した6月の消費者信頼感指数(確報値、結果:50.0、予想:50.2、前回:50.2)は、速報値(50.2)から下方修正され、過去最低を更新した。高インフレと景気後退(リセッション)への強まりが懸念されている。

なお、5月の新築住宅販売件数(結果:69.6万件、予想:59.3万件、前回:59.1万件)では、今年初の増加となり、予想も大幅に上回った。足元では住宅金利が上昇しているが、賃貸物件価格の上昇などから購入に転じているものと思われる。

また、ブラード米セントルイス連銀総裁が米経済は驚異的な回復力を示しており、景気後退入りの確率について議論するのは時期尚早との考えを示した。この影響から長期金利が上昇し。3.141%まで高まった。

米ドル・円(USDJPY)では、6月消費者態度指数の確報値が過去最低を記録すると、134.72円まで値を下げた。その後は新築住宅販売件数の増加やブラード米セントルイス連銀総裁の発言、長期金利の上昇から、米ドル買いに転じ、この日の高値135.40円まで値を上げた。その後は小幅に値を下げ終値は135.23円となった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、低調な米経済指標から、この日の高値1.0571ドルまで値を上げた。しかし、景気後退へのリスク回避のリスクオフの姿勢が強まり徐々に値を下げ、1.0553ドルで終えている。

ユーロ・円(EURJPY)は、朝方は142円前半まで値を下げたが、米長期金利の上昇や株価が堅調に上昇すると投資家心理が上向きユーロが買われた。この日の高値142.85円まで値を上げ、終値は142.79円となった。

6月23日に英国の2つの選挙区で、与党の保守党現職の辞任と収監による下院議員の補欠選挙が行われた。いずれも保守党が敗れ、同党のオリヴァー・ダウデン共同議長が辞任した。さらに、5月の英小売売上高(結果:-0.5%、予想:-0.6%、前回:1.4%)では、高インフレの影響から食品への支出を抑制した影響が出て、大幅に下落した。これらの影響からポンド・米ドル(GBPUSD)は、1.2320ドルから1.2250ドルまで値を下げた。その後は持ち直し、1.2268ドルで終えている。

株式
 NYダウ平均 USD 31,500.68 +823.32 (+2.68%)
 NASDAQ総合  USD 11,607.620 +375.427 (+3.34%)
 S&P500     USD  3,911.74 +116.01(+3.95%)

6月24日の米株式市場のダウ工業株30種平均は前日の終値を連日で上回った。今月に入り大幅に値を下げていた反動から幅広い銘柄に買いが入り、終日で堅調に取引が行われた。長期金利の上昇が比較的落ち着き、ハイテク株が買われた影響も大きかった。また、前日に景気後退リスクが意識されて値を下げた景気敏感株の買戻しも寄与している。

債券
 米国債10年 3.138%(+0.068)

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 107.62 +3.35(+3.21%)(8月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,830.3 +0.50(+0.03%)(8月渡し)
 

【日本】リスク回避の円買い強まる

為替(17時)
6月24日の東京外国為替市場では、朝方は米国市場で値を下げる中、五十日(ごとうび)の決済に向けた買いが優勢となった。世界的な景気後退へのリスク回避の円買いが強まる場面もあった。

米ドル・円は、 朝方に決済に向けた米ドル買いが入り、この日の高値135.23円まで値を上げた。しかし、リスク回避の姿勢が強まり徐々に値を下げ、この日の安値134.35円まで米ドルが売られた。その後は小幅に値を戻し17時時点では134.53円となった。

ユーロ・円は、朝方は決済に向けたユーロ買いが優勢だったが、リスク回避の姿勢が強まり徐々に値を下げた。欧州勢参加後にさらに値を下げ、17時時点では141.57円だった。

ユーロ・米ドルは、朝方は利益確定売りに押され1.0512ドルまで値を下げる場面があったが、徐々に買戻しが入り値を戻した。しかし、欧州の金利低下を受けたユーロ売りが優勢になると、再び値を下げ17時時点では1.0523ドルで取引されている。

債券
 国債先物・22年9月限 148.77 (+0.39)
 10年長期金利 0.220%(-0.010)

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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