景気後退懸念強まりリスク回避の姿勢に転じる

2022/07/06 7:31 JST投稿
 
 

【米国】

為替(7月6日6時00分)
 米ドル円(USDJPY)    135.84-135.91 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    139.43-139.55 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0264-1.0265 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    162.41-162.53 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1955-1.1958 (米ドル)
 
7月5日のニューヨーク外国為替市場では、良好な経済指標がプラスとなった。5月 製造業新規受注(前月比、結果:1.6%、予想:0.5%、前回:0.3%)では、米連邦準備理事会(FRB)が積極的に金融引き締めを進める中で製品需要が堅調であることが示された。また、5月耐久財受注の改定値(前月比、結果:0.8%、予想:0.7%、前回:0.7%)が、上方修正され、1月以来の高水準を記録した。この結果を受け、長期金利が2.8%から2.83%に上昇した。
 
しかし、その後、2年債と10年債の利回りが逆転し(逆イールド)、景気後退懸念が強まりリスク回避の姿勢につながった。終値ベースで2年債が2.82%、10年債が2.81%と6月13日以来となる逆イールドが発生している。
 
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、ユーロ圏の景気後退懸念や地政学リスクを受け2002年12月以来、19年半ぶりの安値を更新し、1.0235ドルまで値を下げた。その後は小幅に上昇し終値は1.0266ドルだった。
 
ブルームバーグのオプションプライシング・モデルによると、年内にユーロが対ドルでパリティー(等価)を付ける確率は60%となり、前日の46%から上昇している。みずほ銀行の金融機関向け為替セールス責任者のニール・ジョーンズ氏は、「パリティーは今や時間の問題だ」と語った。
 
ユーロ・円(EURJPY)は、リスク回避のリスクオフの姿勢が強まり、円買いが優勢となった。6月16日以来の安値138.95円を付け、その後は小幅に値を戻すも終値は139.45円だった。
 
米ドル・円(USDJPY)では、朝方に株価の下落からリスク回避の姿勢が強まり円買いにつながったが良好な経済指標から136円前半まで値を戻した。その後は、2年債と10年債の利回りが逆転し(逆イールド)が発生し景気後退懸念が強まりリスク回避のリスクオフの状況に転じ終値は135.85円となった。
 
イングランド銀行(英中央銀行)は金融安定報告を発表し、世界経済の見通しが「著しく悪化した」との認識を示した。商品価格の上昇や供給網の問題から高インフレが進んだ影響が大きい。また、テンレイロ政策委員が早期の金融引き締めに慎重な姿勢を示した。英中央銀行が保有する8000億ポンド以上の国債を積極的に売却したとしても、経済に重大な影響を与えるとは考えにくいと述べている。さらに、英国のスナク財務相とジャビド保健相が辞任しジョンソン政権への懸念が強まった。これらの結果からポンド米ドル(GBPUSD)が1.12104ドルから1.1901ドルまで下落した。その後は小幅に持ち直し、1.1955ドルで終えている。
 
株式
 NYダウ平均  USD 30,967.82 -129.44 (-0.41%)
 NASDAQ総合  USD 11,322.238  +194.393 (+1.74%)
 S&P500      USD  3,831.39  +6.06(+0.15%) 
 
7月5日の米株式市場のダウ工業株30種平均は前日の終値を下回った。長期金利の低下から投資家心理が上向き幅広い銘柄が買われた。欧州での株価の下落や原油価格の下落から投資家心理に影響が出た。景気後退への懸念の強まりも出て、金融や景気敏感株が売られた。長期金利が2.78%まで低下した影響からハイテク株が買われ、徐々に値を戻したが終日で前日の終値を下回る取引となっている。
 
債券
 米国債10年 2.818%(-0.086)
 
商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 99.50 -8.93(-8.24%)(8月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,763.9  -37.60(-2.09%)(8月渡し)
 
 

【日本】国内輸入企業の決済に向けた買いから堅調に

為替(17時)
7月5日の東京外国為替市場では、朝方に五十日(ごとうび)の決済に向けた需要が高まり、米ドル、ユーロが堅調に推移した。
 
また、イエレン米財務長官と中国の劉鶴副首相のオンラインでの会談が決まったようだ。中国に対する関税が一部解除される見込みが強まり、投資家心理が上向いていることが良い効果を表している。
 
さらに、オーストラリア準備銀行(中央銀行)が政策決定会合を開き、政策金利であるオフィシャル・キャッシュレートの誘導目標を0.85%から1.35%に引き上げた。初の2会合連続で0.5%の利上げの実施となっている。ロウ総裁は政策発表後に声明発表し「政策委員会は今後数カ月の豪州の金融正常化プロセスでさらなる対応を取るつもりだ。豪州のインフレ率が徐々に目標水準に戻るよう確実を期すために必要な行動にコミットしている」と述べた。また、インフレ率については、年内にピークに達し来年2-3%の目標レンジに向け再び低下するとの見通しを示した。この結果を受け、0.5%以上の利上げを予想していた機関投資家による売りが出て、豪ドル・米ドルで0.687ドルから0.6856ドルに値を下げた。
 
米ドル・円は、朝方は国内輸入企業の決済に向けた米ドル買いが入り値を上げた。境目の137円が上値抵抗線(レジスタンス)として意識され136.36円まで値を上げた。その後は売買が交錯したものの136円台前半で推移し、17時時点では136.08円となった。
 
ユーロ・円は、朝方は決済に向けたユーロ買いが優勢となり堅調に値を上げ、この日の高値142.37円まで値を上げた。アジア各国の株価が堅調に推移したこともよい影響を与えた。その後は、米株価先物やユーロ圏の長期金利が低下した影響を受け17時時点では141.17円となった。
 
ユーロ・米ドルは、朝方はアジア各国の株価の上昇や投資家心理の上向きから堅調に値を上げ、この日の高値1.0449ドルまでユーロが買われた。その後は、ユーロ圏の長期金利が低下した影響を受け17時時点では1.0374ドルだった。
 
債券
 国債先物・22年9月限  148.96 (変化なし)
 10年長期金利  0.215%(-0.005)

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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