2022/07/13 7:36 JST投稿
【米国】
為替(7月13日6時04分)
米ドル円(USDJPY) 136.83-136.87 (円)
ユーロ円(EURJPY) 137.27-137.37 (円)
ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0035-1.0036 (米ドル)
ポンド円(GBPJPY) 162.62-162.75 (円)
ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1883-1.1892 (米ドル)
7月12日のニューヨーク外国為替市場では、米・中小企業の景況感の冷え込みが観測された。中小企業の業界団体・全米独立事業者協会(NFIB)が発表した6月中小企業楽観度指数(結果:89.5、前回:93.1)は大幅に低下し、2013年1月以来、約9年半ぶりの低水準となった。中小企業オーナーの34%が、インフレが最大の問題と回答しており、1980年第4四半期以降で最も厳しい状況が伺えた。
また、2年債と10年債(長期金利)の利回りが6日連続で逆転(逆イールド)している。終値ベースで2年債が3.051%、10年債が2.971%となった。
さらに、欧州時間に発表された経済指標でも厳しい結果が示された。7月独 ZEW景況感調査(期待指数、結果:-53.8、予想:-38.3、前回:-28.0)は、大幅に予想を下回り、2011年以来の低さだった。7月ユーロ圏ZEW景況感調査(結果:-51.1、前回:-28.0)も大幅に予想を下回った。欧州最大の経済大国ドイツは高インフレにさらされており、ブルームバーグによるとドイツ経済はこの先1年間に55%の確率でリセッションに陥ることが見込まれている。エネルギー価格が高騰する中でドイツのガス・電力大手ウニパーの経営問題や「ノルドストリーム」への懸念も大きい。
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、欧州圏の厳しい経済指標結果から欧州時間に0.9999ドルに入りかけたが機関投資家の買い戻しが入り1ユーロ=1ドルのパリティ(等価)割れは死守した。その後は、長期金利や株価の上昇からユーロ買いが優勢となり1.0032ドルから1.0074ドルまで値を戻している。その後は、再びエネルギー価格上昇への懸念が強まり再び値を下げ終値は1.0037ドルだった。
米ドル・円(USDJPY)は、中国のコロナウイルス感染再拡大や世界的な景気後退への懸念からリスク回避の姿勢が強まった。日本時間から徐々に値を下げ6月米・中小企業楽観度指数の弱い結果も加わり、この日の安値136.48円まで値を下げた。その後は、長期金利が2.899% から2.989%に持ち直すと、投資家心理が上向き、米ドルが買い戻され136.87円で終えた。
ユーロ・円(EURJPY)は、ユーロ・米ドルの動きにつられた。欧州時間に137.03円までユーロが売られたが、その後は米ドル・円の動きの影響も受け大きな動きは出なかった。小幅に値を戻すも、リスク回避の姿勢から徐々に値を下げ終値は137.38円となった。
株式
NYダウ平均 USD 30,981.33 -192.51 (-0.61%)
NASDAQ総合 USD 11,264.728 -107.871 (-0.94%)
S&P500 USD 3,818.80 -35.63(-0.92%)
7月12日の米株式市場のダウ工業株30種平均は3日連続で前日の終値を下回った。前日まで売られていた景気敏感株や消費関連株が四半期の決算発表を前に買い戻され値を上げた。しかし、15時過ぎになると、翌日に発表を控えた6月消費者物価指数(CPI)でのインフレ加速が意識され、前日の終値を下回り終えている。
債券
米国債10年 2.971%(-0.02)
商品
NY原油(WTI) 1バレル=USD 95.84 -8.25(-7.93%)(8月渡し)
NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,724.8 -6.90(-0.40%)(8月渡し)
【日本】ユーロ・米ドル かろうじてパリティ割れを死守
為替(17時)
7月12日の東京外国為替市場では、中国でのコロナウイルス感染再拡大を受けた世界的な景気後退への懸念からリスク回避の姿勢が強まった。欧州ではエネルギー価格上昇への懸念や地政学リスクも加わり、厳しい状況だ。
また、来日したイエレン米財務長官が鈴木俊一財務相と会談を行なった。会談後、イエレン財務長官は米国が円買い支えの介入を支持する考えがないことを示唆している。一方で鈴木財務相からは、「為替はファンダメンタルズに沿った安定推移が重要」との発言があったが影響は軽微だった。さらに鈴木財務相は「為替について日本の立場を説明し、イエレン氏に理解していただいた」、「日米が絆を一層強め、難題解決に中心的役割を果たすことで合意」と述べるなど日米間で温度差のある発言となっている。
ユーロ・米ドルは、リスク回避の姿勢が強まり2002年12月以来、20年ぶりの安値をさらに更新し、1.0005ドルまで下落した。欧州勢参加後買い戻され1.0033ドルまで上昇したが、再びユーロ売りに押され17時時点では1.0008ドルとなった。1ユーロ=1ドルのパリティ(等価)に極めて近くなったが、かろうじて1ドルは死守している。
ユーロ・円はリスク回避の姿勢が強まり、円買いが優勢だった。138.08円から137.29円に値を下げている。その後、ユーロ・米ドルが買い戻されると137.91円まで値を戻すも、再び値を下げ17時時点では137.46円で取引されている。
米ドル・円は、前日のニューヨーク市場で24年ぶりの高値137.75円を付けた反動から、午前中は利益確定売りに押された。日米財務相会談が行われ共同声明後に137.18円まで値を下げたが持ち直し、17時時点では137.34円となった。
債券
国債先物・22年9月限 149.20 (+0.19)
10年長期金利 0.240%(変化なし)
【マーケットアナリティクス】EURUSDはパリティまで下落(7月12日)
ユーロ・米ドルは2002年以来初めて1.0ドル(パリティ=等価)に達した。投資家のリスク回避の姿勢が強く、安全資産の米ドルが買われていることが示されている。この現象は1.0ドルを下回ると、米ドルがユーロよりも強くなることの表れだ。
■ヨーロッパは大きな問題を抱える
ドイツの ZEW 景況感調査によると、7 月の景気判断指数は-53.8 に低下し、予測値である-38.3 を下回 った。7月のサブインデックスでは、予測値-34.5に対し、-45.8となっている。
ユーロ圏ZEW景気判断指数は、前回が-28.0、予測値が-32.8に対し、今月は-51.1だった。
米国では、全米独立事業者協会(NFIB)が中小企業楽観度指数を発表した。米国の中小企業経営者の楽観的な見方が6月に低迷し、93.1から89.5となり2013年1月以来、約9年半ぶりの低水準となった。この指標から、米国ではすでに不況が起こっていることが確認された。
ソシエテジェネラルのチーフFXストラテジスト、キット・ユッケス氏は、「最悪の場合、ロシアからのガス供給が完全に止まることで景気後退をもたらし、その場合ユーロはさらに10%下落する」との見解を示している。
■すぐに立ち直れるか?
ユーロは、かなり売られ過ぎの状況に陥っており、心理的な境目の1.0ドル、下降チャンネルの下限ライン、売られすぎの状況が重なると、利益確定売りが出る可能性が大きい。その場合、1.0360ドルを目標として、わずかだが上昇の兆しがでるかもしれない。しかし、ユーロが等価(パリティ=1.0ドル)を守ることができなければ、0.99ドル台に再び下降する可能性がある。
ユーロ・米ドル、デイリーチャート 7月12日(CET・中央ヨーロッパ時間)
引用元: “EURUSD Falls to Parity” (2022年7月12日, AXIORY Global Market News)
追記:7月13日、日本時間6:04のユーロ・米ドルは1.0035-1.0036ドルで取引されている