ECB利上げ観測からリスクオンの姿勢強まる

2022/07/20 7:36 JST投稿
 

【米国】

為替(7月20日6時00分)
 米ドル円(USDJPY)    138.14-138.22 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    141.25-141.41 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0224-1.0229 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    165.69-165.85 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1993-1.1995 (米ドル)

7月19日のニューヨーク外国為替市場では、株価の上昇や長期金利の上昇などから投資家心理が上向いた。さらに、ロイターが21日に開催される欧州中央銀行(ECB)理事会で0.25%か0.50%の利上げが検討される見通しを報じたこともプラスに作用している。

また、イングランド銀行(英中央銀行・BOE)のベイリ総裁が、9月に英国債の積極的な売却と償還により1年間で500-1000億ポンド(600-1200億ドル)の減少の開始を検討していると講演で明かした。さらに、金融政策委員会(MPC)で0.50%の利上げも選択肢の一つと述べたことが好感されている。

合わせて、再開が懸念されていた「ノルドストリーム」が予定通り7月21日に再開されるとの報道が投資家心理を上向かせている。

2年債と10年債(長期金利)の利回りは、11日連続で逆転(逆イールド)している。終値ベースで2年債が3.242%、10年債が3.028%となった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)では、ECBやBOEの利上げ検討との報道やノルドストリームが再開される見込みが強まりリスクを積極的に取るリスクオンの姿勢が強まった。先週1ユーロ=1ドルのパリティ(等価)を割り込んだ反動もあり、堅調に推移した。しかし、株価や長期金利の上昇から米ドルも買われており、小幅に値を下げ1.0227ドルで終えている。

ユーロ・円(EURJPY)は、リスクオンの姿勢が強まり堅調に値を上げた。この日の高値141.45円まで上昇し、終値は141.36円だった。

米ドル・円(USDJPY)は、朝方に長期金利が2.974%まで低下したことが懸念され、この日の安値137.38円まで米ドルが売られた。その後、株価や長期金利が上昇すると、リスクオンの姿勢が強まり138.25円まで買い戻された。日米金利差も意識され、終値は138.19円となった。

ポンド・米ドル(GBPUSD)は、英国中銀のベイリー総裁の利上げや金融引き締めへの言及から1.2045ドルまで上昇した。その後は、政治的なリスクや高インフレが意識されポンドが売られ1.1985ドルまで値を落としたが、再び値を戻し1.1996で終えた。

株式
 NYダウ平均  USD 31,827.05 +754.44 (+2.42%)
 NASDAQ総合  USD 11,713.148  +353.100 (+3.10%)
 S&P500      USD  3,936.69  +105.84(+2.76%) 

7月19日の米株式市場のダウ工業株30種平均は再び上昇し、前日の終値を上回った。15日に発表されたミシガン大学消費者信頼感指数の速報値でわずかながら上昇し、インフレの加速が観測された。これを受けてFRBの急激な利上げによる景気の冷え込み懸念が後退し、終日で前日の終値を上回った取引が続いた。景気敏感株やハイテク株の買戻しが入り堅調に値を上げ、3指数揃って値を上げ終えている。

債券
 米国債10年 3.028%(+0.059)

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 100.74 +1.32(+1.33%)(9月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,710.7  +0.50(+0.03%)(8月渡し)
 

【日本】リスクオンの姿勢が強まり円売りに

為替(17時)
7月19日の東京外国為替市場では、3連休明けの取引では株価の上昇から積極的にリスクを取る姿勢が強まった。しかし、その後、徐々に時間外の米長期金利が下がり2.965%まで低下した。

米ドル・円は、朝方に株価が上昇すると投資家心理が上向き、この日の高値138.39円まで円が売られた。その後は米国の大幅な利上げ観測の後退が意識されると徐々に値を下げた。米長期金利が低下した影響も大きく、17時時点で137.73円となった。

ユーロ・米ドルは、欧州中央銀行(ECB)の利上げ観測の強まりから14時過ぎにユーロ買いが強まった。時間外の長期金利が低下した影響も大きく前日の高値1.0201ドルを超え、1.0250ドルまで上昇した。17時時点では1.0240ドルとなっている。

なお、ロイターが21日に開催される欧州中央銀行(ECB)理事会で0.25%か0.50%の利上げが検討される見通しを報じた。さらにイタリアなど南欧の高水準の債務を抱えた国への債券市場での支援措置について合意を目指している。

ユーロ・円は、積極的にリスクを取るリスクオンの姿勢が強まりや、ユーロ・米ドルの上昇にもつられ、この日の高値141.14円までユーロが買われた。17時時点では141.05円だった。

債券
 国債先物・22年9月限  149.30 (+0.01)
 10年長期金利  0.235%(+0.005) 
 

【マーケットアナリティクス】テクニカルとファンダメンタルズが豪ドルを上昇させる(7月19日)

本日発表されたオーストラリア準備銀行(中央銀行・RBA)の議事録は、予想よりもかなりタカ派的な内容となった。議事録では「まだ上昇の余地がある」と述べられ、市場参加者はポジティブに受け止めた。

タカ派的なRBA議事録と7月14日に発表された雇用統計は、地元のトレーダーにとって素晴らしい組み合わせであり、興味深いテクニカルが揃い、素晴らしいサポート要因となった。

豪ドル・米ドル(AUDUSD)は現在、完全に適切な買いシグナルを発している。これは、7月に出現した逆ヘッドアンドショルダーパターン(黄色※)から来ている。今日、価格がトレンドの転換点を示す境界線(ネックライン・水色)をブレイクしたように、フォーメーションはすでに稼働している。ネックラインとは別に、2本の下降トレンドライン(赤と黒)もブレイクしており、今後数日間は買い手が価格を上昇させるだけの余力があるだろう。

価格が水色のネックライン上にある限り、投資家心理はポジティブだ。もちろん、下落する可能性はあるが、現時点ではその可能性は低いと思われる。

(※)ヘッドアンドショルダーパターン:チャート上で相場の天井を迎えたことを示唆するパターン。三つの山と二つの谷で形成され、二つの山に挟まれた真ん中の山が相場の天井(高値)を示している。ダブルフォーメーションより出現頻度が少なく、高確率でトレンドが転換される状況が示される。

Technicals and Fundamentals push AUD higher

豪ドル・米ドル、デイリーチャート 7月19日(CET・中央ヨーロッパ時間)

引用元: “Technicals and Fundamentals push AUD higher” (2022年7月19日, AXIORY Global Market News)                         

追記:7月20日、日本時間6:00の豪ドル・米ドルは0.6895-0.6899ドルで取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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