米ドル円 低調な経済指標からリスクオフの円買いに

2022/07/22 7:14 JST投稿
 

【米国】

為替(7月22日6時06分)
 米ドル円(USDJPY)    137.39-137.48 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    140.51-140.66 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0228-1.0232 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    164.75-164.95 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1994-1.2002 (米ドル)

7月21日のニューヨーク外国為替市場では、本日発表された厳しい経済指標により投資家心理が冷え込んだ。まず、7月フィラデルフィア連銀景況指数(結果:-12.3、予想:1.7、前回:-3.3)は、予想外に2カ月連続のマイナスに落ち込んだ。また、先週分の新規失業保険申請件数(結果:25.1万件、予想:23.9万件、前回:24.4万件)は前回、予想、共に大幅に上回り昨年11月以来、8カ月ぶりの高水準となった。さらに、6月景気先行指数(結果:-0.8%、予想:-0.5%、前回:-0.6%)が4カ月連続のマイナスで、2020年4月以来で最低となり、厳しい状況が反映された。これらの低調な経済指標に加え、バイデン大統領がコロナウイルスに感染した影響からリスクオフの債券買いにつながり長期金利が2.917%に低下した。その後、長期金利はさらに低下している。

2年債と10年債(長期金利)の利回りは、13日連続で逆転(逆イールド)している。終値ベースで2年債が3.087%、10年債が2.875%となった。

欧州中央銀行(ECB)理事会で、0.5%の利上げを決定した。これにより、中銀預金金利はマイナス0.5%から0%に引き上げられマイナス金利を脱した。引き上げ幅は前回の理事会で示唆した0.25%の倍の引上げとなっている。高インフレが続く中、リセッション(景気後退)リスクの高まりが懸念されているにもかかわらず、2000年以来の大幅な利上げに踏み切ることを決めた。また、多額の債務を抱える南欧の金利上昇による域内格差是正に向けた新たな債券買い入れ措置、伝達保護措置(TPI=Transmission Protection Instrument)」を発表した。ラガルド総裁は、大幅な利上げを実施したものの「最終的な金利水準は変えない」と述べている。

ユーロ・米ドル(EURUSD)では、ECBが大幅な利上げを決定しマイナス金利を脱したことを受けユーロが買われた。前日の高値1.0273ドルを超え1.0278ドルまで値を上げた。しかし、ラガルド総裁の「最終的な金利水準は変えない」との発言から、この日の安値1.0154ドルを付けた。イタリアでマッタレッラ大統領がドラギ首相の辞表を受理し、9月25日に総選挙が実施されることが明らかになった影響も大きい。政局の不安定さが投資家心理に影響を与えている。その後は、ノルドストリームによる天然ガス供給が再開し、投資家心理が上向き、終値は1.0230ドルだった。

ユーロ・円(EURJPY)は、ECB理事会での大幅な利上げが好感され、この日の高値142.32円を付けた。しかし、欧州での政治やリセッションへの懸念からユーロが売られ、この日の安値140.14円に下落した。その後は小幅に持ち直し、終値は140.52円となった。

米ドル・円(USDJPY)は、朝方に発表された経済指標が低調に終わり、長期金利が低下し米ドルが売られた。バイデン大統領がコロナウイルスに感染した影響も大きかった。徐々に低下し、終了間際にこの日の安値137.30円を付け、終値は137.36円となった。

株式
 NYダウ平均  USD 32,036.90 +162.06 (+0.50%)
 NASDAQ総合  USD 12,059.609  +161.958 (+1.36%)
 S&P500      USD  3,998.95  +39.05(+0.98%) 

7月21日の米株式市場のダウ工業株30種平均は3日連続で上昇し、前日の終値を上回った。弱い経済指標や前日までの上昇を受けた利益確定売りが優勢となり、午前中は前日の終値を下回って取引された。その後は、好調な決算を受けた買いが強まりハイテク株中心に買いが入り、3指数揃って値を上げた。

債券
 米国債10年 2.875%(-0.161)

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 96.35 -3.53(-3.53%)(9月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,700.2  -10.50(-0.61%)(8月渡し)
 

【日本】米ドル円 日銀の緩和継続が示され米ドル買い強まる

為替(17時)
7月21日の東京外国為替市場では、日銀金融政策決定会合後の記者会見で黒田総裁が「金利を引き上げるつもりは全くない」と述べ、足元で24年ぶりの円安が進む中でも金融緩和継続の意向を示した。また、「現時点で金融システムの安定性は十分にある。米金利上昇に伴う金融機関の含み損の範囲は限定的」と述べている。

米ドル・円は、日銀金融政策決定会合の結果が出る前は様子見の姿勢が強く、あまり積極的な動きが出なかった。黒田総裁の会見後に引き続き金融緩和継続の姿勢が示されると米ドル買いに転じ、この日の高値138.66円まで値を上げ、17時時点で138.59円となった。

ユーロ・米ドルは、欧州中央銀行(ECB)理事会を控え様子見の姿勢が強かった。ロシアが定期点検のため停止していた「ノルドストリーム」で無事天然ガス供給が再開し、安堵感からユーロが小幅に買われ17時時点では1.0196ドルだった。

ユーロ・円は、様子見の姿勢が強いものの欧州勢参加後に、この日の高値141.59円まで値を上げた。その後は小幅に値を下げ17時時点では141.30円となった。

債券
 国債先物・22年9月限  149.35 (+0.16)
 10年長期金利  0.235%(-0.005) 

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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