全般、パウエル議長の発言に左右された値動きに

【米国】

為替(7月28日6時00分)
 米ドル円(USDJPY) 136.53-136.60 (円)
 ユーロ円(EURJPY) 139.21-139.36 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0193-1.0199 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY) 165.96-166.15 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2154-1.2163 (米ドル)

7月27日のニューヨーク外国為替市場で最も注目されたのは、米連邦公開市場委員会(FOMC)後のパウエル議長の会見だった。今回、予想通り主要政策金利0.75%の引き上げを決めた。この引上げで、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは2.25-2.5%となった。6月の前会合と合わせると利上げ幅は1.5%となり、ポール・ボルカー氏がFRB議長を務めた1980年代初め以来の大幅利上げとなっている。

パウエルFRB議長は、まず「インフレ抑制を強くコミットし、インフレを低下させることが不可欠」と述べた。さらに、「次の会合で異例に大幅な利上げをもう一度行うことも適切となり得る」が、次回会合までのデータによって判断すると示した。また、今後利上げペースを落とし、利上げ幅に関する明確なガイダンスを示すのではなく、政策は会合ごとに新たに設定すると述べた。

朝方に発表された6月 耐久財受注速報値(前月比、結果:1.9%、予想:-0.4%、前回:0.8%)は、防衛航空機の受注が80%超増加した影響を受け予想外に増加した。変動の激しい輸送用機器を除くコア指数(前月比、結果:0.3%、予想:0.1%、前回:0.7%)では、5月より鈍化したものの予想を上回った。また、同時刻に発表された6月 卸売在庫(前月比、結果:1.9%、予想:1.5%、前回:1.8%)は、予想を上回った。

さらに、6月中古住宅販売成約指数(前月比、結果:-8.6%、予想:-0.9%、前回:0.7%)は、住宅ローンの金利上昇を受け2020年4月以来で大幅に低下した。前年比(結果:-19.8%、予想:-13.4%、前回:-12.0%)でも大幅に低下している。これらの、低調な結果を受け長期金利が2.75%に低下している。

2年債と10年債(長期金利)の利回りは、17日連続で逆転(逆イールド)している。終値ベースで2年債が2.984%、10年債が2.785%となった。

米ドル・円(USDJPY)では、朝方は弱い経済指標から値を下げたが、FOMCの公表前に米ドル買いが進み137.43円まで値を上げた。一時、小幅に値を下げるも、パウエル議長の発言からFRBがインフレ抑制を重視していることが好感され長期金利が上昇し、この日の高値137.46円まで上昇した。しかし、急激な利上げに慎重な姿勢を示すと再び中長期の金利が低下し136.33円まで値を下げた。その後は、小幅に持ち直し、終値は136.57円となった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)では、米ドル・円の動きにつられた。朝方は低調な米経済指標を受け小幅に値を上げた。その後、持ち直すもFOMC前に米ドル買いが強まると、この日の安値1.0097ドルを付けた。パウエル議長の会見に左右され利上げに慎重な姿勢が示されると、この日の高値1.0221ドルまで値を上げ、終値は1.0200ドルとなった。

ユーロ・円(EURJPY)は、ユーロ・米ドルの動きにつられた。一時値を下げるも、この日の高値139.51円まで値を上げた。その後は、小幅に値を落とし終値は139.31円だった。

株式
 NYダウ平均 USD 32,197.59 +436.05 (+1.37%)
 NASDAQ総合  USD 12,032.423 +469.848 (+4.06%)
 S&P500     USD  4,023.61 +102.56(+2.61%)

7月27日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、前日の終値を上回った。FRBが大幅な利上げを行なったものの予想通りの結果に安堵感が拡がった。さらに、パウエル議長が利上げ加速に慎重な見方を示したこともプラスとなり、幅広い銘柄が買われ3指数揃って値を上げ終えた。

債券
 米国債10年 2.803%(-0.017)

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 97.26 +2.28(+2.40%)(9月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,719.1 +1.40(+0.08%)(8月渡し)
 

【日本】FOMC控え様子見の姿勢強く

為替(17時)
7月27日の東京外国為替市場では、朝方は米長期金利が低下した流れを受け継ぎリスク回避の姿勢が優勢だった。その後は、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を控え、様子見の姿勢が強まっている。

米ドル・円は、朝方は米長期金利の低下を受け136.80円まで売られた。その後は株価の上昇などから投資家心理が上向いたもののFOMCの結果を控え積極的な取引は控えられた。17時時点では136.97円となっている。

ユーロ・米ドルは、米国時間に値を下げた反動から徐々に値を上げた。この日の高値1.0158ドルまで値を上げたが、FOMCを控えていることもあり上げ幅は限定的だった。17時時点では1.0139ドルで取引されている。

ユーロ・円は、米国での低調な動きの反動から買い戻され、この日の高値139.08円を付けた。その後は小幅に値を下げ17時時点では138.88円だった。

債券
 国債先物・22年9月限 150.29 (+0.08)
 10年長期金利 0.200%(-0.005)

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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