失業保険申請数増加等からリスクオフの円買い優勢

2022/08/05 7:06 JST投稿
 

【米国】

為替(8月5日6時00分)
 米ドル円(USDJPY)    132.88-132.97 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    136.07-136.21 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0246-1.0249 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    161.52-161.72 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2158-1.2161 (米ドル)

8月4日のニューヨーク外国為替市場で最も注目されたのは、朝方に発表された経済指標だった。先週分新規失業保険申請件数(結果:26.0万件、予想:25.9万件、前回:25.6万件)は、市場予想、前回を上回り、一部弱まりが感じられる結果だった。また、6月貿易収支(結果:-796.0億ドル、予想:-801.0億ドル、前回:-855.0億ドル)は赤字幅が前月より予想以上に縮小し、昨年12月以来で最小となった。モノの貿易赤字では前月比4.8%減少し、輸出が過去最大を更新、赤字は3カ月連続で縮小している。

なお、米クリーブランド地区連銀のメスター総裁は講演で「連邦準備理事会(FRB)はインフレを目標の2%に回帰させるため、フェデラルファンド(FF)金利は4%を幾分上回る水準に引き上げることが適切」という認識を示し、来年上半期まで金融引き締めの継続が必要と述べた。先日のタカ派的な発言に続き、同様の認識を示した。

また、台湾を巡る米中の地政学リスクへの懸念や、米のベセラ厚生長官がサル痘を急速に感染が拡大しているため公衆衛生上の緊急事態を宣言した。これらの影響からリスク回避の姿勢が強まった。

2年債と10年債(長期金利)の利回りは、23日連続で逆転(逆イールド)している。終値ベースで2年債が3.049%、10年債が2.694%となった。

米ドル・円(USDJPY)では、リスク回避のリスクオフの姿勢が強まった。朝方の先週分新規失業保険申請件数の増加や、地政学リスク、サル痘に対する緊急事態宣言から終日で円買いが優勢だった。長期金利の低下の影響も強く、この日の安値132.77円まで値を下げ、終値は132.89円となった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)では、米ドル売りが終日で売りが優勢だった流れを受け、堅調に値を上げた。米長期金利の低下もプラスに作用し、この日の高値1.0254ドルまで値を上げた。その後は小幅に値を下げ1.0246ドルで終えた。

ユーロ・円(EURJPY)は、朝方はリスク回避の円買いが強まり、この日の安値135.65円付近の135.66円まで値を下げた。その後は小幅に買戻しが入り136.25円を挟んだ動きが続き、終値は136.16円となった。

株式
 NYダウ平均  USD 32,726.82 -85.68(-0.26%)
 NASDAQ総合  USD 12,720.580  +52.421 (+0.41%)
 S&P500      USD  4,151.94  -3.23(-0.07%) 

8月4日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、前日の終値を下回った。FRBの利上げペースを見極めたいとの思惑から翌日の7月米雇用統計の発表を前に積極的な取引は控えられた。ほぼ終日で前日の終値を下回った取引となり、方向性を欠いた取引が続いた。

債券
 米国債10年 2.694%(-0.054)

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 88.54 -2.12(-2.34%)(9月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,806.9  +30.50(+1.72%)(12月渡し)
 

【日本】投資家心理が上向くも地政学リスクが懸念

為替(17時)
8月4日の東京外国為替市場では、前日の米国時間に複数の米金融高官が発言した影響が大きかった。ブラード・セントルイス連銀総裁などがインフレ抑制に向けた積極的な金融引き締め政策の継続を明言した。

また、朝方に台湾を巡る米中の地政学リスクの高まりからリスクオフの姿勢が強まる場面もあったが、下げ幅は限定的だった。しかし、その後、台湾国防部は中国軍が弾道ミサイル「東風」を多数発射したと発表。「中国の非合理な行動を非難する」と強調した。これを受け中国軍は台湾東部の海域に発射し、目標に命中したと述べている。

米ドル・円は、朝方に地政学リスクが意識され、この日の安値133.43円まで売られた。その後は、徐々に値を上げるも中国のミサイル発射を受け投資家心理が冷え込み、時間外の米長期金利が2.716%に低下すると133.94円まで値を下げ、17時時点では134.15円となった。

ユーロ・米ドルは、日中は1.016ドル付近中心の値動きとなった。欧州勢参加後に時間外の米長期金利が低下するとユーロ買いが優勢となり徐々に値を上げ、この日の高値1.0186ドルまで上昇した。その後は小幅に値を下げ、17時時点では1.0178ドルだった。

ユーロ・円は、朝方はリスクオフの円買いが強まり、この日の安値135.65円を付けた。その後は、堅調な株価から投資家心理が上向き徐々に値を上げ17時時点では136.55円で取引されている。

債券
 国債先物・22年9月限  150.62 (+0.12)
 10年長期金利  0.170%(-0.015) 

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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