良好な米経済指標から投資家心理上向く

7:33 JST投稿
 

【米国】

為替(8月31日6時00分)
 米ドル円(USDJPY)    138.78-138.82 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    138.96-139.02 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0012-1.0015 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    161.70-161.76 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1653-1.1654 (米ドル)

8月30日のニューヨーク外国為替市場では朝方に発表された良好な経済指標から、投資家心理が上向いた。

コンファレンスボードが発表した8月消費者信頼感指数(結果:103.2、予想:97.6、前回:95.7)は予想外に上昇し、5月以来の高水準となった。米労働省雇用動態調査(JOLTS、結果:1,123.9万件、予想:1,045.0万件、前回:1,069.8万件)でも予想を上回り、堅調な労働需要が示された。この結果は、FRBが引き続き金融引き締めを維持する可能性が強まったともいえる。

FRB高官の発言も相次いだ。まず、リッチモンド連銀バーキン総裁は、「われわれはインフレ率を目標の2%に戻すことにコミットしており、そのために必要な措置を講じる」と述べた。さらに「インフレ率は目標水準に下がる過程で跳ね返ることが予想される」との見解を示した。アトランタ連銀ボスティック総裁は、連銀のサイトに「今後の指標がインフレの鈍化の開始を明確に示すようなら、利上げ幅を最近の0.75%から巻き戻す理由になるかもしれない。どんなデータが出てくるか見極める必要がある」と記しハト派的な姿勢を見せている。また、ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁は、インフレ沈静化の水準まで政策金利を引き上げる必要があると述べ、金融引き締め姿勢を来年まで継続する姿勢を示した。9月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅については明言を避けている。

2年債と10年債(長期金利)の利回りは、41日連続で逆転(逆イールド)している。終値ベースで2年債が3.458%、10年債が3.112%となった。なお、2年債は15年ぶりの高水準となっている。

米ドル・円(USDJPY)は、朝方に発表された良好な経済指標やリッチモンド連銀バーキン総裁のタカ派的な発言が好感された。長期金利が3.151%に上昇し、米ドル買いが強まるとこの日の高値139.07円を付けた。その後は、利益確定売りに押された上、7月14日に付けた1998年9月以来の高値139.39円が上値抵抗線(レジスタンス)として意識されたことも大きく、値を下げ138.79円で終えた。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、良好な米経済指標から米ドルが買われ、この日の安値0.9982ドルを付けた。しかし、欧州中央銀行(ECB)の大幅な利上げ期待からユーロ買いが強まり1.0028まで値を戻した。その後は、小幅に値を下げ終値は1.0015ドルだった。

ユーロ・円(EURJPY)は、朝方は予想外に米経済指標が上昇した影響から138.56円まで値を下げた。しかし、インフレ抑制に向けたECBの大幅な利上げへの期待からユーロ買いが優勢となり、7月28日以来、約1カ月ぶりの高値139.22円を付けた。その後は、再びユーロ売りが優勢となり終値は138.99円となった。

株式
 NYダウ平均  USD 31,790.87 -308.12(-0.95%)
 NASDAQ総合  USD 11,883.136    -134.533 (-1.11%)
 S&P500      USD  3,986.16  -44.45(-1.10%) 

8月30日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、3日連続で前日の終値を下回った。FRBの金融引き締めの長期化から景気後退への懸念から景気敏感株を中心に幅広く売られた。長期金利が上昇し株式の割高感が意識されたことも大きく、ハイテク株も売られ3指数揃って値を下げている。

債券
 米国債10年 3.112%(+0.002)

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 91.64 -5.37(-5.54%)(10月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,736.3  -13.40(-0.77%)(12月渡し)
 

【日本】連日の上昇の反動から上値は重い

為替(17時)
8月30日の東京外国為替市場は、26日のジャクソンホール会議での米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の講演で高水準での金利政策を続けるタカ派的な発言から米ドルが値を上げた動きは落ち着いた。時間外の米長期金利の低下もあり値が上げづらい取引となった。

米ドル・円は、FRBの積極的な利上げ継続姿勢を好感した米ドル買いが続いていた反動から小幅に下落した。時間外の米長期金利の低下もあり、特に欧州勢参加後に値を下げ17時時点では138.45円となった。

ユーロ・米ドルは、朝方は米ドル・円での米ドル売りの優勢につられ、1.0000ドルを上回っていたが、欧州の景気後退懸念から徐々に値を下げ、この日の安値0.9982ドルを付けた。その後は小幅に値を戻すも再び同水準に低下した。しかし、米長期金利の低下によるドル売りにつられ、この日の高値1.0034ドルまで値を戻し、17時時点では1.0028ドルだった。

ユーロ・円は、米ドル・円での円買いの動きにつられ、徐々に値を下げた。欧州勢参加後に、この日の安値138.26円を付けたが、ユーロ・米ドルの上昇につられ17時時点では138.84円で取引されている。

債券
 国債先物・22年9月限  149.51 (+0.29)
 10年長期金利  0.220%(-0.020)

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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