USDJPY ついに心理的節目140円を突破し、24年ぶりの高値

7:35 JST投稿
 

【米国】

為替(9月2日6時00分)
 米ドル円(USDJPY)    140.19-140.21 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    139.43-139.49 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 0.9944-0.9947 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    161.38-161.90 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1545-1.1547 (米ドル)
 
9月1日のニューヨーク外国為替市場では高インフレ抑制に向けた積極的な金融引き締めの実施に対し、日本が金融緩和を続ける金融政策の違いによる金利差が意識された。米ドルが買われ、対円で1998年8月以来、約24年ぶりの高値を更新している。
 
また、朝方に発表された経済指標が良好な結果となったことも好感されている。まず、前週分の米新規失業保険申請件数(結果:23.2万件、予想:24.8万件、前回:24.3万件)は3週連続で減少し、2カ月ぶりの低水準となった。景気後退観測が強まる中で健全な労働力需要が示された。8月米ISM製造業景気指数(結果:52.8、予想:52.0、前回:52.8)ではほぼ横ばいの結果となったが、雇用と新規受注の回復により物価上昇圧力が落ち着き、インフレピークを越えた見方が強まっている。これらの良好な結果から、長期金利は3.297%まで上昇した。
 
2年債と10年債(長期金利)の利回りは、43日連続で逆転(逆イールド)している。終値ベースで2年債が3.518%、10年債が3.259%となった。
 
米ドル・円(USDJPY)は、朝方に発表された良好な経済指標が好感され米連邦準備制度理事会(FRB)が長期間、金融引き締めを実施するとの観測が強まり長期金利が上昇した。米ドル買いが優勢となり、心理的節目の140円を超え、約24年ぶりの高値140.23円を付けた。その後も堅調に推移し、終値は140.21円となった。
 
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、米ドル・円の米ドル買いの影響を受け、この日の安値0.9912ドルまで値を下げた。その後、買戻しが入るも欧州の景気後退懸念は根強く、等価割れの0.9946ドルで終えた。
 
ユーロ・円(EURJPY)は、ユーロ・米ドルの下落につられ、この日の安値138.93円を付けた。その後は、株価の上昇による投資家心理の上向きからユーロの買戻しが入り徐々に値を上げ、終値は139.44円となった。
 
株式
 NYダウ平均  USD 31,656.42 +145.99(+0.46%)
 NASDAQ総合  USD 11,785.126    -31.077 (-0.26%)
 S&P500      USD  3,966.85  +11.85(+0.29%) 
 
9月1日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、5日ぶりに前日の終値を上回った。26日からFRBの金融引き締めの長期化による景気後退への懸念が続いている。この日も景気敏感株が中心に幅広く売られ、14時30分頃まで前日の終値を下回った取引となった。その後は、これまでの4日間で大幅に値を下げた反動から景気に左右されにくいディフェンシブ株を中心とした買戻しが入り、前日の終値を上回った。
 
債券
 米国債10年 3.259%(+0.127)
 
商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 86.61 -2.94(-3.28%)(10月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,709.3  -16.90(-0.98%)(12月渡し)
 
 

【日本】米ドル円 24年ぶりの高値を更新

為替(17時)
9月1日の東京外国為替市場では、時間外の米長期金利の上昇から日米の金利差が拡大し、米ドル・円では24年ぶりの高値を更新した。
 
これを受け、松野官房長官は定例会見で「為替の急速な変動は望ましくない。高い緊張感を持って注視」「最近の為替市場では相場の変動が高まっている」と口先介入を行なったが影響は軽微だった。
 
また、朝方にダラス連銀のロリー・ローガン総裁の8月22日に就任後初の講演内容が伝わった。「ダラス連銀の目標は、より強力な経済を構築することだが、最優先事項はインフレを抑制し物価の安定を回復すること」と述べている。
 
さらに、中国四川省の成都市でこの日から都市封鎖を実施するとの報道から、世界的な景気への影響が懸念され投資家心理が冷え込んだ。約2カ月にわたる大規模な都市封鎖を6月に解除して以来の規模。成都市が報告した8月31日のコロナウイルスの新規感染者は157人。成都市は中国の国内総生産(GDP)の約1.7%を占め、テクノロジー企業や自動車メーカーの集積地として知られ、トヨタ自動車などが進出している。 
 
合わせて、スイスの8月消費者物価指数(前年比、結果:3.5%、予想:3.4%、前回:3.4%)が1993年以来の高水準を維持し、高インフレへの対応として追加の金融引き締めへの思惑が強まった。スイスフラン買いが強まり、米ドル・スイスフランは0.9751フラン、スイスフラン・円は142.81円、ユーロ・スイスフランも0.9774フランを付けた。なお、スイス国立銀行(中央銀行、SNB)の会合を22日に控えている。
 
米ドル・円は、朝方から日米金利差が意識され堅調に値を上げ、年初来高値である24年ぶりの高値139.68円を付けた。午後になると中国での都市封鎖実施の報道が伝わり、世界的な景気後退への懸念が強まり投資家心理を冷え込ませた上、利益確定売りも出て徐々に値を下げ139.14円まで安くなった。その後は米長期金利の上昇を受け、小幅に値を上げ17時時点では139.28円となった。
 
ユーロ・米ドルは、日中は米ドル・円上昇の影響を受け、ユーロ売りが優勢だった。その後は、スイスフラン買いが広まると投資家心理が上向き、ユーロが買われ1.0030ドルに持ち直し、17時時点で1.0028ドルだった。
 
ユーロ・円は、朝方は米ドル・円の上昇を受け、この日の高値140.00円を付けた。その後は利益確定売りに押されたが、スイスフランの上昇が支援材料となり139.70円に値を戻し、17時時点では139.69円で取引されている。
 
債券
 国債先物・22年9月限  149.43 (-0.10)
 10年長期金利  0.235%(+0.015)

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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