低水準な米ISM製造業景気指数から投資家心理低下

2022/10/04 7:32  JST投稿

【米国】

為替(10月4日6時00分)

 米ドル円(USDJPY)    144.51-144.55 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    142.01-142.06 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 0.9824-0.9827 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    163.61-163.71 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1320-1.1326 (米ドル)

10月3日のニューヨーク外国為替市場に最も影響を及ぼしたのは、9月ISM製造業景気指数(結果:50.9、予想:52.5、前回:52.8)だ。新規受注が大幅に低下し2020年5月以来、2年4ヵ月ぶりの低水準となり、好不況の境目の50に近づき米景気後退の現実味が増し嫌気された。この結果から米金利が低下している。

また、リッチモンド連銀のバーキン総裁は、コロナ禍後の変化がインフレという逆風を強めており、それに対抗する金融引き締めが一段と必要になるとの見解を示した。さらに、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が講演で、インフレ抑制に積極的に取り組む姿勢を示している。「金融政策引き締めにより需要は落ち着き始めており、インフレ圧力も後退し始めているが、われわれの仕事はまだ終わっていない」とし、ある程度時間を要すると述べた。

金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、63日連続で逆転(逆イールド)が続いている。終値ベースでは2年債が4.113%、10年債が3.643%だった。

米ドル・円(USDJPY)では、低調な9月ISM製造業景気指数が嫌気され投資家心理が低下した。長期金利の低下も重しとなり、この日の安値144.16円まで値を下げている。その後は、リッチモンド連銀のバーキン総裁やニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁のタカ派的な発言から買戻しが入り144.79円まで値を戻すも、144.55円で終えた。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、米ドル・円の下落からユーロ買いが強まり、この日の高値0.9844ドルを付けた。しかし、その後は欧州景気後退への懸念が意識され、徐々に値を下げ0.9789ドルまで低下するも持ち直し、終値は0.9826ドルとなっている。

ユーロ・円(EURJPY)は、方向性が出にくく低調ながら値を上げた。朝方にこの日の安値141.37円を付けるも、上昇し終値は142.02円だった。

株式
 NYダウ平均  USD 29,490.89 +765.38(+2.66%)
 NASDAQ総合  USD 10,815.435    +239.816 (+2.26%)
 S&P500      USD  3,678.43  +92.81(+2.58%) 

10月3日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、3日ぶりに前日の終値を大幅に上回った。長期金利の大幅な低下が好感され、積極的に買い戻された。上げ幅が6月24日以来の大幅な上昇となっている。英国の最高所得税率引き下げ案が撤回され、不安材料が一つ減少した効果も大きかった。3指数揃って値を上げ終えた。

債券
 米国債10年 3.643%(-0.161)

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 83.63 +4.14(+5.21%)(11月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,702.00  +30.00(+1.79%)(12月渡し)
 

【日本】USDJPY  仕掛けによりついに145円の壁突破

為替(17時)
10月3日の東京外国為替市場では、9月22日の円買い介入以降に144円台にとどまっていた米ドル・円がついに145円の壁を突破した。上値の閉塞感が強い状況から打破すべく、大口の仕掛けが入った模様だ。一方で、日本政府による円買い介入への警戒も根強く恒常的に145円台にとどまることはなかった。また、時間外の米長期金利の低下による、心理的な影響も大きかった。

また、英国で最高税率引き下げ案が撤回される見込みが強まったとの報道から、ポンドが買い戻され、対ドルで0.4%高の1.1215ドルを付けたことも円にとってはプラスとなっている。

米ドル・円では、昼過ぎに仕掛け的な米ドル買いが入り145.29円まで値を上げたが、高値は続かず再び144円台後半に落ち込んだ。その後は、投資家心理の上向きから再び買い戻され、145.13円まで値を戻し17時時点では145.02円となった。

ユーロ・米ドルは米ドル・円の動きに左右された。ポンド・米ドルの上昇で米ドル買いが強まった動きに連動した動きが出た。0.9785ドルから0.9835ドルに上昇し、17時時点では0.9811ドルで取引されている。

ユーロ・円は、米ドル・円とユーロ・米ドルの影響を両方受け方向性に欠いた取引となった。141.54円から142.36円に値を上げ、17時時点では142.29円となった。

債券
 国債先物・22年12月限  148.56 (+0.26)
 10年長期金利  0.240%(-0.005)

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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